就労支援事業所向けコラム

企業から仕事を受けるには、施設外就労と受託の2つの形がある|条件と、頼んでもらう前に用意すること

企業から仕事を受けて、生産活動(事業所が売上を得るために行う作業)の売上を増やすとき、受け方は2つあります。利用者が企業の中で作業する「施設外就労」という形と、事業所に作業を持ち帰って行う受託です。

施設外就労には、国の通知で決まった5つの条件があります。契約は請負で、利用者への指導は事業所の職員が行います。古い解説によく出てくる「定員の7割まで」「施設外就労加算」は、いまの通知にはありません。一方で、令和9年度の報酬改定に向けて、施設外就労の条件を厳しくする案が国の検討チームで出ています。この記事では、いまの条件と見直しの案、企業に話を持ちかける前に紙にしておく3つ(できる作業・単価・品質と納期)を書きます。

企業の仕事の受け方は2つ。企業の中で作業するか、事業所で作業するか

施設外就労とは、企業から請け負った作業を、その企業の中で行う支援のことです。就労移行支援、就労継続支援A型・B型で行えます。工場のライン作業、倉庫の仕分け、店舗の品出しや清掃などを、利用者と職員が企業へ出向いて行う形です。

もう1つは、企業から受けた作業を事業所の中で行う形です。封入・発送、検品、データ入力など、物やデータを事業所に運べる仕事が向いています。こちらは事業所の中での生産活動なので、施設外就労のための条件はかかりません。

似た言葉の「施設外支援」は、企業での実習などを支援するもので、1年に180日までという上限があります。施設外就労とは別の決まりです。

施設外就労の条件は5つ。古い資料にある決まりのうち4つは、いまはない

施設外就労の条件は、厚生労働省の通知「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」に書かれています。いまの版は、令和7年3月31日に改正されたものです。報酬を受けるには、次の5つをすべて満たします。

  • 施設外就労をする人の総数が、事業所の利用定員を超えない
  • 報酬を受けるのに必要な人数の職員を、施設外就労の側と事業所の側の両方に置く
  • 事業所の運営規程(事業所の運営のしかたを定めた規程)に、施設外就労を行うことが書かれている
  • 施設外就労を含めた個別支援計画を、事前に作っている
  • 緊急のときに対応できる

個別支援計画は、作っておくだけでは足りません。施設外就労が、仕事の力や工賃(賃金)を上げること、一般就労へ移ることに役立つと認められる必要があります。都道府県や市が、実地の調査で確かめます。

施設外就労のいまの条件は5つ。利用定員を超えない、企業側と事業所側の両方に必要な職員を置く、運営規程に書く、個別支援計画に事前に入れる、緊急時に対応できる。いまは無い決まりは、定員の7割まで(平成30年4月に廃止)、月2日の達成度の評価(令和3年4月に削除、令和9年度に向けて月2日は事業所内で評価する案あり)、施設外就労加算1日100単位(令和3年4月に廃止)、実績の毎月提出(令和6年度から不要・記録は保存)

古い資料と食い違いやすいのは、次の4つです。

古い資料に出てくる決まりいまの扱い
施設外就労は利用定員の7割まで平成30年4月に廃止。いまは「利用定員を超えない」
月の利用日のうち2日は、訓練目標の達成度を評価する令和3年4月に通知から削除。令和9年度に向けて、月2日は事業所の中で評価する案が出ている
施設外就労加算(1日100単位)令和3年4月に廃止。基本報酬の中で評価する
実績を毎月の報酬請求と一緒に提出する令和6年度から提出は不要。記録を作って保存する

月2日の決まりが消えても、評価がいらなくなったわけではありません。訓練目標の達成度を評価して、必要なら施設外就労の目標や個別支援計画を見直します。実績の記録も、提出しないだけで、作って保存しておく必要があります。市などが利用者の状況を確かめたいときは、この記録を見せることになります。

令和9年度に向けて、施設外就労の条件を厳しくする案が出ている

令和8年9月28日の報酬改定検討チーム(第64回)で、施設外就労の見直しの案が示されました。理由に挙がっているのは、企業が自社で人を雇う代わりに安い労働力として作業を出すこと、事業所への給付費が施設外就労先を通して給料や工賃に回ることへの懸念です。案は次のとおりで、まだ決まったものではありません。

  • すべての施設外就労先の企業名、住所、作業の内容、人数の規模、実施の予定期間を運営規程に書く
  • 施設外就労先は「県内」「事業所の所在地から2時間以内」など、都道府県や市が決めた範囲に限る
  • 原則として、月2日は事業所の中で訓練目標の達成度を評価する
  • 施設外就労先ごとの収支を書いた「生産活動シート」を作り、都道府県や市に出して事業所のホームページで公表する
  • 施設外就労の場所も、都道府県や市が実地で確かめられる場所だと明確にする

請負の期間や金額が小さい場合は、運営規程への記載とシートから外す案です。案が決まれば、決められた範囲の外にある施設外就労先では続けられません。単価の安い契約も、施設外就労先ごとの収支として都道府県や市に見られます。いまのうちに、施設外就労先ごとに作業の内容・人数・期間と、売上・経費を分けて記録しておくと、案が決まったときに書類を作りやすくなります。

職員の配置は、その日に企業へ出る人数で数える

施設外就労の側には、その日に施設外就労をする利用者の人数に対して、報酬を受けるのに必要な人数の職員を置きます。人数は常勤換算(職員の勤務時間を合わせ、常勤の人の勤務時間で割って人数にする数え方)で数えます。通知に「職員が必ず1人つく」のような決まった人数は書かれていません。

事業所の側は、施設外就労に出る人を除いた前年度の平均利用者数で、必要な職員を数えます。サービス管理責任者だけは、施設外就労の人を含めて数えます。施設外就労の人の個別支援計画も作るからです。

施設外就労に出ている人と同じ人数を、事業所の利用者として新しく受け入れることもできます。たとえば5人が施設外就労に出ているなら、事業所でも5人まで新しく受け入れられます。報酬の単価は、事業所の利用定員にもとづく単価のままです。

企業へついていく職員の仕事も、通知に挙がっています。利用者の作業のようすや希望、力をつかむこと、企業での作業の段取りを決めること、作業の指導、企業や家族との連絡などです。

契約は請負。指導するのは企業ではなく、事業所の職員

施設外就労では、企業と請負の契約を結びます。通知では、作業を完成させる責任はすべて事業所を運営する法人が負うこと、企業から法人へ払われる代金は、完成した作業の内容で決めることが求められています。企業の機械や設備を借りるなら、お金を払って借りるか、無料で借りるかの契約を結びます。材料を企業から受け取るなら、代金の払い方を契約に書いておきます。

現場での指導は、企業ではなく事業所の職員が行います。作業は企業から独立して行い、利用者と企業の従業員が一緒に同じ作業を処理しないことも条件です。たとえば企業の社員が利用者に直接「次はこれをやって」と指示する形は、この条件から外れます。

A型の利用者は事業所と雇用契約を結んでいます。雇用している人を請負の形で企業の中で働かせるとき、企業が指示を出すと、労働者派遣と見なされるおそれがあります。請負か派遣かを分ける国の基準があるので、A型の事業所は契約の前に確かめておいてください。

企業に最初に話すときは、この2点を先に伝えておくと話が早く進みます。指示は事業所の職員を通すこと、代金は時間ではなく完成した作業で決めることです。

事業所で受ける作業も、売上と給料・工賃の関係は同じ

事業所の中で受ける作業には、施設外就労のような条件はありません。ただ、生産活動であることは同じです。A型は、生産活動の売上から経費を引いた額が、利用者に払う給料の総額以上でなければなりません。届かないときは、経営改善計画という立て直しの計画書を、都道府県などに出すことになります。

B型は、生産活動の売上から経費を引いた額を、工賃として払います。1人あたりの月の工賃の平均は、3,000円を下回ってはいけません。どちらの決まりでも、生産活動の売上が給料や工賃の元手です。安く受けすぎると、給料や工賃に回せるお金が足りなくなります。

就労支援事業所の作業室で、利用者が机に向かって軽作業をしている

企業に頼んでもらう前に用意する3つ

企業の担当者が知りたいのは、何を、いくらで、いつまでにやってもらえるかです。この3つを先に紙にしておくと、話を持ちかけるときも、問い合わせが来たときも答えやすくなります。

できる作業の一覧

いま事業所で行っている作業を書き出します。作業の名前だけでなく、1日に何件くらいできるか、事業所で受けるか企業へ出向くかも書きます。パソコン作業なら使えるソフト、軽作業なら扱える物の大きさや重さも書いておくと、企業が自分の仕事に置きかえて考えられます。

単価の出し方

単価は、実際に作業にかかる時間を測ってから決めます。試しに数十件を作業してもらい、1件にかかる時間を出します。その時間に、作業する人の時間あたりの給料や工賃を掛けます。そこに材料費や送料などの経費を足したものが、1件あたりの代金の下限です。

A型なら、その代金で利用者の給料をまかなえるかを必ず確かめます。最低賃金が上がった年は、前の年と同じ単価では足りないことがあります。都道府県ごとの最低賃金と人件費の増え方は、記事「最低賃金の改定で、A型の人件費は都道府県ごとにいくら増えるか」にまとめました。

品質と納期の約束のしかた

品質は「どこまでできたら完成か」を、見本や写真で企業とすり合わせます。数え間違いや汚れなどの確かめ方と、誰が最後に確かめるかも、作業を始める前に決めます。納期は、利用者が休む日があることを前提に、余裕を持った日数で約束します。急ぎの仕事を断る基準も、先に決めておくと迷いません。

1つの事業所で受けきれない量の仕事は、都道府県の「共同受注窓口」を通すこともできます。複数の事業所がまとまって仕事を受け、品質の確認も一緒に行う窓口です。厚生労働省のページに窓口の一覧がありますが、平成31年1月時点のものです。いまの窓口は都道府県に確かめてください。

事業所の職員が丸テーブルで資料を見ながら相談している

企業に「発注すると国からお金が出るのか」と聞かれたら

障害者雇用を進めている企業から、こう聞かれることがあります。在宅就業障害者特例調整金という制度のことです。従業員100人を超える企業は特例調整金、100人以下の企業は特例報奨金を受け取れます。ただし、A型・B型の事業所にふつうに発注しただけでは対象になりません。

対象になるのは、企業が障害のある人本人と書面で契約して直接発注する場合と、国に登録した在宅就業支援団体を通して発注する場合です。A型の利用者は事業所に雇われているので、対象になりません。B型の事業所を運営する法人が在宅就業支援団体に登録していれば、対象になる場合があります。

A型は、スコア表の「地域連携活動」にもつながる

A型のスコア表には「地域連携活動」の項目があり、取り組みの例に、地元企業と協力して仕事を切り出し、施設外就労で企業の中に働く場をつくる活動が挙がっています。ただし、施設外就労をしただけでは10点になりません。生産活動の売上につながる活動が、おおむね3か月以上続いていること、連携先の意見を書いた報告書を公表することが条件です。点のつけ方は、記事「A型のスコア表の読み方と点の上げ方」に書きました。

企業から仕事の相談が来るように、受けられる作業を外に出しておく

企業が仕事を頼む事業所を探すとき、手がかりになるのは、どんな作業を受けているかが分かる情報です。できる作業の一覧を作ったら、事業所の中だけに置かず、外から見える場所に載せておきます。

ジョブリウム キャリアの事業所ページには「仕事内容」の欄があります。管理画面の「仕事内容の詳細」に、作業ごとにタイトルと説明を登録でき、無料のプランで使えます。この記事で作った作業の一覧を、そのまま書き写せます。

ジョブリウムでは、企業から仕事の相談を受け、キャリアに掲載している事業所へお渡しする取り組みを進めています。仕事内容を書いておけば、作業に合う事業所を探すときの手がかりにもなり、利用を考えている人への案内にもなります。

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事業所の職員がノートパソコンで事業所のページを確かめている

アカウントの登録、事業所ページの公開、問い合わせの受け取りは無料です。掲載のあとで、受けられる作業を「仕事内容の詳細」に書いておいてください。掲載のしかたについてのご相談も受け付けています。

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参考

本記事は2026年10月時点の通知と法令にもとづいています。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

ジョブリウム キャリアに、事業所を無料で掲載できます

事業所を探している利用者さんやご家族から、見学や問い合わせを受け付けられます。掲載情報は管理画面から自分で直せます。

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