障害者向けコラム

就労継続支援の事業所が閉鎖したらどうなる?受給者証は?次の受け入れ先の調整はどうすればいい?

通っている就労継続支援の事業所から「閉鎖することになった」と告げられたら、まず自分がどうなるかを整理しましょう。事業所の廃止・休止の届出は、廃止する日の1か月前までに行うと法律で決まっています。手元の障害福祉サービス受給者証は事業所の閉鎖によって失効せず、記載された有効期限までそのまま使えます。同じ種類の事業所へ移るなら、支給決定(受給者証の申請)は原則やり直しになりません。

障害者総合支援法により、事業所側には利用者が次の事業所へ移れるよう連絡調整を行う義務が定められています。次の受け入れ先を探す手続きは、閉鎖する事業所・相談支援専門員・市区町村と一緒に進めます。閉鎖通告を受けた直後に取るべき対応、A型とB型で異なる権利や給付、雇用保険の手続きを順に確認します。

事業所が閉鎖しても受給者証はそのまま使えます

障害福祉サービスの受給者証は、公費で助成することの要否を市町村が判断して交付するものです。「この事業所でしかサービスを受けられない」という決定ではないため、事業所が閉鎖しても受給者証自体は無効になりません。

支給決定の有効期間は、厚生労働省の事務処理要領において就労継続支援はA型・B型とも最長3年(B型で支給決定時50歳未満の場合は運用上1年)と定められています。有効期間の満了前であれば、利用している事業所が廃止や休止になっても受給者証そのものの効力は失われません。

市町村が支給決定を取り消せる要件は障害者総合支援法第25条第1項(第4号は施行令第14条)に限られ、サービスの必要性がなくなった場合や他市町村への転出などに限られます。事業所の閉鎖はこの取り消し事由に含まれていません。

次の受け入れ先を探して調整するのは事業所の法的義務です

障害者総合支援法第43条第4項では、指定事業者が事業を廃止または休止する場合の義務が定められています。事業者は、届出の日までの1か月以内に利用していて、引き続き利用を希望する人に対し、サービスが途切れないよう他の事業者との連絡調整などの便宜を提供しなければなりません。事業の廃止や休止は、その日の1か月前までに都道府県知事へ届け出ることが義務付けられています(同法第46条第2項)。

障害者総合支援法施行規則第34条の23第4項第3号ハにより、事業所が提出する廃止届には、継続希望者にサービスを提供する「他の指定障害福祉サービス事業者の名称」を記載する必要があります。利用者への措置が未整備なまま届出をした事業所は、法第43条第4項の義務を果たしていないとして、勧告等の対象になります。

厚生労働省は令和6年10月28日の事務連絡「A型事業所廃止等に係る対応の留意事項等について」で、連絡調整が事業者の法的義務であると改めて周知しました。利用者の連絡調整を行わない事業者は、都道府県知事による勧告・命令(法第49条)や指定取消し(法第50条)の対象となります。利用者が単独で次の受け入れ先を探すのではなく、事業所側に連絡調整を行う義務が課されています。

閉鎖を告げられたらどこへ連絡するか

閉鎖を告げられたら、この順で連絡する。1 通っている事業所(どの受け入れ先候補と連絡調整を進めているか聞く。廃止届には利用者ごとの受け入れ先を書く決まり)→2 相談支援専門員(計画の見直しと候補探し。セルフプランの人は飛ばして3へ)→3 市区町村の障害福祉窓口(状況を報告。市町村が利用者に連絡を取り調整する)→4 ハローワーク(A型で解雇になる人だけ。離職票を持って求職の申込みと基本手当の手続き。B型は対象外)。同じ種類へ移るなら受給者証の範囲で新しい事業所と契約、種類を変えるなら新しい支給決定を受けてから。見学は受給者証が無くてもできる

事業所の閉鎖を告げられたときは、関係機関へ順序立てて連絡を取り、次の受け入れ先の調整を進めます。相談先ごとの役割を把握しておくと、手続きを滞りなく進められます。

1つ目は、通っている事業所です。法律上の義務に基づき、事業所がどのような受け入れ先候補と連絡調整を進めているか、進捗状況を確認します。

2つ目は、担当の相談支援専門員(指定特定相談支援事業者)です。相談支援専門員は、支給決定が行われた後に事業者との連絡調整やサービス等利用計画の作成を担っています。事業所が閉鎖する旨を共有し、サービス等利用計画の見直しや新たな候補事業所の相談を行います。セルフプランを作成している人は、この相談を飛ばして市区町村の窓口へ連絡してください。

3つ目は、お住まいの市区町村の障害福祉窓口です。支給決定の実施主体は居住地の市町村です。令和6年10月28日の厚労省事務連絡では、市町村が利用者に連絡を取り、希望に沿ったサービスを調整することとされています。事業所側の調整が進まない場合も含めて状況を報告します。

4つ目は、ハローワーク(公共職業安定所)です。就労継続支援A型事業所で解雇となる場合に関係します。雇用保険に入っていた人は、事業所を通じて受け取る離職票(届かないときは事業所に頼む)を持ってハローワークで求職の申込みを行い、雇用保険の基本手当(失業給付)の手続きを進めます。

A型事業所は解雇予告手当や雇用保険の対象になります

就労継続支援A型事業所は、原則として利用者と雇用契約を締結します。最低賃金の適用をはじめ、労働関係法令が適用されます。

事業所都合で解雇される場合、労働基準法第20条に基づき、使用者は少なくとも30日前に予告を行わなければなりません。30日前に予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払いが必要です。

雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)の受給対象にもなります。事業所の廃止や倒産による離職は雇用保険法上の「特定受給資格者」に該当します。特定受給資格者の場合、通常の離職と異なり、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給資格を得られます。

障害者手帳などを所持し、雇用保険法上の「就職困難者」に該当する場合は、所定給付日数が手厚く設定されています。年齢や算定基礎期間(被保険者期間)に応じて、次のように日数が決まります。

算定基礎期間(被保険者期間) 45歳未満 45歳以上65歳未満
1年未満 150日 150日
1年以上 300日 360日

週の所定労働時間が20時間未満の場合は雇用保険の適用除外となります(2028年10月からは10時間以上に広がる予定です)。自分の雇用契約書や給与明細の雇用保険欄で、加入の有無や所定労働時間を確かめておきましょう。

給料が未払いのまま倒産したときの立替払制度

事業主が企業倒産し、賃金が支払われないまま退職したときは、労働者健康安全機構による「未払賃金立替払制度」の対象になります。労災保険の適用事業で1年以上活動した事業主に雇用されていた労働者が対象です。未払賃金総額の100分の80(年齢に応じた上限額あり)が立替払されます。未払総額が2万円未満の場合は対象外で、破産手続開始決定日などの翌日から2年以内に請求する必要があります。賞与や解雇予告手当は対象外です。廃止届だけでは「倒産」に当たらず、破産等の法的手続か、中小企業であれば労働基準監督署長による「事実上の倒産」の認定が必要で、退職から6か月以内に申立てや認定申請が行われていることが条件です。

B型事業所が閉鎖したときの注意点

就労継続支援B型は雇用契約を結ばない非雇用型のサービスであり、支払われる対価は賃金ではなく工賃です。そのため、労働基準法の解雇予告手当、雇用保険の基本手当、未払賃金立替払制度は対象外となります。B型の工賃の仕組みを把握しつつ、事業所の義務(前述)である関係機関との連絡調整を通じて次の受け入れ先を検討します。受給者証があれば、別のB型事業所と契約して利用を続けられます。

項目 就労継続支援A型 就労継続支援B型
契約形態 雇用契約(雇用型) 利用契約(非雇用型)
対価 賃金(最低賃金が適用) 工賃(最低賃金の適用外)
解雇予告・手当 あり(少なくとも30日前の予告または解雇予告手当) なし(雇用契約がないため)
雇用保険(基本手当) 対象(就職困難者は所定給付日数150〜360日※週20時間以上) 対象外(雇用保険の適用除外)
未払賃金の立替払制度 対象(事業主倒産時・未払賃金の80%立替払) 対象外(雇用労働者でないため)
事業所の連絡調整義務 あり(障害者総合支援法第43条第4項・基準省令第17条第2項〔第197条で準用〕) あり(同法第43条第4項・基準省令第17条第2項〔第202条で準用〕)
手元の受給者証の効力 失効しない(有効期間内は有効) 失効しない(有効期間内は有効)

同じ種類の事業所へ移るか別の種類へ変えるかで手続きが変わります

同じ種類のサービス(A型から別のA型、B型から別のB型)へ移る場合、手元の受給者証で利用を継続できます。前事業者がサービス提供を終了した月の終了日以降から、新事業者が受給者証を確認して契約します。契約できるのは決定支給量の範囲までで、移った月については前事業者が提供した分を差し引いた残りが上限です。就労継続支援の移り方をあらかじめ知っておくと手続きが円滑に進みます。

サービスの種類を変更する場合(A型からB型など)は手続きが異なります。障害福祉サービスは種類ごとに支給決定が行われるため、利用する種類を変える際は、新規の支給決定と旧サービスの支給決定の取消しが必要です(自治体により一体的な手続きとして進められます)。

就労継続支援B型には法令上の対象要件が定められています。A型で働いてきた人は、まず「就労経験のある人」の枠を見ます。年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった就労経験のある人(A型での就労経験も含まれます)、50歳以上の人、障害基礎年金1級を受給している人などが対象です。年齢や体力の面で困難になったと言えるかは、市区町村の窓口や担当の相談支援専門員へ確認してください。これらに該当しない場合は、就労選択支援事業者によるアセスメントで就労面の課題等を把握したうえで利用します(令和7年10月からはアセスメントの実施者が就労選択支援事業者に変わりました。近くに事業所がない、または待機が生じる場合は従来どおり就労移行支援事業者等が行います)。

「福祉事業所の倒産が過去最多」というニュースの数字の正体

ニュースなどで「福祉事業所の倒産が過去最多」と報じられることがありますが、報道の数字には福祉以外の事業も含まれています。東京商工リサーチによると、2025年度の「医療・福祉事業」倒産は478件でした(2025年4月〜2026年3月集計)。これは老人福祉・介護事業(182件)や療術業(108件)を含む合算であり、障害者福祉事業に限ると54件です。また、2026年上半期(1〜6月)の障害者福祉サービスの倒産は33件でした(前年同期比26.9%増、負債1,000万円以上の集計)。

東京商工リサーチの集計する「倒産」は負債1,000万円以上の経営破綻を指します。自治体に廃止届を出して事業を閉じる「閉鎖」の全国集計は、国の資料には見当たりません。また、国保連データでは、A型事業所数が令和6年3月の4,634か所から令和7年2月には4,371か所となっています。ただしこれは新規開設と廃止を差し引きした「純減」であり、閉鎖された事業所数そのものではありません。

ハローワークに届け出のあった障害者の解雇者数は、令和5年度2,407人、令和6年度9,312人、令和7年度3,692人でした(障害者全体の集計であり、令和7年度のA型事業所の内訳は公表資料には見当たりません)。このうち、令和6年度に各月内で10人以上の解雇が発生したA型事業所の利用者は7,292人でした(令和7年4月末時点の把握)。なお、10人以上の解雇が発生したA型事業所の約9割は生産活動収支が赤字でした。

この7,292人の令和7年4月末時点での状況をみると、再就職が決定した人は2,171人(うち別のA型事業所への就職が1,573人)、B型事業所等への移行(予定)が3,834人、求職中が856人、その他が431人でした。ハローワークを通じたA型事業所への就職件数は、令和6年度29,613件、令和7年度27,590件でした。年間2万件台の就職が続いています。

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まとめ

  • 手元の障害福祉サービス受給者証は事業所の閉鎖によって失効せず、有効期間内はそのまま有効です。
  • 障害者総合支援法第43条第4項に基づき、事業所には次の受け入れ先を探して連絡調整を行う法的義務があります。
  • 閉鎖を告げられたら、通っている事業所、相談支援専門員、市区町村の窓口、ハローワーク(A型の場合)へ順に連絡して状況を共有します。
  • A型事業所は雇用関係があるため、30日前の解雇予告や解雇予告手当、雇用保険の基本手当(特定受給資格者)の対象となります。
  • 同じ種類の事業所へ移る場合は手元の受給者証で契約できますが、A型からB型などサービスの種類を変える場合は新たな支給決定が必要です。
  • 次の事業所は、閉鎖する事業所が出す候補だけで決めなくてかまいません。見学は誰でもできるので、閉鎖を待たずに見て比べられます。

別のA型を探すかB型へ移行するか迷ったときの判断基準

前述のとおり、令和6年度に各月内で10人以上の解雇が発生したA型事業所の利用者のうち(令和7年4月末時点)、別のA型事業所への再就職が1,573人、B型事業所等への移行(予定)が3,834人でした。多くの利用者が次の受け入れ先へと進路を選んでいます。

別のA型事業所を探すかB型事業所へ移行するかは、次の2点で考えると判断しやすくなります。1つ目は、週に何日・何時間、決まった時間に通い続けられるかです。A型事業所は雇用契約に基づき原則として最低賃金以上の賃金が保障される一方、決められた勤務時間や作業内容を継続する体力が求められます。B型は、通う日数や時間を事業所と相談して決めやすい反面、得られる対価は工賃となり、平均的な支給額はA型の賃金より低くなります。2つ目は、生活に月いくら必要かです。A型の賃金とB型の工賃、それぞれの目安はA型の給料とB型の工賃の記事にまとめています。

どちらが適しているかは、体調や生活環境によって人それぞれです。担当の相談支援専門員や市区町村の窓口に、通える日数と必要な収入を伝えて具体的な候補を挙げてもらいましょう。

事業所が出す候補だけで決めなくてよく、比べる材料は自分でも集められます。受給者証があれば、事業所の閉鎖を待たずに動けます。届出どおりに閉鎖するなら、閉鎖まで少なくとも1か月あります(届出は閉鎖日の1か月前まで)。

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見学は誰でもできます。同じ種類なら受給者証で契約まで、種類を変えるなら支給決定を受けてから。都道府県・市で絞り込んで、お住まいの地域にある事業所の作業内容や条件を確かめてみましょう。

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参考

本記事は2026年9月時点の制度と公表資料にもとづいています。倒産件数は東京商工リサーチの集計(2025年度・2026年上半期)、解雇者数および就職件数は厚生労働省の公表資料(令和5〜7年度)、事業所数は国保連データ(令和6年3月〜令和7年2月)、ジョブリウムの掲載件数は2026年9月17日時点の数値に基づきます。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

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