就労支援事業所向けコラム

見学に来た人が通い始めるまでに、就労支援事業所が準備すること|次の手順の紙・体験・契約の日

見学に来た人が「通ってみたい」と言って帰ったのに、そのあと連絡が途切れて、利用の申し込みにつながらないことがあります。

見学から通い始めるまでには、本人が市町村に申請して、支給決定(市町村がサービスの利用を認めること)を受けるまでの期間があります。その間、手続きがどこまで進んでいるかは事業所から見えません。来月から整えられるのは次の3つです。

  • 見学の日に、次の手順を紙で渡す
  • 連絡する日と体験の日を、その場で決める
  • 受給者証(支給決定の内容が書かれた証明書)が届いてから初日までにやることを、先に用意しておく

利用を始めるまでの流れと、見学の日に見てもらうものは、記事「就労支援事業所の利用者が集まらないときの募集方法」に書きました。この記事では、見学が終わってから初日までに事業所がすることを書きます。

見学から支給決定まで、事業所から見えない期間がある

支給決定の申請から決定までにかかる日数は、市町村ごとに違います。行政手続法では、市町村は申請から決定までにかかる標準的な日数(標準処理期間)を決めるよう努め、決めたら公表することになっています。たとえば訓練等給付費の支給決定について、堺市は75日、栃木市は30日としています。

この日数は申請してから決定するまでの期間で、受給者証が手元に届くまでの日数ではありません。事業所のある市町村の障害福祉の窓口に、ふだんどのくらいかかっているかを聞いておくと、見学に来た人に「いつごろ通い始められるか」を説明できます。

新しくB型を使う人は、2025年(令和7年)10月から、原則として先に就労選択支援を使います。B型の見学に来た人には、申請のときに就労選択支援の手続きも入ることを伝えておきます。

見学の日の終わりに、次にすることを紙で渡す

見学の日に「通いたい」と言ってもらえても、本人と家族が次に何をすればよいか分からなければ、手続きは進みません。見学の最後に、次にすることをA4の紙1枚にまとめて渡します。入れておきたいのは次の項目です。

  • 申請する市町村の窓口の名前、場所、電話番号
  • まだ相談支援専門員がいない人のための、近くの相談支援事業所の一覧
  • 申請に持っていくものは窓口で確かめること
  • 次に事業所から連絡する日と、事業所の担当者の名前
  • 体験の日と時間(決まっていれば)
見学のあとから初日まで事業所がすること。1 見学の日に次の手順を書いた紙を渡し、連絡する日を決める。2 連絡の日に申請と相談支援専門員が決まったかを聞く。そのあと計画案と支給決定があり、日数は市町村ごとに違う。3 受給者証が届いたら有効期間と支給量、負担上限月額を確かめる。4 契約の日に重要事項の説明と契約をし、受給者証に記入する。5 最初の1か月で本人と面接し、個別支援計画を作る

相談支援事業所の一覧には、本人が選べるように複数の事業所を載せます。WAM NET の障害福祉サービス等情報検索で、サービスの種類を計画相談支援にすると、地域の相談支援事業所を探せます。

この紙は、見学に来た人ごとに作り直す必要はありません。窓口と相談支援事業所の欄は共通にしておき、連絡する日と体験の日だけを、その場で手書きで書き足します。

見学のあとの連絡は、日にちを決めておく

見学の最後を「何かあればご連絡ください」で終えると、本人と家族から電話をかけてくるのを待つことになります。見学の日に、事業所から連絡する日をその場で決めて、紙にも書いておきます。

連絡の日には、申請が済んだか、相談支援専門員が決まったかを聞きます。本人の了解を得たうえで、担当の相談支援専門員とも話しておきます。計画案を作る予定や、サービス担当者会議の日が分かれば、事業所の側でも準備を始められます。

体験利用は、支給決定の前と後で扱いが違う

見学のあと、何日か作業を試してから決めたいという人もいます。この「体験利用」は、法令で決まった手続きではありません。日数ややり方は、事業所ごとに決めることになります。市町村が扱いを決めていることもあるので、窓口にも確かめておきます。

決めるときに知っておきたいのは、給付の扱いです。支給決定の前に作業を試してもらう日には、原則として訓練等給付費は出ません。給付の対象は、支給決定の有効期間の中で利用した日だからです。

例外は、申請してから決定が出るまでの間に、緊急でやむを得ない理由で利用した場合です。このときは、市町村が必要と認めれば特例の給付が出ることがあります。

就労支援事業所の作業室で、職員が若い男性のそばに立ち、部品を箱に分ける作業のやり方を説明している

支給決定のあとに試す方法もあります。A型と就労移行支援では、最初の支給決定が、2か月以内で期間を区切った「暫定支給決定」になることがあります。この期間に、本人が通い続けられるか、サービスが合っているかを確かめます。B型には暫定支給決定はありません。

暫定支給決定の期間中、事業所はアセスメントや個別支援計画、支援の実績と評価の結果をまとめて、市町村と相談支援事業所に出します。

支給決定の前に体験の日を設けるなら、何日間か、何時から何時までか、どの作業をしてもらうか、交通費や昼食をどうするかを先に決めます。決めたことは、見学の日に渡す紙にも書いておきます。

受給者証が届いたら、契約の前に確かめること

支給決定が出ると、本人に受給者証が届きます。事業所は利用の申し込みを受けたら、受給者証で次のことを確かめます。運営基準で決まっていることです。

  • 支給決定を受けているか
  • 支給決定の有効期間
  • 支給量(決められた利用の量)

受給者証には、負担上限月額も書かれています。同じ月にほかの事業所も使う人は、上限額の管理をどの事業所がするかを確かめておきます。

契約をしたら、事業所は受給者証の事業者記入欄に、事業所の名前、サービスの内容、契約支給量(その事業所で使うと契約した量)、契約日を書きます。運営基準では、契約の内容を市町村に遅滞なく報告することにもなっています。

報告に使う「契約内容報告書」は、2025年(令和7年)8月に国から出た事務連絡を受けて、提出を省いた市区町村があります。それでも、受給者証の事業者記入欄への記入は省けません。報告書が要るかどうかは、事業所のある市町村に確かめてください。

契約の日から最初の1か月にすること

契約の日には、運営規程の概要や職員の体制などを書いた重要事項の文書を渡して説明し、本人の同意を得てから契約します。見学の日に写しを渡しておけば、本人と家族が読んでから契約の日に来られます。

A型では、利用の契約とは別に、利用者と雇用契約を結ぶのが原則です。雇用契約を結ぶときは、契約期間、働く場所と仕事の内容、始業と終業の時刻、休憩と休日、賃金、退職のことを書面で渡します。本人が希望すれば、電子メールなどで渡すこともできます。

丸いテーブルで、事業所の職員が男性と書類を見ながら話している

通い始めたら、サービス管理責任者が個別支援計画を作ります。運営基準で決まっている順番は次のとおりです。

  1. 本人に面接して、希望や生活の様子を聞く(アセスメント)
  2. 計画の原案を作る
  3. 本人と担当の職員が出る会議を開き、本人の希望を改めて確かめて、原案について意見を聞く
  4. 本人(または家族)に原案を説明し、文書で本人の同意を得る
  5. できた計画を、本人と相談支援事業所に渡す

計画の見直しは、A型とB型は少なくとも6か月に1回、就労移行支援は3か月に1回以上です。

利用を始めてから30日の間は、初期加算として1日30単位を算定できます。利用を始めたばかりの時期は、自宅を訪ねて生活の様子を聞くなど、アセスメントに手間がかかるためです。数えるのは、暦の上の30日間のうち、実際に通った日だけです。会社に勤めている人が一時的に利用する場合などは、対象として想定されていません。

最初の1か月でアセスメントと計画づくりを終えられるよう、面接の日と会議の日は、契約の日に決めます。

見学の前に読んでもらう情報を、ジョブリウム キャリアにそろえる

見学の日に渡す紙の内容は、見学に来る前に読んでもらうこともできます。作業の内容や1日の時間割、体験の受け方を先に知っていれば、見学の日は質問に時間を使えます。見学のあとに家族と相談するときも、同じページを見返せます。

ジョブリウム キャリアは、就労支援事業所を探している人が、地域や最寄り駅、サービスの種類から事業所を探して比べるためのサイトです。事業所のページは WAM NET で公表されている情報をもとに作られているので、あなたの事業所のページもすでにあるかもしれません。ただ、WAM NET には写真を載せる項目が無いので、そのページに作業場の写真は入っていません。

事業者として無料でアカウントを登録すると、そのページを引き継いで、管理画面から次のことができます。まだ載っていない事業所は、新しく登録できます。

  • 写真、作業内容、事業所からのメッセージを書き足す
  • ブログで、見学や体験の流れ、受給者証が届いてから通い始めるまでの手順を伝える
  • 利用を考えている人からの問い合わせを、管理画面のメッセージで受け取り、返信する

ジョブリウム キャリアに、事業所を無料で掲載する

事業所の職員がノートパソコンで事業所のページを確かめている

まずはジョブリウム キャリアの事業所検索に事業所名を入れて、いまのページがどう見えているかを確かめてください。アカウントの登録と事業所ページの公開に費用はかかりません。見学の日に渡す紙を作るときに、同じ写真と手順をページにも載せておくと、作業が1回で済みます。

事業所を無料で掲載する

参考

本記事は2026年10月時点の制度と公表資料にもとづいています。標準処理期間や契約内容報告書の扱いは市町村ごとに違うため、事業所のある市町村の案内で確かめてください。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

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事業所を探している利用者さんやご家族から、見学や問い合わせを受け付けられます。掲載情報は管理画面から自分で直せます。

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