障害者向けコラム

就労移行支援とは?利用を終えた人の60.2%が一般就労へ|期間・費用・65歳の条件

就労移行支援は、一般企業への就職を目指して訓練を受けるサービスです。利用期間は原則2年と決まっていて、雇用契約を結ばないので給料は出ません。

就職につながる割合は、3つのサービスのなかでいちばん高くなっています。令和6年に就労移行支援の利用を終えた人のうち、60.2%が一般就労へ移りました。B型は11.8%、A型は29.2%です。

一方で、対象は原則65歳未満で、B型のように年齢の上限がないわけではありません。65歳を過ぎてから新しく使い始めることは、基本的にできません。

この記事では、就職の実績・対象になる人・2年という期限・費用を、厚生労働省の資料と条文で確かめながら整理します。

就労移行支援とは、就職までの2年間を訓練にあてるサービス

正式には障害者総合支援法の「訓練等給付」にあたるサービスです。厚生労働省は、対象と内容をこう定めています。

就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者

やることは、事業所の中での作業訓練、企業での実習、自分に合う職場探し、応募書類や面接の準備、そして就職した後の相談です。職業紹介そのものが目的ではなく、就職できる状態まで一緒に持っていく、という組み立てになっています。

就労継続支援との位置づけの違いは、ここです。

就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 一般就労への就職 雇用契約を結んで働く 雇用契約なしで働く
お金 給料なし。工賃は事業所による 給料(原則として最低賃金以上) 工賃(令和6年度平均24,141円)
期間 原則2年 期限なし 期限なし
年齢 原則65歳未満 原則65歳未満 上限なし
利用者数 約3.7万人 約8.5万人 約38.8万人

利用者数は令和7年3月時点。就労移行支援は、3つのなかでいちばん小さいサービスです。事業所数も2,853か所で、B型の18,317か所とは規模が違います(いずれも令和6年10〜12月の平均・国保連)。

A型とB型のどちらにするか迷っている段階の方は、A型とB型の違いを先に読んでください。

利用を終えた人の60.2%が一般就労へ

厚生労働省が毎年集計している数字です。令和6年の実績を、サービスごとに並べます。

一般就労へ移った人 利用を終えた人に占める割合
就労移行支援 16,827人 60.2%
就労継続支援A型 5,998人 29.2%
就労継続支援B型 6,118人 11.8%
合計 28,943人 28.8%

就労移行支援だけが6割を超えています。3つのサービスのなかで利用者数はいちばん少ないのに、一般就労への移行者数はいちばん多い、という形です。

分母は「利用を終えた人」

この60.2%は、その年に利用を終えた人のうちの割合です。いま通っている人は入りません。「通えば6割が就職できる」という意味ではありませんが、B型の11.8%との差ははっきりしています。

2年間で実際に何をするのか

厚生労働省が定めるサービス内容は、主に次の5つです。

  • 生産活動や職場体験などの機会の提供
  • 就労に必要な知識・能力の向上のための訓練
  • 求職活動に関する支援
  • 適性に応じた職場の開拓
  • 就職後における職場への定着のために必要な相談

前半は事業所の中での訓練、後半は企業での実習と求職活動、という進め方をする事業所もあります。訓練の中身は事業所によって幅があります。パソコンや事務作業を中心に据えるところ、軽作業から生活リズムを整えるところ、企業実習の受け入れ先を多く持っているところ。訓練の幅は事業所ごとに大きく、見学して比べる価値があります。

人の配置には決まりがあります。職業指導員と生活支援員が利用者6人に1人以上、これに加えて就労支援員が15人に1人以上。就労支援員は求職活動や職場開拓を担当する職種で、B型の基準にはありません。就職活動を専門に見る人が制度上いる、という点が就労移行支援の特徴です。

対象になるのは誰か

基本になるのは、就労を希望していることと、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれることです。障害者であることの確認のしかたは障害の種別で違います。身体障害は身体障害者手帳で確認します。知的障害は療育手帳、なければ市町村が必要に応じて知的障害者更生相談所に意見を求めて確認します。精神障害や難病等は手帳がなくても医師の診断書などで確認できます。

これに加えて、令和6年4月からいま企業に雇用されている方も対象に入りました。労働時間を延ばしたいとき、休職から復職したいとき、週10時間未満で働いていて時間を増やしたいとき。「働いていないこと」は条件ではありません。ただし型ごとに条件と期間が細かく分かれていて、企業や主治医の書類が要る場合もあります。あてはまりそうなら市区町村の窓口で確認してください。

65歳の扱いはB型と違います

B型には年齢の上限がありませんが、就労移行支援は違います。障害者総合支援法施行規則の第6条の9で、65歳以上の人が対象になるのは次の場合に限られています。

六十五歳に達する前五年間(入院その他やむを得ない事由により障害福祉サービスに係る支給決定を受けていなかった期間を除く。)引き続き障害福祉サービスに係る支給決定を受けていたものであって、六十五歳に達する前日において就労移行支援に係る支給決定を受けていたものに限る。

つまり、65歳より前から続けて障害福祉サービスを使っていて、しかも誕生日の前日の時点で就労移行支援の支給決定を受けていた人だけです。65歳を過ぎてから新しく申し込むことは、この規定では想定されていません。

65歳を過ぎてから新たに使い始められる就労系のサービスは、B型です。A型にも就労移行支援と同じ65歳の制限があります。就労継続支援B型には介護保険に相当するサービスがないため、年齢だけを理由に対象外にはなりません。利用には市区町村の支給決定が必要です。

期間は原則2年。使い切ると、次はどうなるか

標準利用期間は24か月です。ただし最初の支給決定は1年までが原則で、1年ごとに更新しながらこの枠のなかに収めます。

手続きの重さについて。就労移行支援は訓練等給付にあたるので、障害支援区分の認定は行いません。介護給付で必要になる区分の調査や審査会は入りません。ただし市区町村が、心身の状況を把握するための聞き取りを行うことはあります。

2年を使い切っても就職に至らなかった場合、市町村審査会の個別審査を経て必要と認められたときに限り、原則1回・最大1年まで延長できます。自動的に延びるものではありません。それも過ぎたときは、A型やB型に切り替える、いったん離れて体調を整える、といった選択になります。

なお、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の養成施設に通う場合は例外で、標準利用期間が3年または5年になります。

もうひとつ、始めるときの手続きに暫定支給決定があります。まず短い期間(2か月以内)試してみて、続けられそうかを確認してから本決定に進む仕組みです。自立訓練・就労移行支援・A型にあり、B型にはありません。同等のアセスメントがすでに行われていると市町村が認めるときは、省略されることもあります。なお、この2か月は標準利用期間に含まれます。2年に上乗せされるわけではありません。

なお、標準利用期間を超えて就労移行支援を使う場合は、令和9年4月から就労選択支援を先に受けることが原則になる予定です。いまは希望すれば受けられる扱いです。詳しくは就労選択支援のデメリットと対処法にまとめています。

費用は他の障害福祉サービスと同じ仕組み

世帯の収入に応じた負担上限額が決まっていて、サービス費の自己負担がそれを超えることはありません。生活保護の世帯と市町村民税非課税の世帯は0円です。18歳以上の場合、収入をみる「世帯」は本人と配偶者だけで、親の収入は含みません(施設入所支援を利用する18歳・19歳を除く)。

区分ごとの金額と申請の流れは受給者証の取り方に整理してあります。

収入をどう見込むか

雇用契約を結ばないので、給料は出ません。ここがA型と決定的に違うところです。

工賃の扱いは少し複雑です。指定基準は、生産活動に従事している利用者への工賃の支払いを就労移行支援にも義務づけています。ただしB型にある「事業所全体の平均工賃を月3,000円以上にする」という下限の定めはなく、そもそも生産活動を行わず訓練だけの事業所もあります。工賃が出るかどうか、いくらかは事業所によって大きく違います。見学のときに確認してください。

2年間の生活をどうするかは、通い始める前に見ておく必要があります。障害年金、家族の支援、貯蓄。雇用保険の基本手当を受けながら通えるかどうかは、ハローワークの判断によります。通所の交通費については全国一律の制度はありませんが、助成している市区町村もあります。お住まいの窓口で確認してください。

向いている場面、そうでない場面

数字と条件を並べたうえで、判断の材料を整理します。

就労移行支援が合いやすい 先に別の選択肢を考えたほうがよい
一般企業への就職を目標にしている まず生活のリズムを整えたい
2年間の生活費の見通しが立つ いますぐ収入が必要
働いた経験があり、続け方に課題がある 体調の波が大きく、通所自体が負担
65歳まで年数に余裕がある 65歳が近い、または過ぎている

右側に当てはまる項目が多い場合、B型で働きながら様子をみて、あとから就労移行支援に移るという順番もあります(65歳未満の場合)。B型に年齢や期間の上限はありません。ただし令和7年10月から、B型を新しく利用するときは原則として就労選択支援を先に受けることになりました。50歳以上の方、障害基礎年金1級の方、就労経験があり年齢や体力の面で一般就労が困難になった方は、この原則の対象外です。また近くに就労選択支援の事業所がない場合や待機が生じる場合は、従来どおり就労移行支援事業所などのアセスメントを経てB型を利用できます。

まとめ

  • 就労移行支援は一般就労を目指すサービス。雇用契約がないので給料は出ない。工賃は事業所によって違う
  • 令和6年に利用を終えた人の60.2%が一般就労へ。B型は11.8%、A型は29.2%
  • この割合の分母は「利用を終えた人」。通っている人全体ではない
  • 対象は原則65歳未満。65歳以上は、前の5年間続けて障害福祉サービスの支給決定を受け、かつ65歳の前日に就労移行支援の支給決定を受けていた場合に限られる
  • 期間は原則2年。市町村審査会の審査を経て必要と認められたときに限り1年まで延長
  • 始めるときに暫定支給決定(2か月以内)がある。省略される場合もある
  • 費用は他のサービスと同じ仕組み。生活保護・市町村民税非課税は0円

数字で決まらない部分が残ります

ここまで挙げたのは、全国を合計した数字と、法令で決まっている条件です。実際に通えるかどうかは、これでは決まりません。

就労移行支援の事業所は全国で2,853か所(令和6年10〜12月の平均)。B型の18,317か所と比べると6分の1以下で、地域によっては通える範囲に数か所しかないこともあります。扱っている訓練の内容も、事業所ごとにかなり違います。パソコン中心のところ、軽作業から始めるところ、企業実習の受け入れ先を多く持っているところ。

60.2%という数字は全国平均であって、目の前の事業所の実績ではありません。見学のときに、その事業所が去年何人送り出したかを聞いてください。答えられない事業所もあります。それも判断の材料になります。

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見学に受給者証は要りません。申し込む前でも見に行けます。ただし実際に作業をしてみる体験は、受給者証が必要になる場合があります。2〜3か所まわってから決めても遅くありません。

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参考

本記事は2026年8月時点の制度にもとづいて作成しています。実際のご利用の際は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にご確認ください。

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