障害者雇用を検討している企業向けコラム

障害者雇用状況報告の書き方|育児休業中・出向中・週15時間の人は、どの欄に入るか

障害者雇用状況報告書で迷いやすいのは、パート・育児休業中・出向中の人や、週20時間未満で働く障害のある人を、どの欄に何人と書くかです。

この報告は、毎年6月1日に在籍している人を数えて、7月15日までに本社を管轄するハローワークへ出すものです。週30時間以上の人は1人、週20時間以上30時間未満の人は0.5人として、会社全体の人数を出します。障害のある人は、手帳の種類・重度かどうか・週の所定労働時間で分けて書きます。

この記事では、名簿に150人が載っている架空の会社を使って、報告書の⑩から⑭の欄を上から順に埋めていきます。育児休業中・出向中・週20時間未満の人をどこに入れるかも、厚生労働省の記入要領に書かれている範囲で整理しました。

自社に何人の障害者が必要かを知りたい場合は、障害者雇用率2.7%で自社は何人必要かの記事で計算方法を説明しています。

報告するのは、6月1日に在籍している人の数

障害者雇用状況報告は、毎年6月1日現在の状況を書く報告です。6月1日より前に辞めた人や、6月2日以降に入った人は数えません。

令和8年(2026年)6月1日現在の報告が必要だったのは、常用雇用労働者が40.0人以上の会社です。

この人数は会社全体で数えます。週20時間以上30時間未満の人は0.5人とし、除外率(業種ごとに決められた、人数から引いてよい割合)のある業種ではその分を引きます。

この40人は、令和8年6月30日までの期限つきの決まり(経過措置)でした。7月1日からは37.5人以上に下がったので、令和9年(2027年)6月1日現在の報告は37.5人以上の会社が出します。

障害者を1人も雇っていない会社も、この人数以上なら報告が必要です。報告をしなかったり、事実と違う報告をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります。

常用雇用労働者に入る人は、週20時間以上で1年を超えて働く見込みのある人

報告書の⑩欄に書く「常用雇用労働者」は、正社員かパートかといった契約の形では決まりません。週の所定労働時間(雇用契約で決めた1週間の労働時間)が20時間以上で、1年を超えて雇う見込みのある人です。

契約期間が1年以下でも、更新される可能性があれば入ります。日々雇用の人も、1年を超えて続けて雇っている場合や、雇い入れたときから1年を超える見込みがある場合は入ります。

週の所定労働時間が20時間未満の人は、常用雇用労働者に入りません。⑩欄の人数には数えないでください。ただし、その人が障害のある人の場合は、後で説明する⑪欄に入ることがあります。

育児休業中・出向中・外国人・65歳以上の人の扱い

名簿を見ていると、数えてよいか迷う人が出てきます。記入要領に書かれている扱いを表にまとめました。

迷いやすい人常用雇用労働者に入るか
育児休業など、休業中の人入る。給料が出ていなくても雇用契約は続いているため
他社へ出向している人・他社から出向で来ている人生活に必要な主な給料を払っている会社で数える。判断が難しいときは雇用保険を扱っている会社で数える
外国人(技能実習・特定技能を含む)入る
65歳以上の人入る
昼間の学生、ほかの会社でも雇われている人週20時間以上なら入る
海外の支社で働く人日本の事業所から派遣されている人だけ入る。現地で採用した人は入らない
週の所定労働時間が20時間未満の人入らない

派遣会社から来ている人について、記入要領が書いているのは派遣元(派遣会社)側での数え方です。登録型の派遣労働者は、同じ派遣元との契約が続いているなど一定の条件を満たすと、派遣元の常用雇用労働者に入る場合があります。派遣を受け入れている会社側での扱いは書かれていません。

6月1日に入社した人・退職した人、役員、手帳の更新手続き中の人の扱いは、記入要領に書かれていません。こうした人がいる場合は、提出先のハローワークに確認してから書いてください。

名簿150人の会社で、⑩から⑭の欄を順に埋める

ここからは、架空の会社で欄を埋めます。食料品の製造業で、事業所は本社と工場の2つ、除外率はありません。6月1日の名簿には150人が載っていて、その内訳は次のとおりです。

  • 週30時間以上の人:124人(育児休業中2人・技能実習の外国人4人・65歳以上3人・子会社へ出向中で給料を自社が払っている1人を含む)
  • 週20時間以上30時間未満のパート:20人
  • 週20時間未満のアルバイト:6人

障害のある人は2人です。1人は身体障害者手帳2級(重度)で週40時間働いています。もう1人は精神障害者保健福祉手帳を持つアルバイトで、週15時間働いています。

名簿150人の会社で、報告書の⑩欄から⑭欄までを順に計算した図。常用雇用労働者134.0人、障害のある人2.5人、実雇用率1.87、不足0.5人

⑩欄 常用雇用労働者の数

(イ)には週30時間以上の124人、(ロ)には週20時間以上30時間未満の20人を書きます。週20時間未満の6人は、どちらにも書きません。

(ハ)は「(イ)+(ロ)×0.5」で、124+10=134.0人です。(ニ)の「法定雇用障害者の算定の基礎となる労働者の数」は、(ハ)から除外率の分を引いた数です。この会社は除外率がないので、134.0人のままです。(ハ)と(ニ)は小数点以下第1位まで書きます。

同じ時期に出す高年齢者雇用状況等報告の「常用労働者数」とは、数字が合わなくてかまいません。こちらは短時間の人を0.5人で数えるため、違う数字になることがあると記入要領に書かれています。

⑪欄・⑫欄 障害のある人の数

重度の身体障害者で週30時間以上の人は、(ホ)「重度身体障害者の数」に1人と書き、2人分として数えます。精神障害者で週10時間以上20時間未満の人は、(ツ)「精神障害者である特定短時間労働者の数」に1人と書き、0.5人分として数えます。

この会社の⑫欄の合計は、2.0+0.5=2.5人です。週10時間以上20時間未満で働く人は⑩欄の人数には入りませんが、重度身体・重度知的・精神の障害がある人に限って、⑪欄には入ります。ただし、就労継続支援A型の利用者は除きます。

⑪欄と⑫欄の( )には、前年の6月2日から今年の6月1日までに新しく雇った人数を、内数(合計のうち何人かを示す数)として書きます。障害の種類ごとの細かい数え方の表は、雇用率の記事にまとめています。

⑬欄・⑭欄 実雇用率と不足数

⑬欄の実雇用率は「⑫÷⑩(ニ)×100」で、2.5÷134.0×100=1.865…となります。小数点以下第3位を四捨五入して、1.87と書きます。

⑭欄の不足数は、まず⑩(ニ)に2.5%を掛けて、端数を切り捨てます。134.0×2.5%=3.35なので3人です。そこから⑫欄の2.5人を引くと、不足は0.5人になります。計算の結果がマイナスなら0と書きます。

除外率のある事業所・特例子会社・A型事業所がある会社

除外率のある業種の事業所がある会社、特例子会社(障害者の雇用に特別な配慮をした子会社)の認定を受けている会社、就労継続支援A型の事業所がある会社は、事業所ごとの内訳を書きます。除外率で引く人数は、事業所ごとに掛けて端数を切り捨ててから合計します。会社の合計にまとめて掛けると、人数がずれることがあります。

除外率のある業種は、記入要領の参考1に23業種が載っています。建設業と道路貨物運送業は10%、医療業は20%です。自社の事業所が当たるかどうかは、ハローワークが判定します。

どれにも当たらない会社は、事業所ごとの内訳は書かず、会社全体の合計だけを書きます。この記事の例の会社はこちらです。

障害のある人は、手帳などの書類で確かめてから数える

報告書に障害者として書けるのは、法律で決められた書類で確かめた人だけです。身体障害は身体障害者手帳か、指定医・産業医などの診断書・意見書(内部障害は指定医のものに限る)、知的障害は判定機関の判定書など、精神障害は精神障害者保健福祉手帳です。精神障害の場合、手帳を持っていない人は数えません。

確かめた書類かその写しは、事業所ごとに、本人が退職した日などから3年間保存します。障害が2つ以上ある人は、主な障害1つだけで書き、二重には数えません。

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年です。厚生労働省のガイドラインは、有効期限が過ぎた後に更新したかを確かめるよう求めています。確かめる時期の例として、前回確かめた有効期限を過ぎた後の、最初の障害者雇用状況報告が挙げられています。

障害の情報を報告に使うことについての本人の同意は、別の手順で取ります。ほかの目的で障害の情報を集めるときに、報告にも使うことをあわせて同意してもらう方法は取らないと、ガイドラインに書かれています。

提出は7月15日まで。本社が支社の分もまとめて出す

報告は本社が支社・支店の分をまとめ、本社の所在地を管轄するハローワークに出します。ハローワークから指示がない限り、支社が別に出す必要はありません。

出し方は、電子申請・郵送・持参の3つです。紙の報告書は3枚複写で、正本と副本の2枚を出し、事業主控えを保管します。

電子申請は、e-Govの「障害者雇用状況報告」の手続きから、6月1日以降に出せます。ただし、「提出方法のご案内」が届いていない事業所は電子申請を控えるよう、e-Govの手続きページに書かれています。

電子申請には、GビズID(事業者が行政の電子申請に使うアカウント)かe-Govアカウントによる電子署名と、厚生労働省が指定するExcelの様式が必要です。

障害者雇用納付金の申告(常用雇用労働者100人超の会社が毎年4月1日から5月15日までに出すもの)は、別の手続きです。提出先も、ハローワークではなく独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)です。

来年6月1日の報告からは、不足数を2.7%で計算する

令和8年6月1日現在の報告では、不足を2.5%で計算しました。法定雇用率は7月1日から2.7%になったので、報告で2.7%を使うのは令和9年6月1日現在の報告からです。

この記事の会社で2.7%を使うと、134.0×2.7%=3.618で、切り捨てて3人です。今の人数のままなら、不足は0.5人で変わりません。会社の人数が増えて⑩(ニ)が148.5人以上になると、必要な人数は4人になります。

名簿の人数が今年と同じくらいでも、来年の報告の前に、⑩(ニ)に2.7%を掛けた数を一度出しておくと、何人足りないかが先に分かります。不足が出たときに何が起きるか(納付金・雇入れ計画の作成命令・企業名の公表)は、未達成の記事で説明しています。

あわせて読みたい

不足数が出たら、社内の仕事を1つ切り出すところから始める

⑭欄の不足が0.5人なら、週10時間以上20時間未満で働く精神障害者(または重度身体・重度知的障害者)を1人雇うと、不足は0になります。雇う前に、その人に任せる仕事を決めておくと、採用を進めやすくなります。

任せる仕事は、社内の仕事を1つ切り出し、先に就労継続支援A型事業所へ業務委託として出して試せます。社外の人がその仕事を手順どおりに進められるかを確かめられます。業務委託は雇用率には数えません。

報告書の⑩欄・⑫欄の数字をもとにした、2.7%での不足人数の試算と、社内の説明にそのまま使える資料をお送りします。

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参考

本記事は2026年10月時点の制度と公表資料にもとづいています。記入要領は令和8年6月1日現在の報告用のものです。法令や様式は変更されることがあります。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

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