2027年(令和9年)4月から、A型を新しく使う人は、原則として申請の前に就労選択支援(本人の作業の様子と希望を整理する、原則1か月のサービス)を使う予定です。相談を始めてから通い始めるまでは、いまより長くなることがあります。A型の事業所から見て変わるのは、主に次の3つです。
- A型に申請する前に、就労選択支援のアセスメント結果(本人の作業の様子や希望をまとめた書面)ができている。見学に来た時点では、まだ途中のこともある
- 申請と支給決定(市区町村がサービスの利用を認めること)が2回になる
- 暫定支給決定(2か月以内で区切って利用を認める、お試しの支給決定)が要らないと、市区町村が判断する場合がある
令和9年4月以降のA型の具体的な扱いを示す通知は、2026年10月時点でまだ出ていません。それでも、2027年3月までに事業所で確かめておけることがあります。この記事の後半に4つにまとめました。
利用する人の側から見た変化は、記事「就労継続支援A型は2027年4月から就労選択支援が原則になる予定」に書きました。この記事では、事業所の手続きと受け入れの準備に絞ります。
決まっていること、予定、検討中の案を分ける
就労選択支援は、2025年(令和7年)10月に始まった新しい障害福祉サービスです。B型は、このときから新しく使う人は就労選択支援を先に使う決まりになりました。50歳以上の人や障害基礎年金1級を受けている人などは、就労選択支援を使わずにB型を利用できます。
近くに就労選択支援事業所がない場合や、空きを待つ期間が生じる場合もあります。そのときは、就労移行支援事業所などの就労アセスメントを経てB型を使えることが、通知で示されています。
A型の扱いは、段階が分かれます。
- 決まっていること:いま(2027年3月まで)は、A型を新しく使う人は、本人が希望すれば就労選択支援を使える
- 予定:令和9年4月から、A型を新しく使う人は原則として就労選択支援を使う。すでに通っていて更新する人は、希望に応じて使う。厚生労働省の通知は、令和9年4月以降の扱いを「改めてお示しします」としている
- 検討中の案:令和9年度の報酬改定(障害福祉サービスの報酬の見直し)に向けた検討チームの第64回(2026年9月28日)で、令和9年4月から予定どおり進める案が示された
就労移行支援は、新しく使う人は希望に応じて使うままです。令和9年4月から原則になる予定なのは、標準利用期間(原則2年)を超えて更新したい人だけです。
第64回の資料には、A型の受け入れに直接かかわる案もあります。どれも「〜してはどうか」と書かれた検討の段階で、まだ決まっていません。
- 就労選択支援を使った人にも、必要に応じて暫定支給決定をしてよいことにする
- 令和9年4月からA型を使う予定の人(主に特別支援学校の今の3年生)は、令和8年度のうちに就労選択支援を使うことを原則にせず、暫定支給決定を柔軟に使う
- 就労選択支援について利用者に知らせていない事業所の報酬を減らすことを検討する
報酬改定の案は、2027年(令和9年)2月にとりまとめる予定です。A型の扱いを示す通知がいつ出るかは、示されていません。とりまとめのあとに出る通知を確かめます。
就労選択支援の1か月でやること
就労選択支援を使える期間(支給決定期間)は、原則1か月です。1か月で見きれない事情があるときに限り、もう1か月使えます。この期間に、就労選択支援事業所は次の4つを行います。
- 作業の場面を使って、本人の様子を見る(アセスメント)
- ハローワークや相談支援事業所などを集めて、ケース会議を開く
- 本人と一緒に、アセスメントシートを作る
- 結果をもとに、面談・見学・実習などで、本人が進む先を選ぶのを手伝う(事業者等との連絡調整)

就労選択支援は、働けるかどうかを判定したり、どのサービスを使うかを振り分けたりするものではありません。アセスメントシートに事業所名が書かれていても、支給決定の参考になるだけです。通知には、利用先をあっせんするものではないと書かれています。
利用を始めるまでに、申請と支給決定が2回になる
いまA型を新しく使う人は、見学のあとに市区町村へ申請し、支給決定を受けて通い始めます。最初の支給決定は、暫定支給決定になることがあります。この期間に、A型の事業所がアセスメントと個別支援計画を作ります。
暫定支給決定の期間が終わる前に、事業所はアセスメントの内容、個別支援計画、支援の実績と評価をまとめます。それを、市区町村が決めた日までに、市区町村と相談支援事業所へ出します。
令和9年4月からは、この前に就労選択支援の手続きが入る予定です。厚生労働省のマニュアルでは、申請、サービス等利用計画案(サービスの使い方の計画。相談支援事業所が作る)、支給決定の手続きが2回ある図になっています。1回目は就労選択支援、2回目はA型などの就労系のサービスです。

就労選択支援でアセスメントを受けていれば、A型の暫定支給決定を省けることがあります。省くかどうかは、アセスメントの内容を見て市区町村が判断します。第64回では、就労選択支援を使った人にも暫定支給決定をしてよいとする案も出ています。
相談を始めてから通い始めるまでは、就労選択支援の1か月と、2回目の申請と支給決定の分だけ長くなることがあります。何日かかるかの決まりはありません。市区町村が短い間に2回の支給決定をするときは、相談支援専門員(サービス等利用計画を作る相談支援事業所の職員)や就労選択支援員から聞き取ったうえで、調べる項目の一部を簡略化してよいとされています。
見学の受け付けでは、就労選択支援を使ったか、どこまで進んでいるかを最初に聞くと、利用開始の見通しを本人に伝えやすくなります。見学から契約までの準備は、記事「見学に来た人が通い始めるまでに、就労支援事業所が準備すること」に書きました。
アセスメント結果は、本人の同意を得て届く
就労選択支援事業所は、アセスメント結果を作ったら、本人と相談支援事業所に渡さなければなりません。これは基準省令(国が決めた運営の基準)にある義務です。市区町村にも伝えることが「望ましい」とされています。
A型など、本人が次に進む事業所への伝え方は、マニュアルに書かれています。進む先が決まれば、アセスメント結果などの情報を伝えます。伝える中身は、作業の様子だけでなく、本人の希望や目標、先の見通しも含みます。
どの段階でも、ほかの機関と情報を共有するには本人の同意が要ります。ケース会議で個人情報を共有するときは、前もって書面で同意を得ることになっています。アセスメント結果が、本人の知らないうちに事業所へ届くわけではありません。
受け入れる側として決めておくことは2つです。
- 見学のときに、アセスメント結果を見せてもらえるかを本人に聞く。相談支援専門員を通じて受け取ることもできる
- 受け取った結果を、利用開始後の最初のアセスメントと個別支援計画の材料として読む
相談支援専門員とのやり取りが、申請より前に始まる
就労選択支援を使うときも、サービス等利用計画案が要ります。本人が自分で作るセルフプランの場合もあります。本人が計画相談を使っている場合、相談支援事業所には、就労選択支援のケース会議への参加が原則として求められています。
相談支援専門員は、就労選択支援の結果をもとに、サービス等利用計画を見直すことになっています。計画相談を使っている人なら、A型に申請する前から、相談支援専門員は本人の希望と結果を知っています。事業所の作業内容や空きを相談支援事業所に伝えておくことの意味が、いままでより大きくなります。
もう1つ、A型・B型・就労移行支援の事業所には、いま通っている人に就労選択支援を知らせる決まりがあります。相談支援専門員と連携し、支給決定の更新のときなどに、定期的に情報を伝えます。第64回では、この情報提供をしていると確かめられない事業所の報酬を減らす案が検討されています。将来は、A型・B型の支給決定を更新するときに、就労選択支援のアセスメントを受けていることを条件にする案もあります(時期は示されていません)。いつ、誰に伝えたかを記録に残しておきます。

自分の法人で就労選択支援を始めるときの条件
就労選択支援事業所になれるのは、就労移行支援か就労継続支援の指定を受けた事業者です。そのうえで、過去3年以内に、事業所の利用者3人以上が一般企業などに新しく雇われた、といった実績が要ります。
- 多機能型の事業所は、複数の事業の実績を合わせて数えてよい。同じ法人のほかの事業所の実績は使えない
- 就労選択支援員は、利用者15人に1人以上を置く。就労選択支援員養成研修の修了が条件で、令和9年度末までは基礎的研修などの修了者も認められる
- 短い期間のサービスなので、個別支援計画とサービス管理責任者は求められていない
- 就労選択支援を使った日は、原則として同じ日にA型などの報酬は算定できない。事業所どうしで話し合って報酬を分ければ、同じ日の利用もできる。A型の作業の場面でアセスメントをする場合は、等分する例が示されている
指定のときに、指定権者(都道府県や市)が確かめることが望ましいとされる項目もあります。ほかの就労系サービスをしている法人は、生産活動(事業所が仕事を受けて売上を得る活動)の収支(売上と経費の差)、スコア表、平均賃金などの経営状況が見られます。A型のスコア表は、記事「A型のスコア表の読み方と点の上げ方」で読み方を書きました。
中立であることも求められます。いまの決まりは次の2つです。
- A型などにいま通っている人が、更新や事業所の変更を考えるために使う場合、同じ法人の就労選択支援は使えない。近くに別の法人の就労選択支援事業所や就労移行支援事業所がなければ、同じ法人でもよい
- アセスメントを終えた人が使ったA型などのうち、同じ事業者の割合が80%を超えると、就労選択支援の報酬が200単位減る(特定事業所集中減算)。正当な理由があれば減らさない
新しく使う人については、同じ法人の就労選択支援を経たからといって、A型で受け入れられないという決まりはありません。第64回では、見学先を自分の法人に限るなどの行為を禁止する案や、80%の水準を下げる案(例として3割)が示されています。これから始めるなら、こうした案も読んでから決めます。
2027年3月までに、事業所で確かめておくこと
- 市区町村の障害福祉の窓口に、令和9年4月以降の暫定支給決定の扱いと、申請から決定までの日数を聞く
- 近くの就労選択支援事業所を、厚生労働省の就労選択支援事業所一覧(Excel・令和8年6月末時点)で確かめる
- いま通っている人へ就労選択支援を知らせる時期を、相談支援専門員と決めて記録する
- 見学の受付票に、就労選択支援を使ったか、結果を見せてもらえるかを聞く欄を足す
本人と支援者が比べるときに見る情報を、そろえておく
就労選択支援の4つ目の手順では、本人が面談・見学・実習を通じて、進む先を選びます。そのとき本人と支援者は、いくつかの事業所の情報を並べて見ることになります。第64回では、就労選択支援事業所が事業所の情報を伝えるときの項目を決める案も出ています。所在地と通い方、定員と空き、支援の内容、生産活動の内容、賃金、利用時間などです。
どの項目も、事業所が自分で出しておける情報です。作業の内容が写真つきで分かり、問い合わせの窓口がはっきりしていれば、本人と支援者が見学先を選ぶときに確かめられる材料が増えます。
ジョブリウム キャリアは、就労支援事業所を探している人が、地域や駅、サービスの種類から事業所を探して比べるためのサイトです。事業所のページは、WAM NET の情報公表で公表されている情報をもとに作っています。WAM NET には写真を載せる項目がないので、はじめのページに事業所で撮った写真は入っていません。多くは、仕事の種類ごとの共通の画像が出ています。
事業者として無料でアカウントを登録すると、管理画面から次のことができます。すでにページがある事業所は、引き継ぎの手続き(メールで届く確認コードの入力など)をしてから使います。まだ載っていない事業所は、新しく登録できます。
- 作業の写真を載せ、作業の内容、賃金、定員、送迎や昼食などの条件を書き足す
- ブログで、見学や体験の流れ、受給者証(支給決定の内容が書かれた証明書)が届いてから通い始めるまでの手順を伝える
- 利用を考えている人からの問い合わせを、管理画面のメッセージで受け取り、返信する
作業の内容、賃金、通所の条件、写真を、1つのページにまとめて見せられます。
ジョブリウム キャリアに、事業所を無料で掲載する

まずはジョブリウム キャリアの事業所検索で事業所名を探して、いまのページに何が載っているかを確かめてください。アカウントの登録、事業所ページの公開、問い合わせの受け取りは無料です。作業の内容と通い始めるまでの手順を載せておくと、本人と支援者が比べるときの材料になります。
参考
- 「就労選択支援の実施について」の一部改正について(厚生労働省 障害福祉課長通知・令和7年9月30日・PDF) B型の原則利用と例外、令和9年4月以降のA型の予定、支給決定期間、アセスメント結果の共有、同じ日の報酬、同一法人の扱い、特定事業所集中減算、実施主体と就労選択支援員の出典です
- 就労選択支援実施マニュアル(厚生労働省・令和7年4月・PDF) 対象者の表、4つの手順、手続きが2回ある図、相談支援専門員との関係、進む先の事業者への情報の伝え方の出典です
- 就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫(障害福祉報酬改定検討チーム 第64回・令和8年9月28日・PDF) 令和9年4月以降のA型の扱い、暫定支給決定、情報提供をしない事業所の減算、中立性の確保、情報提供の項目についての検討の方向性の出典です
- 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 第42回・令和5年11月15日・PDF) A型を原則とする方向性が最初に示された資料です
- 介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領・令和8年7月最終改正・PDF) 暫定支給決定の期間と要しない場合、暫定支給決定期間中に事業所が出す書類、支給決定が重なるときの扱いの出典です
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第173条の6・第173条の7・第183条の2(A型は第197条、B型は第202条で準用)(e-Gov法令検索) 実施主体、アセスメント結果を渡す義務、就労選択支援の情報提供の出典です
- 指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準 第15条(e-Gov法令検索) 相談支援専門員が就労選択支援の結果をもとに計画を見直すことの出典です
- 就労選択支援に関するQ&A VOL.1(厚生労働省・令和7年9月5日・PDF) 多機能型の実績の合算と、同じ法人のほかの事業所の実績の扱いの出典です
- 令和9年度障害福祉サービス等報酬改定について(報告)(社会保障審議会障害者部会 第156回・令和8年6月5日・PDF) 改定案のとりまとめの予定時期の出典です
本記事は2026年10月時点の制度と公表資料にもとづいています。令和9年4月以降のA型の扱いは、これから厚生労働省の通知で示される予定です。
