前年度の中で、就職から6か月に達した利用者がいれば、届け出ることで、今年度は通ってくる利用者全員の報酬に毎日上乗せがつきます。就労継続支援A型・B型の就労移行支援体制加算です。定員や評価点など(B型は平均工賃月額)で決まる単位に、就職して6か月続いた人の数を掛けて計算します。
令和8年4月からは、この人数の数え方が変わりました。数えられるのは事業所の定員の数までで、過去3年間に別の事業所で加算の対象になった人も、原則として数えません。前の数え方のまま届け出ると、算定できない人を数えてしまう可能性があります。この記事では、加算の数え方と単位、令和9年度に向けて出ている見直しの案、就職する人を出すために事業所で用意しておくことを書きます。
数えるのは、前年度に就職して6か月続いた人
加算の対象になる人を、国の通知では「就労定着者」と呼びます。A型やB型を利用したあとに企業と雇用契約を結んで働き、その企業での雇用が6か月に達した人のことです。労働時間などの労働条件は問いません。
数えないのは、A型の利用者として移った人です。A型からほかのA型へ移った場合も、B型からA型へ移った場合も、一般就労には入りません。B型では、施設外支援(企業での実習などを事業所の外で支援すること)の対象になるトライアル雇用も数えません。
6か月に達した日が、前年度(4月から翌年3月まで)の中にあるかで数えます。通知にある例では、令和5年10月1日に就職した人は、令和6年3月31日に6か月に達します。この人は令和6年度の加算に数えます。加算は前年度の実績で今年度に算定するので、届け出も「前年度に1人以上いる」として出します。
就職から6か月の間の支援の中で、労働条件をよくするために転職を手伝う場合もあります。離職から1か月以内に次の企業へ就職し、最初の就職から数えて6か月続いていれば、その人も数えられます。
単位は定員と評価点で決まり、人数を掛けて毎日つく
A型の単位は、定員の規模と、スコア表の評価点で決まります。下の表は、人員配置が7.5対1(利用者7.5人に職員1人)の事業所(加算(Ⅰ))の、定員20人以下の単位です。令和6年度改定の単位で、令和8年度も変わっていません。
| 評価点 | 定着者1人あたりの単位(1日につき) |
|---|---|
| 170点以上 | 93単位 |
| 150点以上170点未満 | 87単位 |
| 130点以上150点未満 | 80単位 |
| 105点以上130点未満 | 73単位 |
| 80点以上105点未満 | 65単位 |
| 60点以上80点未満 | 57単位 |
| 60点未満 | 50単位 |
定員が大きくなるほど、単位は小さくなります。同じ170点以上でも、定員21〜40人は49単位、81人以上は22単位です。人員配置が10対1の事業所(加算(Ⅱ))は、定員20人以下で90単位から47単位です。
計算は「表の単位×前年度の定着者の数」です。定員20人で評価点が105点以上130点未満、定着者が2人なら、73×2で146単位です。この146単位が、その日に通った利用者1人ごとに、毎日つきます。同じ事業所で評価点が170点以上なら、93×2で186単位になります。

B型の単位は、定員と平均工賃月額の区分で決まります。人員配置が6対1の事業所(加算(Ⅰ))で定員20人以下なら、93単位から48単位です。令和8年6月から、基本報酬の区分の金額が変わった事業所があります。ただ、この加算の単位は、同じ平均工賃月額なら変わった事業所も変わっていない事業所も同じです。基本報酬の区分はB型の平均工賃の区分の記事に書きました。
平均工賃月額ではない体系(利用者の就労や生産活動への参加などで報酬が決まる体系)の事業所は、定員だけで単位が決まります。定員20人以下で、6対1と7.5対1なら42単位、10対1なら39単位です。
令和8年4月から、数えられる人数は定員までになった
令和8年度の報酬改定(国が報酬の単位や決まりを見直すこと)で、告示が変わりました。始まりは令和8年4月です。変わった点は2つあります。
- 1つの事業所で数えられる定着者は、前年度の9月30日時点の定員の数まで
- 過去3年間に加算の対象になった人は、別の事業所で対象になった場合も、原則として数えない
過去3年間の決まりは、令和6年度改定の時点の告示にもありました。ただ、そのときは「その事業所で算定した人」だけが対象でした。令和8年4月からは、ほかの事業所で算定された人も入ります。例外は、ハラスメントなど、やむを得ない事情で退職した人のように、市町村長が認めた場合だけです。
国のQ&A(令和7年1月)は、算定できない例を2つ挙げています。1つは、同じ利用者が就職と退職をくり返し、そのたびに同じ事業所へ戻るケースです。もう1つは、複数の事業所と企業の間で、計画的に離職と転職をくり返すケースです。
見直しのきっかけは、利用者がA型と企業の間で離職と転職をくり返し、そのたびに加算を取る事業者の報道でした。国の検討チームの資料には、多額の不正請求で指定取消になった事例も複数報告されたとあります。就職者を前年度の実績として届け出る前に、その人が過去3年間にほかの事業所を利用していなかったかを、本人や相談支援専門員(サービス等利用計画を作る人)に確かめておきます。

令和9年度に向けて、人数ではなく割合で評価する案が出ている
加算のあり方は、令和9年度の報酬改定に向けて改めて議論することになっています。令和8年9月28日の検討チーム(第64回)では、次の案が出ました。どれも「〜してはどうか」という段階で、まだ決まっていません。
- 定着者の数ではなく、定員などに対する定着者の割合で評価する
- 同じ就職先へ何人も就職した場合は、数える人数に上限を設ける(例えば5人まで)
- 事業所を運営する法人や関係する法人への就職は、0.5人として数える
案が決まると、同じ企業への就職が多い事業所や、自分の法人で雇っている事業所は、加算が下がる可能性があります。就職先がどこか、どの法人か、を名簿に分けて記録しておくと、案が決まったときに影響を計算しやすくなります。
就労移行支援には、この加算は無い。基本報酬が定着の割合で決まる
就労移行支援には、この加算はありません。基本報酬そのものが、就職して6か月以上続いた人の割合で決まります。割合は、前年度と前々年度の定着者の合計を、2年分の利用定員の合計で割って出します。定員20人以下なら、割合が5割以上で1日1,210単位、0なら479単位です。令和6年度改定で、定員10人から事業所を開けるようになりました。
A型のスコア表とは、評価点の区分でつながっている
一般就労への移行の人数は、A型のスコア表の7項目には入っていません。人数を評価するのは、この加算のほうです。ただし、加算の単位は評価点の区分で変わります。定員20人以下・7.5対1の事業所なら、170点以上で93単位、60点未満で50単位です。スコアが高い事業所ほど、同じ1人の定着で加算が大きくなります。
スコア表の中で一般就労に近いのは、「利用者の知識及び能力の向上」(10点)です。一般就労に向けた知識や力を身につける支援を行い、報告書を公表します。通知の取組例には、ハローワークや障害者就業・生活支援センターと連携した研修、模擬面接、企業見学などがあります。スコア表の点の取り方は、A型のスコア表の読み方と点の上げ方に書きました。
就職したあとの6か月は、事業所が支える期間
利用者が就職したあとも、事業所の仕事は続きます。指定基準(事業所の人員や運営について国が決めた基準)では、就職した日から6か月以上、職業生活の相談などの支援を続けることになっています。就労移行支援は義務、A型・B型は努力義務(行うよう努める決まり)です。障害者就業・生活支援センターなどと連携して行います。
6か月のあとも本人が支援を希望すれば、就職後の支援を行う別の障害福祉サービス(利用できる期間は3年間)へつなぐ連絡や調整をします(A型・B型は努力義務)。
この6か月の連絡は、加算を数えるときの記録にもなります。就職した日、6か月に達する日、勤め先との連絡の内容を、利用者ごとに残しておくと、届け出の確認がしやすくなります。

就職する人を出すために、事業所で用意しておくこと
国の資料によると、令和6年に就労系の障害福祉サービスから一般就労へ移った人は、28,943人でした。内訳は、就労移行支援が16,827人、A型が5,998人、B型が6,118人です。前年より約9%増えています。
就職する人を出すには、利用者が企業の仕事を知る機会と、企業が事業所を知る機会の両方が要ります。事業所で用意できるのは、次の3つです。
- 企業との接点:企業から仕事を受ける(企業の中で作業する施設外就労や、事業所で作業する受託)、企業見学に行く。作業の場で、企業の人に利用者の仕事ぶりを見てもらえる
- 実習と練習:模擬面接や、ハローワーク・障害者就業・生活支援センターと連携した研修を行う。就労移行支援では、職員が同行して企業実習を支援すると、移行準備支援体制加算(41単位)がある
- 就職後の連絡:勤め先と本人の両方に連絡する日を決めて、6か月間の記録を残す
企業から仕事を受ける方法は、企業から仕事を受けるには、施設外就労と受託の2つの形があるにまとめました。仕事を受けている企業は、障害のある人の雇用を考えるときに、最初に相談できる相手にもなります。
就職実績を、事業所の外から見える場所に載せる
この記事で書いた名簿(就職した日、6か月に達した日、就職先)があれば、事業所の就職実績はすぐにまとめられます。届け出に使うだけでなく、外から見える場所に載せておくと、利用を考えている人や企業が事業所を比べるときの手がかりになります。
ジョブリウム キャリアの事業所ページには「就職実績」の欄があり、無料のプランで使えます。管理画面の「利用者・スタッフ情報」で、年度別の就職者数(前年度・前々年度・3年前)、主な就職先、職場定着率を書くと、事業所ページの「就職実績」に表示されます。
ジョブリウムでは、障害者雇用を考える企業へ、キャリアに掲載している事業所をご紹介する取り組みを進めています。就職実績や作業の内容が事業所ページに書いてあれば、企業に事業所を説明するときの材料になります。
ジョブリウム キャリアに、事業所を無料で掲載する

アカウントの登録、事業所ページの公開、問い合わせの受け取りは無料です。掲載のあとで、管理画面の「利用者・スタッフ情報」にある「年度別の就職者数」「主な就職先」を書いておいてください。掲載のしかたについてのご相談も受け付けています。
参考
- 障害福祉サービス等の費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(こども家庭庁・厚生労働省告示第五号・令和8年3月31日・新旧対照表・PDF) 加算の算定式、定員数の上限、過去3年間の扱いの出典です
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム・令和8年2月18日・PDF) 令和8年度の見直しと、その理由の出典です
- 障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年度障害福祉サービス等報酬改定・PDF) A型・B型の加算の単位と、就労移行支援の基本報酬の出典です
- 障害福祉サービス費等の費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年10月31日 障発第1031001号・令和8年5月28日改正の新旧対照表・PDF) 就労定着者の定義、6か月の数え方、転職した場合の扱い、就労移行支援の定着の割合の出典です
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.7(令和7年1月24日・PDF) 同じ利用者について複数回算定できない例の出典です
- 就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫(障害福祉報酬改定検討チーム 第64回・令和8年9月28日・資料・PDF) 令和9年度に向けた見直しの案、一般就労への移行者数(令和6年)、移行準備支援体制加算の出典です
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム・令和6年2月6日・PDF) 就労移行支援の定員10人からの実施の出典です
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第182条・第195条・第202条(e-Gov法令検索) 就職後6か月の支援の義務と努力義務の出典です
- 厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について(令和7年3月31日改正・PDF) A型スコアの「利用者の知識及び能力の向上」の出典です
本記事は2026年10月時点の告示と通知にもとづいています。
