障害者向けコラム

障害福祉サービス受給者証の取り方|手帳がなくても申請できます

就労継続支援A型・B型や就労移行支援を利用するには、「障害福祉サービス受給者証」が必要です。お住まいの市区町村に申請して交付を受けます。

申請から交付まで、おおむね1〜2か月かかります。この記事では取得までの流れと必要な書類、利用料、そして手帳がなくても取れるのかもらえないことはあるのかという不安にもお答えします。

先に結論をひとつだけ。手続きより先に、通いたい事業所を見学しておくほうが早く進みます。理由は本文で説明します。

障害福祉サービス受給者証とは

障害福祉サービスを利用する資格があることを示す証明書です。市区町村が交付します。

これがないと、就労継続支援A型・B型も、就労移行支援も利用できません。事業所と契約するときに提示します。

障害者手帳とは別のものです

ここは本当によく混同されるところです。受給者証と障害者手帳は、まったく別の制度です。

障害福祉サービス受給者証 障害者手帳
目的 障害福祉サービスを使うため 障害があることの証明
交付するところ 市区町村 都道府県・政令市など
主な使いみち A型・B型・就労移行の利用 各種割引、税の控除、雇用の枠
有効期間 あり(更新が必要) 種類により異なる

「手帳を持っていないから、作業所は使えない」と思っている方がいますが、それは誤解です。次の章で説明します。

受給者証には何が書かれているか

交付されるのは、二つ折りの手帳のような冊子です。主に次のことが書かれています。

  • 受給者証番号、氏名、住所、生年月日
  • 利用できるサービスの種類と支給量 たとえば「就労継続支援B型 月22日」のように書かれます
  • 支給決定期間 いつからいつまで使えるか。これが有効期限です
  • 利用者負担上限月額 ひと月に払う上限額。0円の方が多くいます
  • 契約している事業所と契約内容 事業所が記入する欄です

受け取ったら、「支給量」「支給決定期間」「負担上限月額」の3つは必ず確認してください。支給量が希望より少ないと、通いたい日数だけ通えないことがあります。その場合は窓口に相談できます。

受給者証には種類があります

「受給者証」と呼ばれるものは一つではありません。混同されやすいので整理します。

名称 主な対象
障害福祉サービス受給者証 A型・B型・就労移行支援など(この記事で扱うもの)
地域相談支援受給者証 地域移行支援・地域定着支援
障害児通所支援受給者証 放課後等デイサービス、児童発達支援

ネットで「受給者証」を検索するとお子さん向け(放課後等デイサービスなど)の情報が多く出てきます。手続きの流れが少し違うので、大人の就労系サービスを希望する場合は「障害福祉サービス受給者証」の情報かどうかを確かめてください。

手帳がなくても取れます

受給者証の申請に、障害者手帳は必須ではありません。

手帳がない場合は、医師の診断書や意見書で申請できます。自治体によって求められる書類は違いますが、「障害福祉サービスの利用が必要である」ことが医学的に示されていれば申請の対象になります。

難病の方も対象です。障害者総合支援法の対象となる疾病であれば、手帳がなくても利用できます。

診断が確定していない場合は

「グレーゾーンと言われている」「通院はしているが診断名がはっきりしない」という方もいます。この場合は、まず市区町村の障害福祉の窓口で相談してください。

その場で結論が出なくても、相談したこと自体が手続きの出発点になります。受診が必要であればそのように案内されますし、利用できる別の制度を紹介されることもあります。

窓口に行くのに気が重ければ、相談支援事業所に先に連絡する方法もあります。手続きの説明から書類の準備まで手伝ってくれる専門の窓口で、利用は無料です。

受給者証を取得するまでの流れ

受給者証を取得するまでの流れ。1 市区町村の窓口に相談する。2 通いたい事業所を見学する(ここを先にやると、あとが早く進みます。見学は受給者証がなくてもできます)。3 申請書を提出する。4 面談を受ける。5 サービス等利用計画を作る。6 支給決定・受給者証の交付。申請から交付まで、おおむね1〜2か月かかります。

おおまかには次の6つの段階を踏みます。

  1. 市区町村の窓口に相談する 障害福祉課などが窓口です
  2. 通いたい事業所を見学する ここを先にやると、あとが早く進みます
  3. 申請書を提出する 必要書類を添えて窓口へ
  4. 面談を受ける 心身の状況や希望を聞き取られます
  5. サービス等利用計画を作る 相談支援専門員が作成します
  6. 支給決定・受給者証の交付 届いたら事業所と契約します

2番目が大事です

意外に思われるかもしれませんが、先に事業所を見学しておくと、手続き全体が早くなります。

受給者証を申請するときには「どのサービスを、どれくらいの量、どこで利用するか」を決める必要があります。通う先が決まっていれば、この部分がそのまま埋まります。事業所の側も申請の手続きに慣れているので、書類の準備を手伝ってくれることがほとんどです。

逆に、受給者証だけ先に取ろうとすると、「どこに通うのですか」と聞かれて止まってしまいます。見学は受給者証がなくてもできます。

必要な書類

自治体によって違いますが、おおむね次のものが必要です。

  • 申請書 窓口でもらえます。自治体のサイトからダウンロードできることも多いです
  • 障害者手帳、または医師の診断書・意見書
  • マイナンバーが確認できるもの
  • 本人確認書類
  • 収入や課税状況がわかるもの 利用料の区分を決めるために使われます
  • 印鑑 不要な自治体も増えています

必ず事前に窓口へ電話して、必要書類を確認してください。一度で済むはずの手続きが二度手間になるのを防げます。

就労系のサービスは「障害支援区分」の認定がいりません

障害福祉サービスというと「区分認定に何か月もかかる」というイメージを持つ方がいますが、就労系のサービスについては、それは当てはまりません。

障害福祉サービスは大きく2つに分かれます。

主なサービス 障害支援区分の認定
介護給付 生活介護、施設入所支援、居宅介護など 必要
訓練等給付 就労継続支援A型・B型、就労移行支援、自立訓練など 原則として不要

A型・B型・就労移行支援は、いずれも訓練等給付です。80項目の調査にもとづく区分認定の手続きは、原則として必要ありません。

そのぶん、思っているより手続きは軽い、と考えて大丈夫です。

ただしA型と就労移行支援には「暫定支給決定」があります

区分認定は不要ですが、就労継続支援A型と就労移行支援には、もうひとつ段階があります。「暫定支給決定」といいます。

いきなり本決定を出すのではなく、まず短い期間だけ利用してみて、そのサービスが合っているかを確かめるための仕組みです。期間は原則として2か月以内で、市区町村が個別に決めます。

この期間中に事業所がアセスメント(評価)を行い、その結果をふまえて本来の支給決定に進みます。試用期間のようなもので、落とすための審査ではありません。

サービス 暫定支給決定
就労継続支援A型 あり
就労移行支援 あり
自立訓練 あり
就労継続支援B型 なし

すでに同じ内容のアセスメントを受けていて、市区町村がそれを認めた場合には、暫定支給決定を経ずに本決定になることもあります。

B型を希望する場合は「就労選択支援」が先に入ることがあります

令和7年10月から、就労継続支援B型を新しく利用したい方は、原則として先に「就労選択支援」を受けることになりました。働き方の希望を一緒に整理して、B型が合っているかを確かめるためのサービスです。

ただし、次のいずれかに当てはまる方は受けなくてかまいません。

  • 50歳に達している方
  • 障害基礎年金1級を受給している方
  • 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった方

3つ目には「年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった」という条件が付きます。単に働いた経験があればよい、という意味ではありません。

当てはまらない場合は、上の流れの前にもうひとつ手続きが入ると考えてください。利用期間(支給決定期間)は原則1か月です。サービス等利用計画案も、就労選択支援用とB型用で2回作ることになります。

なお、通える範囲に就労選択支援の事業所がない場合や、順番待ちで待機期間が生じる場合は、従来どおりの就労アセスメントでB型を利用することが認められています。

なお就労継続支援A型と、標準利用期間を超えて就労移行支援を使う場合は、令和9年4月から同じ扱いになる予定です。いまも希望すれば利用できます。ご自身が対象になるかは、市区町村の窓口で確認してください。

制度の詳細とデメリットへの対処法は就労選択支援のデメリットを整理した記事にまとめています。

どれくらい時間がかかりますか

申請から交付まで、おおむね1〜2か月が目安です。自治体の混み具合によって前後します。

時間がかかる主な原因は次のとおりです。

  • 診断書・意見書が出てくるのを待つ時間 医療機関によっては2〜3週間かかります
  • 相談支援専門員が見つからない 地域によっては空きがなく、順番待ちになります
  • 書類の不備で出し直しになる

診断書は、思い立ったらすぐ主治医に依頼しておくと全体が早くなります。

また、相談支援専門員がどうしても見つからない場合は、自分で計画を作る「セルフプラン」という方法もあります。窓口で相談してみてください。

利用料はいくらかかりますか


障害福祉サービスの自己負担には、世帯の収入に応じた上限額が決められています。ひと月にどれだけ使っても、この額を超える負担は生じません。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

※一般1は、入所施設利用者(20歳以上)とグループホーム利用者を除きます。所得割16万円未満は、収入でおおむね670万円以下が目安です。

18歳以上なら、親の収入は関係ありません

ここがいちばん誤解されている点です。

収入を判断するときの「世帯」の範囲は、18歳以上の障害のある方の場合、本人と配偶者だけと定められています(施設に入所する18歳・19歳を除く)。

つまり、親と同居していても、親の収入は計算に入りません。ご本人に配偶者がなく、収入が障害年金と工賃だけであれば、多くの場合負担上限額は0円になります。

「実家暮らしだからお金がかかるだろう」と思って申請をためらっている方は、一度窓口で確認してみてください。

受給者証がもらえないことはありますか

「申請したのに却下された」という話を心配される方がいます。実際には、門前払いのような形で断られることはほとんどありません。止まってしまうとしたら、次のような理由です。

  • サービスの必要性が確認できていない 診断書や意見書の内容が不十分な場合など
  • 書類がそろっていない いちばん多い理由です
  • 希望するサービスの対象要件を満たしていない たとえばB型には対象者の要件があります

いずれも「今回は無理」ではなく「ここを直せば進む」という話であることがほとんどです。

65歳を過ぎていても、就労系のサービスは使えます

「65歳になると介護保険が優先されるので、障害福祉サービスは使えなくなる」と聞いたことがあるかもしれません。これは、就労系のサービスには当てはまりません。

介護保険が優先されるのは、介護保険に同じようなサービスがある場合です(障害者総合支援法第7条)。就労移行支援や就労継続支援A型・B型は、介護保険に相当するサービスがないため、優先の対象になりません。

とくにB型には年齢の上限がなく、65歳を過ぎてから新しく利用を始めることもできます。「もう年齢的に無理だろう」と諦める必要はありません。

もし窓口で断られたと感じたら、その場で引き下がらず、何が足りないのかを具体的に聞いてください。納得できない場合は、相談支援事業所や、お住まいの地域の障害者相談窓口に相談する方法もあります。

更新を忘れないでください


受給者証には有効期間があります。期限が来る前に更新の手続きが必要です。

期間はサービスや自治体によって違い、半年から3年ほどの幅があります。1年ごとの更新が多いのですが、決まりきったものではありません。令和6年4月からは、支給決定期間をご本人の誕生月の末日にそろえる自治体も出てきています。

ですので、受給者証に書かれている「支給決定期間」を、ご自身で必ず確認してください。

期限が切れると、そのあいだサービスが使えなくなります。通っている事業所の利用も止まってしまいます。

多くの自治体では期限の1〜2か月前に案内が届きますが、受給者証に書かれている期限を、自分でも控えておいてください。通っている事業所が声をかけてくれることも多いので、心配なら「更新の時期になったら教えてください」と伝えておくとよいでしょう。

まとめ

  • A型・B型・就労移行の利用には受給者証が必要。障害者手帳とは別のもの
  • 手帳がなくても、医師の診断書・意見書で申請できる
  • 就労系は障害支援区分の認定が原則不要。思ったより手続きは軽い
  • 申請から交付まで1〜2か月。診断書の依頼は早めに
  • 利用料は18歳以上なら本人と配偶者の収入だけで判断。多くの方が0円
  • 断られるとしても「ここを直せば進む」という話がほとんど
  • 令和7年10月から、B型の新規利用は原則として就労選択支援が先。50歳以上・障害基礎年金1級などは例外
  • 65歳を過ぎても、就労系のサービスは介護保険優先の対象外なので使える
  • A型・就労移行には暫定支給決定(原則2か月以内)がある。B型にはない
  • 有効期間があり、更新が必要。期間は半年〜3年と幅がある

手続きより先に、通う場所を決めたほうが早い

ここまで手続きを追ってきましたが、いちばんお伝えしたいのは順番のことです。

受給者証は「サービスを使うため」の証明書です。ですから申請のときには、どこで、どのサービスを、どれくらい使うのかが決まっている必要があります。通う先が決まっていないまま窓口に行くと、そこで一度止まります。

逆に、見学して「ここに通いたい」と決まっていれば、申請書の書き方から必要書類まで、事業所が一緒に進めてくれます。手続きに慣れているのは、こちらではなく向こうです。

見学は受給者証がなくてもできます。費用もかかりません。

見学で何を聞けばいいかは、事業所の選び方(見学で聞く10の質問)にまとめています。

受給者証の前に、通える事業所を探してみる


ジョブリウムでは、全国の就労継続支援A型・B型、就労移行支援の事業所を検索できます。お住まいの地域や最寄り駅から、通える範囲にどんな事業所があるかを見られます。

  • 地域・駅・仕事内容から探せます 通える範囲の事業所が一覧で分かります
  • 利用している方の口コミが見られます 見学の前に雰囲気を知る材料になります
  • 登録も利用も無料です

気になる事業所が見つかったら、見学のときに手続きのことも聞いてみてください。次の3つを聞いておくと、そのまま申請に進めます。

  1. 受給者証の申請を手伝ってもらえますか
  2. 相談支援事業所を紹介してもらえますか
  3. いつから通えそうですか

登録も見学の申し込みも無料です。事業所へ連絡するタイミングは、ご自身のペースで決めていただけます。

就労継続支援の事業所を探す

参考

本記事は2026年8月時点の制度にもとづいて作成しています。必要書類や手続きの詳細は自治体によって異なります。実際の申請の際は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

お住まいの地域の就労支援事業所を探せます

時給や仕事の内容を見て、気になった事業所に見学を申し込めます。見学に受給者証は要りません。

事業所を探す
就労支援の事業所を探す