就労支援事業所向けコラム

A型のスコア表の読み方と点の上げ方|7項目のうち、残りの5か月で動かせるもの

2025年3月末には、全国のA型の約2割で、生産活動の収支が利用者の賃金の総額を下回っていました。今年4月のスコアで、生産活動の点を落とした事業所もあると思います。

いまの仕組みのままなら、来年度(2027年度・令和9年度)の基本報酬の区分は、来年4月に出すスコアで決まります。そのスコアの大半は、今年度(令和8年度)の3月31日までの実績で決まります。2年続けて賃金の総額を下回った事業所なら、今年度に上回れるかどうかで、生産活動の点が40点か−20点かに分かれます。

いまから3月末までの5か月で、点に関わる項目は次のとおりです。

  • 生産活動と労働時間:今年度の毎月の数字が、そのまま点になる
  • 多様な働き方:2027年4月1日時点の就業規則で決まる
  • 支援力向上:研修や視察など、今年度の取り組みの実績で決まる
  • 地域連携活動と、利用者の知識・能力の向上:今年度の活動の報告書を作り、公表して点になる

この記事では、スコア表の各項目の見方と、項目ごとに今年度中にできることを書きます。

スコア表は2枚。1枚目で点を、2枚目で中身を見る

スコア表は、毎年度4月中に公表する2枚の様式です。1枚目の「スコア公表様式(全体表)」に、7項目の点と合計点が載ります。満点は200点です。

2枚目の「スコア公表様式(実績)」には、点のもとになった数字が載ります。1日の平均労働時間を出すための延べ労働時間と延べ利用者数、生産活動の3年分の収支の金額です。来年度の点を考えるときは、2枚目から見ます。

来年4月のスコアは何で決まるか。満点200点の7項目。労働時間5〜90点は今年度の1日の平均労働時間、生産活動マイナス20〜60点は今年度を含む3年度分の収支、多様な働き方0・5・15点は2027年4月1日の就業規則、支援力向上0・5・15点は今年度の研修や視察などの実績、地域連携活動0・10点は今年度の活動と報告書の公表、経営改善計画マイナス50・0点は求められた計画を期限までに出したか、知識・能力の向上0・10点は今年度の支援と報告書の公表で決まる。このうち多様な働き方、支援力向上、地域連携活動、知識・能力の向上は3月末までに動かせる

基本報酬は、合計点で7つの区分に分かれます。人員配置が7.5対1(サービス費Ⅰ)で定員20人以下の場合、1日あたりの単位数は次のとおりです。

  • 170点以上:791単位
  • 150点以上170点未満:733単位
  • 130点以上150点未満:701単位
  • 105点以上130点未満:666単位
  • 80点以上105点未満:533単位
  • 60点以上80点未満:419単位
  • 60点未満:325単位

2026年度(令和8年度)の報酬改定で、A型のスコアの項目と基本報酬の単位は変わっていません。厚生労働省の資料では、2025年12月時点で全国の4,360事業所のうち、130点以上150点未満が34.6%と最も多くなっています。

来年度の点は、今年度の3月31日までに決まる

7項目は、どの期間の実績を見るかが項目ごとに違います。来年4月に出すスコアで見ると、次のようになります。

  • 労働時間・支援力向上・地域連携活動・知識と能力の向上:今年度(2026年4月〜2027年3月)の実績
  • 生産活動:今年度を含む3年度分の収支
  • 多様な働き方:2027年4月1日時点の就業規則
  • 経営改善計画:都道府県から求められた計画を、期限までに出したか

届出も公表も、4月中に1回です。国の通知には、年度の途中でスコアを出し直す手続きは書かれていないので、今年度の実績は3月末までにそろえます。

なお、2027年度は3年に1回の報酬改定の年です。2026年9月28日の厚生労働省の検討チームでは、「支援の質」に関する点の配分を高めてはどうか、施設外就労をスコアで評価してはどうか、という方向が示されました。まだ検討の段階なので、この記事では今の配点で書きます。検討資料の見直しのイメージでも、地域連携活動、多様な働き方、支援力向上は項目名として残っています(中身は変わる可能性があります)。

労働時間(5〜90点):平均の出し方と、除いてよい日

労働時間の点は、利用者1人の1日の平均労働時間で8段階に分かれます。7時間以上なら90点、2時間未満なら5点です。4時間30分を境に、40点と55点に分かれます。平均が4時間20分の事業所は、あと10分で15点上がります。

平均は、前年度に雇用契約を結んでいた利用者の労働時間の合計を、延べ利用者数で割って出します。数え方には決まりがあります。

  • 休憩、遅刻、早退、欠勤の時間は入らない
  • 年次有給休暇(時間単位も含む)は入る
  • 健康面や生活面の面談の時間は、賃金を払っていれば入る

賃金を払って面談をしているのに、記録の上で労働時間に入れていない事業所は、勤怠の記録から見直します。

利用を始めたときに予想できなかった理由で、1日4時間未満しか働けなくなった人もいます。進行性の難病が進んだ、入院や退院の直後、家族の介護が必要になった、などの場合です。こうした人は、その人が短い時間になった日から90日分まで、計算から除いてかまいません。除くときは、理由を都道府県に届け出ます。

生産活動(−20〜60点):2枚目の収支の金額を先に見る

生産活動の点は、3年度分の生産活動の収支が、利用者に払った賃金の総額以上だったかで6段階に分かれます。収支とは、生産活動の収入から経費を引いた額です。

  • 60点:3年度とも賃金総額以上
  • 50点:前年度と前々年度が賃金総額以上
  • 40点:前年度だけが賃金総額以上
  • 20点:前々年度だけが賃金総額以上(前年度は下回った)
  • −10点:前年度と前々年度がどちらも下回った
  • −20点:3年度とも下回った

20点は、前年度が賃金総額を下回ったという意味です。マイナスは、2年度以上続けて下回ったことを示します。賃金総額には、給料のほか手当や賞与など、労働の対価として払ったものがすべて入ります。

今年度の結果は、来年4月のスコアで「前年度」として扱われます。たとえば、2024年度と2025年度がどちらも下回った事業所を考えます。今年度に賃金総額を上回れば40点、また下回れば−20点です。差は60点あります。

今年度の収支は、年度末になってから見るのでは間に合いません。毎月の試算で、生産活動の収支と賃金の総額を並べて見ておきます。

就労支援事業所の作業室で、職員が若い男性のそばに立ち、部品を箱に分ける作業のやり方を説明している

利用者の側から見たスコア表の読み方は、利用者向けの記事「A型事業所は来年もある?」に書いています。

経営改善計画(−50点か0点):出していれば減点されない

生産活動の収支が賃金総額を下回ると、運営基準に合っていないことになります。都道府県などは、事業所に経営改善計画を出させ、原則1年の改善の期間を置きます。

スコアで−50点になるのは、求められた計画を期限までに出さなかった場合だけです。期限までに出した事業所と、求められていない事業所は0点です。計画を出したこと自体で点は下がりません。前年度の実績に関する計画の提出期限は、都道府県などがその年度の上半期を目安に決めます。

計画を出したあと、改善の見込みがない場合や計画の結果も基準を満たさない場合は、勧告や命令を経て、指定の取り消しや停止が検討されます。利用者を不当に退所させたり、賃金を不当に下げたりして収支を合わせる計画は、認められません。

多様な働き方(0・5・15点):4月1日の就業規則で決まる

多様な働き方は、次の8つの制度を就業規則などに定めているかで点が決まります。1つ定めていれば1点です。5点以上で15点、3〜4点で5点、2点以下は0点になります。

  • 資格の取得を支える制度
  • 利用者を職員に登用する制度
  • 在宅勤務
  • フレックスタイム制
  • 短時間勤務
  • 時差出勤
  • 時間単位の年次有給休暇、または年次有給休暇の計画的付与
  • 病気やけがのときの休暇

この項目だけは、前年度の実績を見ません。毎年度4月1日時点の就業規則などの内容で評価します。2027年4月1日までに就業規則に定めれば、来年4月のスコアに入ります。

A型では、雇用契約を結んだ利用者も労働者です。利用者を含めて常に10人以上が働く事業所は、就業規則を変えるときに手続きが要ります。利用者を含む労働者の過半数を代表する人の意見を聞き、労働基準監督署に届け出て、利用者を含む全員に知らせます。この手続きも含めて、4月1日に間に合わせます。

働く人が常に10人未満の事業所は、就業規則を作る義務がありません。それでもこの項目で点を取るには、就業規則かそれに準じるものを作って、制度を書いておく必要があります。フレックスタイム制、時間単位の年休、年休の計画的付与は、労使協定も必要です。

制度を書くときは、実際に使えるかを確かめます。在宅勤務を定めたなら、在宅でできる作業と、連絡や勤怠の記録の方法も決めます。

支援力向上(0・5・15点):3月31日までの実績が要る

支援力向上は、前年度に次の取り組みをしたかで点が決まります。点の付き方は多様な働き方と同じで、1つ1点、5点以上で15点です。

  • 研修計画を作り、職員が外部や内部の研修に参加する
  • 職員が外部の研修会などで発表する
  • 先進的な事業所を視察する、実習に行く、または受け入れる
  • 販路を広げるための商談会などに参加する
  • 人事評価にもとづく定期昇給の仕組みを書面にし、全職員に知らせる
  • 障害者ピアサポート研修を修了した職員を置く
  • 第三者評価を受けて公表する
  • ISOなどの認証を取る

こちらは規程を作るだけでは点になりません。今年度の3月31日までに、実際に取り組んだ記録が要ります。研修に参加する職員は、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員です。管理者や事務の職員は含みません。内部の研修は、外部の講師を招いて、おおむね半日以上かけて行う研修が対象です。

人事評価の仕組みは、前年度に運用されていることが条件です。第三者評価は、前年度の末日から数えて過去3年以内に受けたものが対象になります。

残りの5か月で取りやすいのは、研修計画を作って研修に出ることと、視察や商談会への参加です。先進的な事業所の例として、国の通知はスコアの合計が170点以上のA型などを挙げています。

丸いテーブルで、事業所の職員が男性と書類を見ながら話している

地域連携活動と知識・能力の向上(各10点):報告書を公表するまでが要件

地域連携活動は、前年度に地域と連携した活動をして、その報告書を作って公表すると10点です。報告書には、活動の内容と、連携した企業や官公庁などの意見を書きます。生産活動の収入につながる活動で、おおむね3か月以上続いているものが想定されています。

利用者の知識・能力の向上も、前年度に支援をして報告書を作り、公表すると10点です。報告書には、支援の内容と、利用者や連携先の企業などの意見を書きます。ハローワークの職員などを講師に招いてもかまいません。

どちらも、活動をしただけでは点になりません。報告書は国の様式があり、スコア表とあわせて公表します。今年度に活動をしている事業所は、連携先や利用者の意見を、3月までに聞いておきます。

スコアの公表を都道府県に届け出ないと、基本報酬が減算される

スコアの算定区分は、毎年度4月中に都道府県へ届け出ます。公表も4月中で、原則は WAM NET の障害福祉サービス等情報検索に載せます。新しく指定を受けた事業所は、初年度(年度の途中に指定を受けた場合は2年度目まで)は公表しなくてよく、80点以上105点未満とみなして報酬を計算します。

公表について都道府県に届出がないと、「自己評価未公表減算」として所定単位数が100分の85になります。届出がない月から解消した月まで、利用者全員が対象です。都道府県から求められたときに出せるよう、勤怠の記録、賃金台帳、就業規則、研修の修了証などの根拠の資料もそろえておきます。

WAM NET の情報公表の仕組みは、記事「WAM NETの情報公表とは」に書きました。

整えた制度は、事業所を探している人にも伝える

在宅勤務、短時間勤務、時差出勤、資格の取得を支える制度は、スコアの項目であると同時に、A型を探している人が事業所を比べるときに知りたいことでもあります。スコア表の点だけでは、どんな働き方を選べるかは伝わりません。

ジョブリウム キャリアは、就労支援事業所を探している人が、地域や最寄り駅、サービスの種類から事業所を探して比べるためのサイトです。事業所のページは WAM NET の公表情報をもとに作られているので、あなたの事業所のページもすでにあるかもしれません。

事業者として無料でアカウントを登録すると、そのページを引き継いで、管理画面から次のことができます。まだ載っていない事業所は、新しく登録できます。

  • 作業内容、写真、事業所からのメッセージを書き足す
  • ブログで、研修や地域の企業との活動の様子を伝える
  • 利用を考えている人からの問い合わせを、管理画面のメッセージで受け取り、返信する

利用者を募る方法は、記事「就労支援事業所の利用者が集まらないときの募集方法」に書きました。

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事業所の職員がノートパソコンで事業所のページを確かめている

まずはジョブリウム キャリアの事業所検索に事業所名を入れて、いまのページがどう見えているかを確かめてください。アカウントの登録と事業所ページの公開に費用はかかりません。就業規則に書いた働き方を、利用を考えている人が読める言葉でページにも書いておけます。

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参考

本記事は2026年10月時点の制度と公表資料にもとづいています。2027年度(令和9年度)の報酬改定で、スコアの項目や配点が変わる可能性があります。経営改善計画の提出期限などは都道府県ごとに違うため、事業所のある都道府県の案内で確かめてください。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

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事業所を探している利用者さんやご家族から、見学や問い合わせを受け付けられます。掲載情報は管理画面から自分で直せます。

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