情報公表の報告は、毎年都道府県から案内が来るので入力している。けれど、入力した内容を誰が見ているのかまでは考えたことがない。そういう事業所は少なくないはずです。
報告した内容は、WAM NET の「障害福祉サービス等情報検索」で誰でも見られます。民間の事業所検索サイトにも使われていて、ジョブリウム キャリアには、この公表情報をもとにした事業所ページが全国で25,032件あります。
ただ、ジョブリウムで公表データから作っただけのページでは、事業所の写真は無く(多くは仕事の種類ごとの共通の画像)、キャッチコピーや事業所からのメッセージも載っていません。この記事では、WAM NET に載る項目、報告と更新のしかた、報告しないと減算になる条件を説明します。最後に、公表データに無い情報を事業所が書き足す方法を書きます。
情報公表は、報告した内容を WAM NET で誰でも見られるようにする仕組み
障害福祉サービス等情報公表制度は、2018年(平成30年)4月に始まりました。事業所はサービスの内容などを都道府県知事に報告し、都道府県知事がその内容を公表します。
公表先は、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する「障害福祉サービス等情報検索」です。地図・住所・法人名・事業所名・事業所番号から、全国の事業所を探せます。
WAM は制度の目的を、利用者が自分に合った良質なサービスを選べるようにすること、事業者のサービスの質を上げることと説明しています。報告は役所に出す書類であると同時に、利用者向けの公開情報でもあります。
WAM NET の事業所ページに載っている項目
報告する項目は、国が施行規則で決めています。大きく「基本情報」と「運営情報」の2つに分かれます。
基本情報(どのサービスも共通)
- 法人と事業所の名称・所在地・電話番号、指定事業所番号、管理者の氏名
- 事業所までの主な交通手段
- 職種別の従業者の数、勤務形態や労働時間
- 研修の実施状況、苦情に対応する窓口
- 利用料、事業所の財務状況
運営情報
利用者のプライバシーを守る取り組み、相談・苦情への対応、相談支援専門員などとの連携、個人情報の保護、職員の計画的な研修などです。
就労継続支援A型だけの項目
A型には、サービス別の項目があります。主な生産活動の内容、利用者数、平均賃金、社会保険の加入、昇給・賞与・退職手当の有無、生産活動収入(年間売上高)、賃金支払総額、平均労働時間、離職者数です。利用を考えている人が確かめたい項目です。

事業所のページに出ないもの
運営情報とは別に、毎会計年度の終わりには「経営情報」(収益と費用、職種別の人員数など)も報告します。こちらは事業所ごとのページには出ません。国と都道府県などが、事業所をまとめて分析した結果として公表します。
報告はいつ、どこから入力するか
報告は「障害福祉サービス等情報公表システム」から入力します。流れは次のとおりです。
- 都道府県・指定都市・中核市が、事業者と事業所の基本情報をシステムに登録する
- 登録が済むと、システムから事業者の連絡用メールアドレスに、ログインIDと仮パスワードが届く
- 事業者がログインして事業所の詳しい情報を入力し、承認を申請する
- 都道府県などが承認すると公表され、WAM NET で検索できるようになる

報告の時期について、施行規則は「都道府県知事が定めるとき及び毎会計年度終了後」と定めています。期限は、都道府県などが毎年度の実施要綱で決めます。
通知が目安として示しているのは、いま運営している事業所は5月から7月末まで、新しく指定を受けた事業所は指定から1か月以内です。WAM NET は2026年度(令和8年度)の定期報告を5月1日に受け付け始めました。自分の事業所の期限は、指定を受けた自治体の案内で確かめてください。
承認を申請したあと、都道府県などが確認しているあいだ(画面の表示は「未承認」)は、入力も修正もできません。直したいときは、報告先の自治体に差し戻しを頼みます。
名称・電話番号などが変わったら、年1回の報告を待たずに直す
通知では、法人と事業所の名称、所在地、電話番号、FAX番号、ホームページ、メールアドレスは、変わったときに報告することになっています。ほかの項目は、年1回の定期報告で足ります。指定を受けた自治体が、変更のたびに更新するよう求めている場合は、その案内に従います。
電話番号やメールアドレスが古いままだと、事業所を探している人や相談支援専門員からの連絡が届きません。WAM NET の情報は、あとで書くようにほかのサイトにも使われるので、古い番号がそのまま広がります。
報告していないと、基本報酬が減ることがある
2024年度(令和6年度)の報酬改定で「情報公表未報告減算」ができました。就労移行支援と就労継続支援A型・B型は、所定単位数の5%が減算されます。障害者支援施設が行う場合は10%です。
減算になるのは、報告していないことが指定更新や運営指導などで分かり、都道府県などが指導しても報告しなかったときです。その場合、報告していなかった時点にさかのぼって減算されます。
厚生労働省のQ&Aによると、新規指定のときから報告していれば、年1回の更新を忘れただけでは減算になりません。ただし同じ回答で、内容が変わったときは更新するよう求めています。
経営情報の報告も、減算の対象です。2026年度(令和8年度)以降は、会計年度が終わってから3か月以内の報告期限を過ぎると、その翌月から対象になります。
法律は、報告しない事業所に、都道府県知事が報告を命じることができると定めています。命令に従わなければ、指定を取り消すこともできます。指定の更新のときにも、報告がされているかが確かめられます。
A型のスコアも、WAM NET で公表するのが原則になった
就労継続支援A型は、毎年度4月中にスコア(評価点)を公表します。2025年(令和7年)4月からは、公表先が原則として WAM NET の情報検索になり、事業所のホームページでもできるだけ公表することになりました。スコア表の読み方は、利用者向けに書いたA型事業所の閉鎖の記事でも説明しています。
公表された情報は、WAM NET の外でも使われている
WAM NET は、公表システムの事業所データを、毎年3月末と9月末の時点で CSV のオープンデータとして公開しています。営利・非営利を問わず、出典を書くなどの規約の条件を守れば、民間のサイトも使えるデータです。

ジョブリウム キャリアは、WAM NET で公表されている情報をもとに、全国の事業所を載せています。オープンデータの CSV には無い、賃金・工賃や生産活動の内容の項目もあります。2026年10月24日時点で25,032件です。内訳は、就労継続支援B型が18,706件、A型が4,501件、就労移行支援が1,825件です。
ジョブリウムが取り込んだ時点で公表されていた事業所は、名前・住所・定員など(作業内容や賃金・工賃は載っている事業所だけ)が、すでにジョブリウムのページになっています。そのあとに指定を受けて、まだ載っていない事業所は、新しく登録できます。
ジョブリウム キャリアは、就労支援事業所を探している人が、地域や最寄り駅、サービスの種類から事業所を探して比べるためのサイトです。事業所を探している人がそこで開くのは、公表データから作った事業所ページです。
公表データを取り込んだだけのページには、写真も事業所からのメッセージも出ていない
情報公表の項目は、制度で決められたものだけです。ジョブリウム キャリアで、公表データを取り込んだだけの事業所ページを開くと、次のようになっています。
- 事業所の写真は載っていない(多くは、仕事の種類ごとの共通の画像が出ている)
- 事業所からのメッセージとキャッチコピーは載っていない
- 利用者の年代や男女の割合の欄は出ていない
事業所を探している人が知りたいのは、作業場の様子や、職員と利用者の雰囲気です。取り込んだ時点で報告の「運営方針」や「特色」の欄に書いてあった文章は、ジョブリウムのページにも載っています。けれど、作業場の写真や事業所からのメッセージは、取り込んだ公表データには入っていません。こうした情報は、事業所が自分で書き足す必要があります。
ジョブリウム キャリアに載っている自分の事業所に、情報を足すには
ジョブリウム キャリアでは、すでに載っている事業所のページを、事業所が引き継いで編集できます。手順は次のとおりです。
- 事業者として無料でアカウントを登録する
- 事業所の登録画面で事業所名を入れると、すでに掲載されている事業所が候補に出る。自分の事業所を選んで、掲載情報の引き継ぎに進む
- ジョブリウムが取り込んだときに WAM NET で公表されていた事業所のメールアドレスに、6桁の確認コードが届く(有効期限は30分)。入力すると、すぐに引き継げる
- そのメールアドレスで受け取れない場合や、メールアドレスが公表されていない場合は、法人の登記事項証明書か、顔写真付きの本人確認書類を出す。運営スタッフが確かめて引き継ぐ(通常は数営業日)
引き継いだあとは、写真、作業内容、キャッチコピー、事業所からのメッセージを管理画面から書き足せます。登録した写真は、事業所のページだけでなく、検索結果の一覧に並ぶカードにも出ます(共通の画像がある事業所では、その後ろに並びます)。1日の流れや作業の様子は、ブログで載せられます。
利用を考えている人からの問い合わせは、管理画面のメッセージに届き、管理画面の通知にも出ます。そのままメッセージで返信できます。
ジョブリウム キャリアに、事業所を無料で掲載する

まずはジョブリウム キャリアの事業所検索に事業所名を入れて、いまのページがどう見えているかを確かめてください。アカウントの登録、掲載情報の引き継ぎ、事業所ページの公開に費用はかかりません。写真と作業内容を足すだけでも、事業所を探している人に伝わる情報が変わります。
参考
- 障害福祉サービス等情報公表制度(厚生労働省) 制度の成立と施行の時期、公表先の出典です
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 第76条の3(e-Gov法令検索) 報告・公表の義務、命令と指定取消しの出典です
- 障害者総合支援法施行規則 第65条の9の6・第65条の9の8・別表第一号・別表第二号(e-Gov法令検索) 報告の時期と報告する項目の出典です
- 障害福祉サービス等情報公表制度の施行について(厚生労働省 課長通知・令和7年9月1日最終改正・PDF) 報告期限の目安、変更時の報告、A型の項目の出典です
- 障害福祉サービス等情報公表システム操作説明書(事業者用)第1.8版(福祉医療機構・PDF) 報告から公表までの流れ、経営情報の公表方法の出典です
- 障害福祉サービス等情報公表システム関係連絡板(福祉医療機構) ログインIDと仮パスワードが届く方法の出典です
- 令和8年度定期報告のお願い(福祉医療機構・2026年5月7日) 2026年度の定期報告の受付開始日の出典です
- 障害福祉サービス等情報公表制度に関するQ&A VOL.2(厚生労働省・令和8年8月3日・PDF) 未承認のときの差し戻し、経営情報の減算の出典です
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(厚生労働省・PDF) 情報公表未報告減算と減算率の出典です
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1(厚生労働省・令和6年3月29日・PDF) 減算が適用される条件と、年1回の更新の扱いの出典です
- 「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」の一部改正について(厚生労働省・令和7年3月31日・PDF) A型のスコアの公表方法の出典です
- 障害福祉サービス等情報公表システムデータのオープンデータ(福祉医療機構) オープンデータの提供時期と二次利用の出典です
- 障害福祉サービス等情報検索 はじめに(福祉医療機構) 制度の目的の出典です
本記事は2026年10月時点の制度と公表資料にもとづいています。ジョブリウム キャリアの掲載件数は2026年10月24日時点、取り込んだだけの事業所ページの状態は同じ日に掲載ページで確かめたものです。報告の期限は都道府県・指定都市・中核市ごとに違うため、指定を受けた自治体の案内で確かめてください。
