記帳代行の月額は、仕訳数で決まります。月100件までで5,000〜10,000円、200件までで10,000〜20,000円、300件までで20,000〜30,000円あたりが、比較サイトの挙げる帯です。

一方、税理士事務所の顧問契約は法人4万円〜・個人3万円〜。ただしこちらは税務相談も決算・申告も込みの金額で、記帳代行だけの値段ではありません。

記帳代行そのものは、税理士でなくても行えます。税理士法52条が禁じているのは税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つで、記帳はそこに入っていないためです。仕訳数別の目安と、無資格の業者に頼んでよい範囲を、条文と国税庁の説明で確認します。

月額は、仕訳数で決まる

仕訳数は「月に何件の取引があるか」とほぼ同じ意味で、通帳の入出金・領収書・請求書の枚数を足したものが目安になります。

月100件までで5,000〜10,000円、400件までで30,000〜40,000円。顧問契約は仕訳数と別に法人4万円から

月の仕訳数 クラウドワークスTimes タクシタ
〜100件 約10,000円 5,000〜10,000円
101〜200件 約15,000円 10,000〜20,000円
201〜300件 約20,000円 20,000〜30,000円
301〜400件 約25,000円 30,000〜40,000円

実際の価格表は、刻み方がもっと細かいことがあります。たとえば経理外注・記帳代行センターの「丸投げサポート料金」は100仕訳以内16,500円/150仕訳以内24,750円/200仕訳以内33,000円/250仕訳以内41,250円、251仕訳以上は100仕訳増えるごとに+16,500円という設計です。刻みが違うので、上の表と横に並べて比べることはできません。

1仕訳あたりで見るといくらか

クラウドワークスTimesとBricks&UKは「1仕訳あたり50〜100円」を挙げています。ただしタクシタは、この帯を基本パッケージを超えた分の追加単価として説明していて、意味が違います。

「100仕訳まで〇〇円」といった基本パッケージが設定されており、規定の件数を超えた分について「1仕訳あたり50円〜100円」といった追加料金が発生する仕組みが主流です

(タクシタ「記帳代行の料金相場は?」)

単価の水準自体にも幅があります。KANBEIは1件あたり100〜300円としており、先ほどの経理外注・記帳代行センターは100仕訳16,500円なので1仕訳165円です。「1仕訳いくら」は、目安にはなっても相場ではありません。税込か税別かも各社バラバラです(ウェブゼイムの38円は税別、経理外注・記帳代行センターの16,500円は「全て税込価格」と明記)。さらに前者は税理士事務所向けで、不明点は事務所に戻す建て付け。後者は事業者からの丸投げの料金です。

仕訳数以外で刻む価格表もある

仕訳数だけで決まるわけではありません。従業員数で刻む例(5〜20人で5,000〜10,000円、30〜50人で10,000〜30,000円、100人以上で30,000円以上)や、年間売上で刻む例もあります。弥生も「企業規模が大きくなり従業員数も多くなれば、作業量も増えるため料金も高くなります」と書いています。

50仕訳ほどの小規模については、仕訳数の刻みで示した相場表そのものが見当たりませんでした。個別の記載としては、KANBEIが「月間取引件数が50件の場合、5,000円から15,000円程度」、タクシタが「記帳代行ドットコム 5,000円〜(50仕訳)」として紹介している例があります。なお記帳代行ドットコム自身のサイトは「1仕訳単価44円から」と表示しています(同じサイトに「1仕訳たったの最安42円」の表示もあります)。

専門業者と税理士事務所で、何が変わるか

依頼先で分けると、金額はこう分かれます。ただし上下の行は、そもそも土俵が違います。上は仕訳数100〜250件の相場、下は仕訳数と結びついていない顧問料の下限です。

依頼先 月額の目安 できること
記帳代行の専門業者 6,000〜20,000円 仕訳帳・総勘定元帳・試算表まで。税務相談、税務申告書の作成、提出の代理はできない
税理士事務所の顧問契約
(記帳+税務相談込み)
法人40,000円〜
個人30,000円〜
記帳から税務相談、決算・申告まで通せる

決算書(財務書類)の作成そのものには、資格は要りません。できないのは税務相談と、税務申告書の作成・提出の代理です。ただし出典が成果物として挙げているのは仕訳帳・総勘定元帳・試算表までで、決算書の作成が月額に含まれるとは限りません。この記事で後に出てくる「決算・申告」は税務申告のほうを指しています。

下の行の「4万円/3万円」は、記帳代行だけの値段ではありません。タクシタはこれを「税務相談や経営アドバイスを含めたトータルの顧問料」と説明しています。弥生も「記帳代行を含む顧問料」の相場として挙げ、「契約内容によっては、会社の税務全般に関する相談などにも応じてもらえます」と書いています。上下の差の一部は、契約に何が入っているかの差です。

複数の比較サイトは、この差の理由として、税理士事務所は決算申告まで一括で対応できるのに対し、記帳代行の専門業者は対応できず別途税理士に依頼する必要がある、という点を挙げています。決算・申告まで含めると、法人で年15万〜30万円ほどが別に乗るという記載もあります。

つまり比べるべきは月額ではなく、「決算・申告を誰がやるか」を決めたうえでの年間の合計です。すでに顧問税理士がいるなら、記帳だけを切り出して専門業者に出し、確認と申告を先生にお願いする、という分け方ができます。

無資格の業者に記帳を頼んで大丈夫か

ここがいちばん不安に思われるところなので、条文と国税庁の説明で確認します。

税理士法が「税理士だけの仕事」と決めているのは3つ

税理士は、他人の求めに応じ、租税(略)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(略) 二 税務書類の作成(略) 三 税務相談(略)

(税理士法 第2条第1項)

そして次の第2項が、この3つを「税理士業務」と名付けています。記帳代行が出てくるのも、ここです。

税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。

(税理士法 第2条第2項)

資格のない者に禁じられているのは、この「税理士業務」です。

税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

(税理士法 第52条)

違反すると2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第59条第1項第4号)。

記帳代行は、その3つに入っていない

条文の作りとして、52条が禁じる「税理士業務」は第2条第1項の3つだけです。記帳代行という行為そのものは、そこに入っていません。

ひとつ注意が要ります。第2項が定めているのは「税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して」行う会計業務なので、この第2項の業務は、税理士または税理士法人しか行えません。日本税理士会連合会もそう説明しています(「税理士法人に関するQ&A」Q9)。無資格の業者が行うのは、それとは別枠の——税理士業務に付随しない——会計業務です。禁止されているのは1項の3つであって、会計帳簿をつける行為そのものではない、という整理になります。

国税庁も、会計事務を税理士業務とは別の事務として整理しています。

法第2条第2項は…税理士が税理士の名称を用いて、税理士業務に付随して、会計事務を行うことができることを明確にしたものであり、同項に規定するそれ以外の場合においても、税理士の名称を用いて会計事務を行うことは禁止されていません

(国税庁「税理士制度のQ&A」問2-3)

境界線は「事実の記録」か「税務の判断」か

資格がなくてもできる 税理士でなければできない
領収書・請求書を仕訳にする 税務相談に答える
会計ソフトに入力する 税務申告書を作成する
試算表・決算書を作成する 税務署への申告を代理する
事実がはっきりしている取引を、あらかじめ決めたルールどおりに科目へ振り分ける 科目の選び方そのものを判断する(交際費か会議費か、修繕費か資本的支出か など)
「税理士」「税理士事務所」などの名称を使う(第53条)

右の列に踏み込むと52条違反になり得ます(名称の行だけは53条違反で、罰則は100万円以下の罰金です)。気をつけたいのは、無料でも同じだという点です。国税庁の税理士法基本通達2-1は、「業とする」を「反復継続して行い、又は反復継続して行う意思をもって行うことをいい、必ずしも有償であることを要しない」と定めています。「サービスでちょっと助言する」も対象になります。

逆に、同じ通達2-5は、税務書類の作成でいう「作成する」を「自己の判断に基づいて作成することをいい、単なる代書は含まれない」としています。ここが「事実の記録」と「税務の判断」を分ける線です。

「記帳代行です」と言いながら税務の相談に乗る業者は、そこがすでに52条に触れ得ます。逆に、判断が要るものを保留にして戻してくる業者は、線を分かっています。

なお、令和5年の改正で第54条の2が新設されました。無資格者の税務相談について、脱税にあたる相談がさらに反復されるおそれがあり、緊急に止める必要があると認められるときに、財務大臣が停止命令を出せるという規定です。国税庁も「脱税相談等を未然に防止するための措置」と説明しています。命令に違反すると1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。

個別の取引がどちらに当たるかは、条文だけで機械的に決まりません。判断に迷う場面は、顧問税理士にご確認ください。

料金が上がる条件

同じ仕訳数でも、次の条件で金額は動きます。ここを整えるだけで下がることがあります。

条件 公開されている記載
証憑が未整理(丸投げ) 並べ替え・振り分けの前工程が要るため追加料金(弥生・タクシタ)
消費税の課税事業者/インボイス対応 月2,000〜3,000円の追加(Bricks&UK。「インボイス制度対応」という括り方はタクシタ)
特急対応 標準料金の20〜50%増(タクシタ)/スピード納品オプション月6,000円〜(Bricks&UK)
部門別の損益管理 部門別集計オプション月5,000〜6,000円(Bricks&UK)
証憑のファイリングまで頼む 100仕訳あたり月5,000円程度の追加(Bricks&UK)
特殊な取引がある業種 医薬・建設・金融・不動産などで3,000〜12,000円の追加(Bricks&UK。原文は「相場:3,000円~12,000円」。単位の明記はありませんが、原文は表の直後で「ひと月あたり数千円でも年間にすれば大きな出費」と述べています)
決算・申告まで頼む 法人で年間15万〜30万円が別途(タクシタ)

いちばん効くのは1行目です。タクシタも「記帳代行の料金を最も大きく左右するのが、業者へ提出する『証憑(領収書や請求書など)の状態』です」と書いています。領収書を月ごとに分けて封筒に入れておくだけで、前工程の追加料金が消えることがあります。

会計ソフトで料金は変わるか

調べた範囲では、「freeeなら○円、弥生なら○円」とソフトの種類だけで料金を分けている価格表は見つかりませんでした。変わるのは料金ではなく、そもそも対応しているかどうかです。

サービス 対応ソフト
記帳代行ドットコム freee、マネーフォワード クラウド
弥生 記帳代行支援サービス 弥生会計のみ
ライト・コミュニケーションズ 財務応援、弥生会計、勘定奉行
Create Accounting Value 弥生会計、会計王、マネーフォワード クラウド

間接的な影響はあります。freeeやマネーフォワードは銀行口座・カードとの自動連携で取引を取り込めるため、手入力が減ります。逆に、手書きの帳簿や自動連携に対応しない古いソフトを使っている場合は手作業が増え、料金が上がりやすくなります。

いま使っているソフトに対応しているかは、単価より先に確認してください。ここが合わないと、そもそも見積もりが出ません。

税理士事務所が、記帳部分だけを外に出すケース

頼む側だけの話ではありません。税理士事務所が、記帳の入力工程を外に出すこともあります。顧問先が増えると、申告の時期に入力が回らなくなるためです。

公開されている形は2つ確認できました。

  1. 税理士事務所向けのB2B記帳代行業者に出す。ウェブゼイムが公開している料金は、月額基本料15,000円(税別)+1仕訳38円(税別)、初期導入費用100,000円(税別・契約時のみ)で、顧問先が6社から追加料金がかかります(原文は「6社より追加料金が必要です」)。1仕訳あたりの単価はエンドユーザー向けの50〜100円より低く、卸を前提にした設計とみられます
  2. 税理士自身が「会計法人」を別につくる。ただし会計法人が税理士業務まで受託することはできません

2つ目については、日本税理士会連合会が明確に書いています。

会計法人が、税理士業務を受託することはできません。…「他人の求めに応じ」とは、納税者から直接委嘱を受けることだと解されています。したがって…税理士業務を他者を通じて間接的に受託することは認められません

(日本税理士会連合会 制度部「税理士法人に関するQ&A」令和5年5月・Q43)

実際に日税連は、税理士と雇用関係のない無資格者や元職員が会計法人を立ち上げ、その会計法人で税理士業務と報酬を受託していたことを、業務の制限違反として指摘しています。

日税連は納税者向けにも、税理士を選ぶときは「個人の税理士なのか税理士法人に属する税理士なのかを確認の上、税理士を選択するよう心掛けてください」と注意を促しています。

このほか、TKCのように、会計事務所向けのシステムを導入する形もありますが、これは外注とは別の話です。

なお、1仕訳あたりの単価まで公開している税理士事務所向けの業者は、調べた範囲では1社だけでした。多くは個別見積もりのようです。

見積もりの前に決めておく4つ

  1. 月の仕訳数。おおよそで構いません。通帳の行数+領収書の枚数が目安です
  2. 使っている会計ソフト。対応していない業者には、そもそも頼めません
  3. 決算・申告を誰がやるか。ここが決まらないと、専門業者と税理士事務所のどちらと比べるかが決まりません
  4. 証憑をどう渡すか。原本を送るのか、スキャンして送るのか。整理してから送るのか、そのまま送るのか

ジョブリウムの場合

ジョブリウムがお受けするのは入力の作業だけです。税務相談、税務書類の作成、税務代理は行いません。この記事に書いたとおり、税理士の業務にあたるためです。

  • 判断が要るものは、こちらで決めずに戻します。勘定科目に迷ったものは保留の一覧にして、貴社または顧問税理士にお決めいただきます
  • 顧問税理士がいる形が、いちばん多いです。入力までをこちらで行い、確認と申告は先生にお願いする分け方です
  • 先生の入力ルールに合わせます。指定のソフト・科目の使い方があれば、それに従います
  • 税理士事務所からのご依頼もお受けします。顧問先が増えて記帳が回らない、という時期だけのご相談で構いません
  • 一律の料金表は出していません。仕訳数・証憑の状態・ソフトで手間が変わるためです。単位(1仕訳あたり、1時間あたり、1式)は、お見積もりのときに一緒に決めます

対応している会計ソフト、頼めること・頼めないこと、進め方は記帳代行のページにまとめてあります。


この記事で参照したページ

法令・官公庁・専門家団体
税理士法(e-Gov法令検索)
国税庁「税理士制度のQ&A:2 税理士の業務」
国税庁「税理士制度のQ&A:6 税理士法違反行為」
国税庁「税理士法基本通達 第2条《税理士業務》関係」
日本税理士会連合会「税理士とは」
日本税理士会連合会「税理士の綱紀保持」
日本税理士会連合会 制度部「税理士法人に関するQ&A」(令和5年5月・PDF)

料金相場 比較メディアの相場記事と、事業者自身の価格表が混在しています。公的統計ではありません。発注前に最新の情報を各社にご確認ください。
弥生「記帳代行の料金相場は?」(2026年1月更新)/
クラウドワークスTimes「記帳代行の料金相場や発注事例」(2026年1月更新)/
タクシタ「記帳代行の料金相場は?税理士と専門業者の金額差」(2026年3月)/
タクシタ「記帳代行サービス比較15選」(2026年2月更新)/
税理士法人Bricks&UKグループ「記帳代行の相場とは?」(2026年6月更新)/
TOKIUM「記帳代行サービス比較9選」(2025年11月)/
経理外注・記帳代行センター 料金
KANBEI「記帳代行の料金相場はいくら?」(2024年12月)/
パーソルビジネスプロセスデザイン「経理代行の料金相場は?」
記帳代行ドットコム
ウェブゼイム「記帳代行会社・税理士事務所向けサービス」