就労継続支援には、A型とB型があります。どちらも「障害のある方が働く場所」ですが、仕組みがかなり違います。
いちばん大きな違いは、雇用契約を結ぶかどうかです。ここが違うために、お給料も、働く時間も、利用できる人の条件も変わってきます。
この記事では、A型とB型の違いを整理したうえで、多くの方が気にされている「どちらがきついのか」「B型の工賃はなぜ安いのか」という点にも、正面からお答えします。
A型とB型のいちばん大きな違いは「雇用契約」
まず、全体を並べて見てみます。
| 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
|---|---|---|
| 雇用契約 | 結ぶ | 結ばない |
| 受け取るお金 | 賃金(給料) | 工賃 |
| 最低賃金 | 適用される | 適用されない |
| 月額の全国平均 | 約91,451円 | 約24,141円 |
| 働く時間 | 1日4〜8時間程度 | 1日1〜4時間程度から |
| 年齢 | 原則18歳以上65歳未満 | 制限なし |
| 利用期間 | 制限なし | 制限なし |
金額は令和6年度の全国平均です(厚生労働省調べ)。
雇用契約を結ぶということは、労働者として働くということです。ですからA型では労働基準法が適用され、最低賃金以上のお給料が支払われます。雇用保険や社会保険の対象になることもあります。
A型の給料がなぜ9万円台なのか、都道府県ごとにどれくらい違うのかは、A型の給料を詳しく整理した記事にまとめています。
一方のB型は雇用契約を結びません。「福祉サービスを利用しながら作業をして、その対価を受け取る」という形です。労働者ではないので、労働基準法も最低賃金も適用されません。
A型とB型、どちらがきつい?

よくいただくご質問です。結論から言うと、一般的にはA型のほうが求められることが多くなります。
雇用契約を結んでいる以上、A型では「決められた時間に出勤して、決められた仕事をする」ことが前提になります。1日4〜8時間、週20時間以上としている事業所が多くあります。体調が不安定な時期に、この勤務時間を守り続けるのは負担になることがあります。
B型は雇用契約がないぶん、時間や日数を自分の状態に合わせやすいのが特徴です。1日1時間から始める、週2日から通う、といった使い方ができる事業所もあります。
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。実際のきつさは、事業所によってかなり違います。A型でも短時間勤務から始められるところがありますし、B型でも作業のペースが速いところがあります。
ですので「A型はきつい、B型は楽」と決めつけず、気になる事業所を見学して、実際の1日の流れを聞いてみるのがいちばん確かです。
見学のときに何を聞けばいいかは、事業所の選び方(見学で聞く10の質問)にまとめています。
B型の工賃はなぜ安いのか
月額24,141円という数字を見て、驚かれた方もいるかもしれません。理由は、仕組みそのものにあります。
B型は雇用契約を結ばないため、最低賃金法の対象外です。最低賃金という下限がないので、事業所が作業でどれだけ売上を作れたかによって、工賃が決まります。
作業の内容も、軽作業や内職が中心になりやすく、単価が高くありません。そこから工賃が支払われるため、どうしても金額が小さくなります。
ただし、事業所による差はとても大きい
全国平均は24,141円ですが、これはあくまで平均です。
都道府県別に見ると、いちばん高い徳島県が30,231円、いちばん低い山形県が19,621円と、1万円以上の開きがあります。さらに事業所ごとに見れば、差はもっと広がります。月5万円を超える工賃を出しているB型事業所もあります。
工賃の高い事業所は、単価の高い作業(Web制作、動画編集、データ入力など)を取り扱っていることが多いです。「B型だから安い」と諦める前に、お住まいの地域の事業所を比べてみる価値は十分にあります。
工賃の決まり方や、高い事業所の見分け方は、B型の工賃を詳しく整理した記事にまとめています。障害年金との関係もこちらで扱っています。
数字を見るときの注意
令和6年度の平均工賃は、前年度の22,649円から1,492円増えています。
ただし、もう少し前の年度とは単純に比べられません。令和6年度の報酬改定で計算方法が見直され、工賃を割る分母が「工賃支払対象者数」から「一日あたりの平均利用者数」に変わったためです。この新しい方式は令和5年度の数値から反映されています。
実際、令和4年度の17,031円と令和5年度の22,649円のあいだには大きな段差があります。数年前の数字と見比べるときは、方式が違うことを頭に置いておいてください。
A型とB型、それぞれのデメリット
A型のデメリット
A型のほうがお給料は高いのですが、いい面だけではありません。
- 勤務時間や日数が決まっている 体調に波がある時期は、これが負担になることがあります
- 求められる作業の水準が高くなりやすい 雇用契約がある以上、成果を求められる場面が出てきます
- そもそも事業所の数が少ない B型に比べてA型は事業所数が少なく、通える範囲に無いこともあります
- 最低賃金の減額特例がある 都道府県労働局長の許可があれば、最低賃金を下回る額になる場合があります
- 事業所の閉鎖リスク A型は事業として成り立たせる必要があるため、経営が行き詰まると閉鎖・解雇が起こり得ます
最後の点は、実際に各地で起きています。A型を選ぶときは、その事業所がどんな仕事で売上を作っているかを、見学のときに聞いておくと安心です。
B型のデメリット
B型にも、知っておいたほうがいい点があります。
- 工賃だけでは生活が難しい 平均で月2万4千円ほどです。障害年金や他の収入と組み合わせるのが前提になります
- 雇用契約がないため、労働者としての保護がない 有給休暇や雇用保険の対象になりません
- 作業内容が単調な場合がある 事業所によっては、軽作業の繰り返しが中心になります
ただし3つ目については、近年ずいぶん変わってきています。パソコンを使った作業を中心にしているB型事業所も増えています。
どんな作業をするのか

「作業所」と聞くと、袋詰めや部品の組み立てを思い浮かべる方が多いかもしれません。実際にそうした作業は今もありますが、選べる仕事の幅はかなり広がっています。
よくある作業
- 軽作業 袋詰め、シール貼り、部品の組み立て、検品
- 事務 データ入力、書類の整理、封入・発送
- 飲食・食品 パンや弁当の製造、カフェの接客
- 清掃 オフィスや施設の清掃、リネン作業
- 農作業 野菜の栽培、収穫、出荷準備
パソコンを使う作業も増えています
ここ数年で目立って増えているのが、パソコンを使う仕事です。
- ホームページの制作・更新
- 動画編集、字幕づけ
- SNSの投稿作成・運用
- 画像の加工、バナー制作
- 記事のライティング、文字起こし
- プログラミング
こうした作業は単価が高いため、工賃も高くなりやすい傾向があります。前の章で「月5万円を超えるB型事業所もある」と書きましたが、その多くはこうした仕事を扱っています。
パソコンが得意な方、あるいはこれから覚えたい方は、そうした作業を扱う事業所を探してみる価値があります。未経験から教えてくれる事業所もあります。
また、在宅で作業できる事業所も出てきています。外出が負担な時期でも続けやすい形です。
利用できる人の条件が違う
A型とB型では、利用できる方の条件も違います。
A型の条件
原則として18歳以上65歳未満で、一般企業での就労が難しいものの、雇用契約を結んで働くことはできる方が対象です。
B型の条件
次のいずれかに当てはまる方が対象です。
- 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが難しくなった方
- 50歳以上の方、または障害基礎年金1級を受給している方
- 上記に当てはまらない方で、就労選択支援によるアセスメントにより、就労面の課題の把握が行われている方
2番目に注目してください。50歳以上の方と障害基礎年金1級の方は、就労経験やアセスメントがなくても、そのままB型を利用できます。
令和7年10月から、B型の新規利用には「就労選択支援」が先になりました
3番目に当てはまる方、つまり50歳未満で、障害基礎年金1級ではなく、就労経験もないという方は、B型を新しく利用する前に「就労選択支援」を受けることになります。令和7年10月からの新しい仕組みです。
働き方の希望や得意なことを一緒に整理して、B型が合っているかを確かめるためのサービスです。アセスメントは2週間ほど、支給決定はおおむね1か月が目安なので、通い始めるまでの期間はそのぶん長くなります。
A型と、標準利用期間を超えて就労移行支援を使う場合については、令和9年4月から同じ扱いになります。
手続きがどれくらい増えるのか、受けなくてよい場合があるのかは、就労選択支援のデメリットと対処法にまとめています。
またB型には年齢の上限がありません。65歳を超えても、70歳を超えても利用を続けられます。A型に65歳の区切りがあるのとは、大きく違う点です。
どちらを選べばいいか

ここまでの内容を、選び方として整理します。
A型が向いている場合
- 決まった時間に通うことが、いまの体調でも続けられそう
- 収入をできるだけ確保したい
- 雇用契約のある働き方に慣れておきたい
B型が向いている場合
- 体調に波があり、時間や日数を調整したい
- 働くこと自体が久しぶりで、まず生活のリズムを整えたい
- 65歳以上である、または年齢の上限を気にせず続けたい
迷ったときは、B型から始めてA型へ移るという順番も選べます。逆に、A型で体調を崩してしまったらB型に移ることもできます。一度決めたら変えられない、というものではありません。
利用を始めるまでの流れ
A型もB型も、利用するには「障害福祉サービス受給者証」が必要です。お住まいの市区町村で申請します。おおまかな流れは次のとおりです。
- 事業所を探して見学する 先に通いたい場所を決めておくと、そのあとの手続きが進めやすくなります
- 市区町村の窓口で申請する 障害福祉課などが窓口です。相談支援事業所を紹介してもらえます
- サービス等利用計画を作る 相談支援専門員が一緒に作ってくれます
- 受給者証が交付される 申請から1〜2か月ほどかかることがあります
- 事業所と契約して利用開始
手帳がなくても、医師の診断書や意見書があれば利用できる場合があります。「手帳を持っていないから無理」と諦める前に、窓口で相談してみてください。
申請の流れや必要書類、利用料の決まり方は、受給者証の取り方を整理した記事で詳しく扱っています。
利用料はいくらかかるのか
就労継続支援は障害福祉サービスなので、利用料には世帯の収入に応じた上限が設けられています。
多くの方は自己負担が0円です。生活保護を受けている世帯と、市町村民税が非課税の世帯は負担上限額が0円と定められているためです。
正確な負担額はお住まいの市区町村が判断しますので、申請のときに確認してください。「お金がかかるから使えない」と諦めてしまう前に、一度窓口で聞いてみることをおすすめします。
まとめ
- いちばん大きな違いは雇用契約を結ぶかどうか
- A型は最低賃金が適用され、全国平均は月額約91,451円
- B型は最低賃金の対象外で、全国平均は月額約24,141円
- きつさは一般にA型のほうが求められることが多いが、事業所による差のほうが大きい
- B型には年齢の上限がなく、50歳以上・障害基礎年金1級の方は条件なしで利用できる
- 利用料は多くの方が0円
- あとから移ることもできる
いちばん大きな差は、A型かB型かではなく「どの事業所か」
ここまで違いを整理してきましたが、実際に通ってみると、A型かB型かという区分よりも、事業所ごとの差のほうがずっと大きいと感じる方が多いです。
工賃は同じB型でも月2万円のところと月5万円のところがあります。作業内容も、袋詰めが中心の事業所と、動画編集やデータ入力を扱う事業所ではまるで違います。通う日数や時間の柔軟さも、支援員の関わり方も、事業所によって変わります。
つまり、この記事で決められるのはここまでです。残りは、実際にどんな事業所が通える範囲にあるかを見ないと分かりません。
就労継続支援A型・B型の事業所を探す

ジョブリウムでは、全国の就労継続支援A型・B型、就労移行支援の事業所を検索できます。お住まいの地域や最寄り駅から探せますので、まずはどんな事業所があるかを見てみてください。
- 地域・駅・仕事内容から探せます 通える範囲にどんな事業所があるかが分かります
- 利用している方の口コミが見られます 見学の前に、実際の雰囲気を知る材料になります
- 登録も利用も無料です
気になる事業所が見つかったら、見学や体験を申し込んでみてください。ほとんどの事業所が見学を受け付けています。実際に足を運んでみると、記事を読むだけでは分からないことがたくさん見えてきます。
見学のときは、次の3つを聞いておくと比べやすくなります。
- この事業所の直近の平均工賃(賃金)はいくらか
- どんな作業があり、自分はどれを担当することになりそうか
- 体調が悪い日の休み方はどうなっているか
登録も見学の申し込みも無料です。事業所へ連絡するタイミングは、ご自身のペースで決めていただけます。
参考
本記事は2026年8月時点の制度にもとづいて作成しています。金額や要件は改正される場合がありますので、実際のご利用の際は、お住まいの市区町村の窓口または上記の一次情報をご確認ください。
