就労支援事業所向けコラム

就労支援事業所の利用者が集まらないときの募集方法|相談支援専門員・見学・ポータルで来月からできること

定員に空きがある月が続いている。相談支援事業所への挨拶回りもしたし、ホームページもある。それでも見学の申し込みが増えない。そういう事業所は少なくありません。

就労系のサービスを使い始める人は、市町村の支給決定を受ける前に、相談支援専門員と一緒に(または本人と家族だけで)使う事業所を考えます。来月から変えられるのは、その場面に合わせた3つです。相談支援専門員に渡す情報、見学の受け方、本人と家族が事業所名を検索したときに出てくるページです。

以下では、利用が始まるまでの流れを確かめたうえで、3つそれぞれの見直し方を書きます。紹介のお礼や金品について、運営基準で決まっていることにも触れます。

利用が始まるまでに、事業所を選ぶ場面は2回ある

就労移行支援や就労継続支援A型・B型を使うには、本人が市町村に申請して、支給決定を受けます。事業所と契約するのは、そのあとです。新しくB型を使う人は、2025年(令和7年)10月から、原則として先に就労選択支援を使います(50歳以上の人などは例外です)。

市町村は、支給を決める前に「サービス等利用計画案」(どのサービスを、どれくらい使うかの計画)を出すよう本人に求めます。計画案を作るのは、指定特定相談支援事業所の相談支援専門員です。本人が希望する場合や、近くに相談支援事業所が無い場合は、本人や家族が作った計画案(セルフプラン)でもかまいません。

利用を始めるまでの流れ。1 市町村に申請、2 相談支援専門員か本人・家族(セルフプラン)が計画案を作る(事業所を選ぶ場面の1回目)、3 支給決定で受給者証が届く、4 サービス担当者会議と契約(事業所を選ぶ場面の2回目。セルフプランは直接契約)、5 契約して通い始める

事業所を選ぶ1回目は、この計画案を作るときです。相談支援専門員は計画を作り始めるとき、地域の事業所のサービスの内容や利用料などの情報を、本人と家族に伝えることになっています。このとき専門員が事業所の様子を知らなければ、候補に挙がりにくくなります。

2回目は、支給決定のあとです。相談支援専門員は計画に入れた事業所の担当者を集めて「サービス担当者会議」を開き、意見を聞いてから計画を決めます。事業所は、ここで初めて本人と顔を合わせることもあります。セルフプランの場合はこの会議が無く、本人と家族が事業所と直接話して契約します。

A型と就労移行支援では、最初の支給決定が、2か月以内で期間を区切った「暫定支給決定」(続けるか、合っているかを確かめる期間)になることがあります。

セルフプランの割合は、2022年(令和4年)3月末時点で計画相談支援の全国平均が15.6%でした。全国平均では、計画案の8割以上を相談支援専門員が作っています。ただし都道府県による差が大きく、40%を超える府県もあります。セルフプランが多い地域ほど、本人と家族が自分で調べたときに見るページが大事になります。

相談支援事業所に、空きと作業内容を伝える

運営基準では、相談支援事業所が行う利用者の紹介や、サービス担当者会議への出席の依頼に、事業所はできる限り協力することになっています。協力するには、まず専門員に事業所のことを知ってもらう必要があります。

挨拶に回るときは、パンフレットだけでなく、専門員が本人に説明するときに使える情報をA4の紙1枚にまとめて渡します。入れておきたいのは次の項目です。

  • いまの空き(何曜日に何人まで受け入れられるか)
  • 作業の内容と、1日の時間割
  • 賃金や工賃の決め方と、最近の平均額
  • 利用時間、送迎と昼食があるか
  • 見学できる曜日と時間、問い合わせの窓口
事業所の職員が、相談支援事業所の相談支援専門員にパンフレットを見せながら話している

空きは月ごとに変わります。空きが出たとき、埋まったときに、同じ紙を作り直して送り直すと、専門員が古い情報で本人に説明することを防げます。回る先は、WAM NET の障害福祉サービス等情報検索で、サービスの種類を計画相談支援にして探せます。利用者が通ってこられる範囲の相談支援事業所から、順に回ります。

サービス担当者会議に呼ばれたら、できるだけ出ます。本人と家族が事業所の職員と話せる場で、専門員が事業所の支援の様子を知る場でもあります。暫定支給決定の期間が終わるときには、事業所が評価の結果をまとめて、市町村と相談支援事業所に出します。この報告が分かりやすいことも、次の紹介につながります。

紹介のお礼に金品を渡さない。広告は大げさにしない

就労系の運営基準には、募集のやり方に関わる決まりがあります。

  • 相談支援事業所やほかの事業所に、利用者を紹介してもらったお礼として、金品などを渡してはならない。紹介した見返りに受け取ってもいけない
  • 事業所の広告をするときは、内容を事実と違うものや大げさなものにしてはならない
  • 正当な理由なく、利用の申し込みを断ってはならない

2025年(令和7年)3月31日の解釈通知の改正では、金品で利用者を誘うことも違反になると書き加えられました。例として、利用者が友人を紹介したときに、その利用者と友人に金品を渡すことが挙げられています。福祉以外の事業者や個人に、紹介の見返りを払うことも含まれます。

同じ改正では、ホームページなどに事業所の情報を載せてもらい、掲載料を払うことは、情報を載せることへの支払いなので違反しないと考えられる、としています。ただし、利用者を1人紹介されるごとに払うような、紹介の見返りと判断される場合は違反と考えられる、とも書いています。集客のサービスを使うときは、何に対して払うのかを確かめます。

断ってよい正当な理由は、いまの人数では受け入れられない場合や、入院での治療が必要な場合です。運営規程で主に受け入れる障害の種類を決めていて当てはまらない場合など、自分の事業所では適切な支援ができない場合も含まれます。

相談支援専門員の側にも、特定の事業所に偏らず公正中立に計画を作る決まりがあります。挨拶で渡す情報は、専門員が本人に複数の事業所を説明するときの材料になります。

見学の受け方を見直す

見学の受け方は、法令に決まりがありません。事業所ごとに決めてよい部分なので、変えやすいところです。

問い合わせから見学の日までは、できるだけ日をあけないようにします。電話に出られない時間帯がある事業所は、いつ折り返すかを留守番電話やホームページで伝えます。見学の日には、次のことを見てもらえるようにします。

  • 作業をしている時間と、休憩している時間の両方の様子
  • 1日の時間割と、通う日数や時間をどう決めるか
  • 賃金や工賃がどう決まるか
  • 本人が職員に、家族とは別に質問できる時間
作業室で、職員が見学に来た本人と家族に、袋詰めの作業の見本を見せながら説明している

その場で利用を決めてもらう必要はありません。利用の申し込みがあったときは、運営規程の概要や職員の体制などを書いた重要事項の文書を渡して説明し、同意を得てから始めます。見学の日に、この文書の写しを持ち帰ってもらうと、家族と相談するときの材料になります。

見学の結果は、本人の了解を得たうえで、担当の相談支援専門員にも伝えます。本人が気にしていたことが分かれば、専門員がほかの事業所と比べて説明するときにも役に立ちます。

本人と家族が自分で調べるときに見る場所

セルフプランで事業所を選ぶ人や、相談支援専門員の説明を聞いたあとで自分でも調べる人は、インターネットで事業所を探します。そのとき目にするのが、WAM NET の「障害福祉サービス等情報検索」と、民間の事業所検索サイトです。

WAM NET には、毎年の情報公表で報告した内容が載ります。報告の項目には「相談支援専門員等との連携の状況」も入っています。報告のしかたと、載っている内容が民間のサイトにも使われていることは、WAM NETの情報公表の記事で説明しています。

公表の項目は制度で決まっていて、作業場の写真や事業所からのメッセージは入っていません。本人と家族が見学に行くかどうかを決めるときに見たいのは、こうした様子です。検索サイトに事業所を載せて、写真と作業内容を足しておくと、専門員から名前を聞いた人がそのページで確かめることもできます。

ジョブリウム キャリアで、事業所を探している人に情報を届ける

ジョブリウム キャリアは、就労支援事業所を探している人が、地域や最寄り駅、サービスの種類から事業所を探して比べるためのサイトです。WAM NET で公表されている情報をもとに、2026年10月24日時点で全国の25,032件の事業所が載っています。

事業者として無料でアカウントを登録すると、すでに載っている自分の事業所のページを引き継いで、管理画面から編集できます。引き継ぐときは、WAM NET で公表されていたメールアドレスに届く確認コードか、書類で運営者であることを確かめます。まだ載っていない事業所は、新しく登録できます。できることは次のとおりです。

  • 写真、作業内容、キャッチコピー、事業所からのメッセージを書き足す
  • ブログで、作業の様子や見学・体験の流れを伝える
  • 利用を考えている人からの問い合わせを、管理画面のメッセージで受け取り、返信する
  • 利用者の口コミに、事業所から返信を書く

相談支援事業所に届ける紙と、検索サイトのページの内容をそろえておくと、専門員から事業所の名前を聞いた本人と家族が、同じ情報を自分の目で確かめられます。

ジョブリウム キャリアに、事業所を無料で掲載する

事業所の職員がノートパソコンで事業所のページを確かめている

まずはジョブリウム キャリアの事業所検索に事業所名を入れて、いまのページがどう見えているかを確かめてください。アカウントの登録と事業所ページの公開に費用はかかりません。相談支援事業所に渡す紙を作るときに、同じ写真と作業内容をページにも載せておくと手間が1回で済みます。

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参考

本記事は2026年10月時点の制度と公表資料にもとづいています。ジョブリウム キャリアの掲載件数は2026年10月24日時点です。支給決定やセルフプランの扱いは市町村ごとに違う部分があるため、事業所のある市町村の案内で確かめてください。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

ジョブリウム キャリアに、事業所を無料で掲載できます

事業所を探している利用者さんやご家族から、見学や問い合わせを受け付けられます。掲載情報は管理画面から自分で直せます。

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