障害者向けコラム

就労継続支援B型 事業所の選び方|見学で聞く10の質問と、答えの読み方

就労継続支援B型の事業所は、厚生労働省の工賃実績に報告があったものだけで全国に18,245か所あります(令和6年度)。同じ「B型」でも、工賃も作業内容も雰囲気もまったく違います。

この記事では、見学のときに聞く10の質問を、答えをどう受け取ればいいかとセットでまとめました。あわせて、「合わなかったらどうするか」もお伝えします。

ひとつだけ先にお伝えします。事業所は、あとから変えられます。一生を決める選択ではありません。肩の力を抜いて読んでください。

「良い事業所」ではなく「自分に合う事業所」を探す

事業所選びの記事はたくさんありますが、注意していただきたいことがあります。この記事を書くにあたって「就労継続支援B型 事業所 選び方」で検索したところ、上位に並んだ9本のうち6本が、B型事業所を運営している会社のサイトでした。

それが悪いという話ではありません。ただ、自社に来てほしい立場で書かれた記事は、どうしても「工賃を他所と比べましょう」「合わなければ移りましょう」とは書きにくいのです。

ジョブリウムは事業所を運営していません。事業所を探すためのサイトです。ですので、遠慮なく書きます。比べてください。そして、合わなければ移ってください。

差が出るのは、この4つです

  • 工賃 同じ地域でも月2万円台と5万円超が並んで存在します
  • 作業内容 袋詰め中心の事業所と、動画編集を扱う事業所ではまるで違います
  • 時間と日数の柔軟さ 週2日1時間から始められるところも、そうでないところもあります
  • 支援員との相性 これは行ってみないと分かりません

この4つに優先順位をつけておくと、見学のときに迷いません。全部そろった事業所を探そうとすると、いつまでも決まりません。

見学の前に決めておく3つのこと

先に自分の条件をはっきりさせておくと、見学が一気に楽になります。

1. 通える範囲

片道どれくらいまでなら続けられそうですか。通所は毎回のことなので、ここを甘く見積もると続きません。交通費が出るか、送迎があるかもあわせて確認します。

2. 週何日、1日何時間なら続けられるか

いまの体調で無理なく通える線を、正直に見積もってください。多めに申告して通えなくなるより、少なめから始めて増やすほうがうまくいきます。

3. お金と慣らし、どちらを優先するか

工賃をできるだけ確保したいのか、まず生活のリズムを整えたいのか。両方は同時に狙えないことが多いので、いまの自分にとってどちらが先かを決めておきます。

見学で聞く10の質問と、答えの読み方

見学で聞く10の質問のチェックリスト。お金のこと:1 直近の平均工賃はいくらですか、2 工賃は時間制ですか出来高制ですか、3 何で売上を作っていますか。仕事のこと:4 どんな作業があり自分はどれを担当しますか、5 新しい作業を覚えたいとき教えてもらえますか。通い方のこと:6 週何日から通えますか短時間から始められますか、7 体調が悪い日はどう連絡すればいいですか、8 送迎はありますか交通費の補助はありますか。そのほか:9 昼食はどうなりますか実費はいくらですか、10 見学のあと体験はできますか。お金の話も遠慮せずに聞いて大丈夫です。

ここがこの記事の本題です。聞きにくいことほど、聞いておく価値があります。お金の話も遠慮はいりません。

お金のこと

質問1 直近の平均工賃はいくらですか

いちばん大事な質問です。具体的な金額がすぐ出てくる事業所は、工賃を意識して運営しています。「人によります」「だいたい平均くらいです」としか返ってこない場合は、もう一歩踏み込んで「昨年度の実績で構いません」と聞いてみてください。

遠慮しなくて大丈夫です。事業所には、前年度の平均工賃額を利用者に通知し、都道府県に報告する義務があります(指定基準省令 第201条)。答えられて当然の質問ですし、都道府県が事業所ごとの工賃実績を公表していることもあります。

質問2 工賃は時間制ですか、出来高制ですか

ここで「たくさん通えば増えるのか」「早く作業できれば増えるのか」が変わります。自分の得意なほうと合っているかを考えてください。

質問3 何で売上を作っていますか

工賃は事業所の売上から支払われます。ですから、何で稼いでいるかを知ることは、自分の工賃の見通しを知ることと同じです。下請けの軽作業だけなのか、自分たちの商品やサービスを持っているのか。答えにくそうにされたら、そこは気に留めておいてよい点です。

仕事のこと

質問4 どんな作業があり、自分はどれを担当することになりそうですか

「いろいろあります」で終わらせず、自分が実際に座る席で何をするのかまで聞きます。見学中に、その作業をしている方の様子を見せてもらえるとなおよいです。

質問5 新しい作業を覚えたいとき、教えてもらえますか

パソコンの作業に興味があるなら、ここは必ず聞いてください。未経験から教えている事業所と、できる人だけが担当している事業所があります。

通い方のこと

質問6 週何日から通えますか。短時間から始められますか

「週3日、1日2時間から」のように具体的な数字で返ってくるかを見ます。柔軟さは事業所によって本当に差があります。

質問7 体調が悪い日は、どう連絡すればいいですか

この質問への答え方に、その事業所の空気がいちばん出ます。「電話で構いませんよ」「無理せず休んでください」と自然に返ってくるか、少し間が空くか。休むことを想定した仕組みがあるかどうかは、長く通ううえで効いてきます。

質問8 送迎はありますか。交通費の補助はありますか

毎日のことなので、家計にも体力にも響きます。送迎の範囲や時間も確認しておきます。

お金以外の出費と、次の一歩

質問9 昼食はどうなりますか。実費はいくらですか

昼食を出している事業所では、食材費などの実費がかかります。金額は事業所ごとに違います。持参できるかどうかもあわせて聞いておくと安心です。

質問10 見学のあと、体験はできますか

これがいちばん確実な判断材料です。1日でも実際に作業してみると、見学だけでは分からないことが見えます。体験を受け入れている事業所は多いので、遠慮せず聞いてください。

ただし体験は、見学と違って受給者証が必要になる場合があります。自治体や事業所によって扱いが分かれるところなので、申し込むときに「受給者証がなくても体験できますか」とあわせて聞いておくと確実です。

「やめたほうがいい」と言われる事業所はあるのですか

よく聞かれる質問です。正直にお答えすると、事業所そのものに絶対的な良し悪しはありません。ある人に合わない事業所が、別の人にはとても合う、ということが普通に起こります。

ですので「やめたほうがいい事業所」という見方より、「引っかかったら確認する」という見方をおすすめします。次のような場面に出会ったら、その場で聞き直してみてください。

  • 工賃の実績を聞いても、具体的な金額が出てこない
  • 見学や体験をさせてもらえない 理由を聞いてみてください
  • その場で契約を勧められる 持ち帰って考えると伝えて構いません
  • 作業をしている方の様子を見せてもらえない
  • 休むときの決まりがはっきりしない

いずれも「だから悪い事業所だ」ということではありません。たまたま担当者が答えられなかっただけ、ということもあります。だからこそ、その場で聞き直す価値があります。

そして、迷ったら決めなくて大丈夫です。他も見てから決める、と伝えて帰って構いません。

【令和7年10月から】B型を新しく使うには、先に「就労選択支援」を受けます


ここは制度が変わったばかりの、いちばん見落とされやすいところです。

令和7年10月から、就労継続支援B型を新しく利用したい方は、原則として先に「就労選択支援」を受けることになりました。働き方の希望や得意なことを一緒に整理して、B型が合っているかを確かめるためのサービスです。

利用期間(支給決定期間)は原則1か月です。限られた場合に限り合計2か月になることもあります。そのぶん、通い始めるまでの期間は長くなります。「見学して、気に入ったから来月から」とはいかない場合がある、と見込んでおいてください。

受けなくてよい方もいます

次のいずれかに当てはまる方は、就労選択支援を受けずにB型を利用できます。

  • 50歳に達している方
  • 障害基礎年金1級を受給している方
  • 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった方

3つ目には「年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった」という条件が付きます。単に働いた経験があればよい、という意味ではありません。

また、通える範囲に就労選択支援の事業所がない場合や、順番待ちで待機期間が生じる場合は、従来どおりの就労アセスメントでB型を利用することが認められています。就労選択支援の事業所は令和8年6月末で全国965か所しかなく、鳥取県は3か所、島根県と高知県は4か所です。該当しそうなときは窓口で確認してください。

自分が対象になるかどうかは、市区町村の窓口か相談支援専門員に確認してください。見学の際に事業所へ聞いてみるのも確実です。

なお、就労継続支援A型と、標準利用期間を超えて就労移行支援を使う場合については、令和9年4月から同じ扱いになる予定です。いまも希望すれば利用できます。

制度の詳細と、デメリットへの対処法は就労選択支援のデメリットを整理した記事にまとめています。

見学の申し込み方と、当日の流れ

見学は受給者証がなくてもできます。費用もかかりません。

申し込み方

電話、メールフォーム、事業所の検索サイトから申し込めます。「見学したいのですが」と伝えるだけで大丈夫です。診断名や状況を最初から詳しく説明する必要はありません。

電話が苦手であれば、メールやフォームで構いません。それを理由に断られることはまずありません。

当日

  • 時間は1時間前後のことが多いようです。事前に聞いておくと予定が立てやすくなります
  • 服装は普段着で構いません
  • 持ち物は特に必要ありません 手帳や受給者証があれば持っていくとスムーズです
  • ご家族や支援者と一緒でも大丈夫です。申し込みのときに人数を伝えておきます

聞きたいことはメモにして持っていってください。その場では緊張して忘れます。この記事の10個の質問を、スマートフォンに控えておくだけでも違います。

何か所くらい見ればいいですか

2〜3か所をおすすめします。

1か所だけだと、その事業所が良いのか悪いのか、比べる基準そのものがありません。工賃が月2万円と言われても、それが高いのか低いのか分からないままになります。

一方で、5か所も6か所も回ると疲れてしまいます。2〜3か所見て、いちばんしっくりきたところに決める。これで十分です。

候補を選ぶときは、作業内容が違う事業所を混ぜておくと比べやすくなります。軽作業中心のところと、パソコン作業を扱うところを1か所ずつ、といった組み合わせです。

通い始めてから「合わない」と思ったら


事業所は変えられます。これは知っておいてください。

手続きは、おおまかに次のとおりです。

  1. 新しい事業所を見学して、受け入れてもらえるか確認する
  2. 相談支援専門員に相談し、サービス等利用計画を見直してもらう
  3. いまの事業所と契約を解除し、新しい事業所と契約する
  4. 必要に応じて市区町村への届け出を行う

同じB型どうしの移り変わりであれば、事業所が「契約内容報告書」を出すだけで済み、ご自身が窓口へ行かなくてよい場合も多くあります。手続きの範囲は自治体によって違うので、相談支援専門員か窓口に確認してください。

順番が大事です

先に今の事業所を辞めてしまわないでください。新しい行き先が決まる前に辞めると、そのあいだ通う場所がなくなります。

1番目を必ず先にやってください。受け入れが決まってから、いまの事業所に伝えます。手続きの細かい部分は自治体によって違うので、相談支援専門員か市区町村の窓口に確認しながら進めてください。

「せっかく決めたのに申し訳ない」と感じる方は多いのですが、合わない場所に通い続けて体調を崩すほうが、ずっと大きな損失です。移ることは、途中で投げ出すこととは違います。

まとめ

  • 差が出るのは工賃・作業内容・時間の柔軟さ・支援員との相性の4つ。優先順位をつけておく
  • 見学前に通える範囲・続けられる時間・お金の優先度を決めておく
  • 10の質問をメモにして持っていく。お金の話も遠慮しない
  • 「やめたほうがいい事業所」という見方より「引っかかったら聞き直す」
  • 見学は受給者証がなくてもでき、無料。体験までできればなお確実
  • 2〜3か所見ると比べる基準ができる
  • 令和7年10月から、B型の新規利用は原則として就労選択支援が先。50歳以上・障害基礎年金1級などは例外
  • 合わなければ移れる。ただし新しい行き先を決めてから

この記事で決められるのは、ここまでです

質問リストも、見るべき点も並べました。ただ、ここから先は実際の事業所を見ないと進みません。

工賃が月2万円なのか5万円なのかも、袋詰めなのか動画編集なのかも、週2日から通えるのかも、あなたが通える範囲にどんな事業所があるかで決まります。

そして、それは調べれば分かることです。

就労継続支援B型の事業所を探して、見学を申し込む


ジョブリウムでは、全国の就労継続支援B型・A型、就労移行支援の事業所を検索できます。お住まいの地域や最寄り駅から、通える範囲にどんな事業所があるかを見られます。

  • 地域・駅・仕事内容から探せます パソコン作業を扱う事業所も絞り込めます
  • 利用している方の口コミが見られます 見学の前に雰囲気を知る材料になります
  • 登録も利用も無料です

まずは候補を2〜3か所見つけるところから始めてみてください。この記事の10の質問を持って見学に行けば、比べる材料はそろいます。

登録も見学の申し込みも無料です。事業所へ連絡するタイミングは、ご自身のペースで決めていただけます。

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参考

本記事は2026年8月時点の制度にもとづいて作成しています。手続きの詳細は自治体によって異なります。実際の申請や事業所の変更の際は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口または相談支援専門員にご確認ください。

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