障害者向けコラム

A型事業所の面接は、会社の面接と同じではありません|聞かれること・聞いていいこと・受給者証はいつ

就労継続支援A型(A型事業所)は、事業所と雇用契約(働く約束)を結んで働く場所なので、会社と同じように面接があります。ただし会社の面接とまったく同じではありません。障害を理由に不利に扱うことは法律で禁止され、面接での配慮をお願いしてよいと決まっています。面接の中心は、何日・何時間働けるか、どんな配慮がいるかを、お互いに確かめることです。

この記事の言葉

  • 受給者証(障害福祉サービス受給者証):障害のある人向けのサービスを使うために、市区町村からもらう証明書です。見学には要りません。
  • 合理的配慮:障害があっても同じように働けるように、事業所が行う工夫や手助けのことです。自分から伝えるのが出発点です。
  • 暫定支給決定:受給者証が出たあとにある「お試しの期間」のことです。市町村が2か月以内の範囲で決めます。
  • 減額特例:許可を受けると、その人の時給を最低賃金より低くできる決まりのことです。働く人1人ごとに決まります。

A型事業所にも面接がある|会社と同じで、雇用契約を結ぶから

A型事業所は、通う人と雇用契約を結ぶ決まりになっています(雇用契約を結ばずに利用できる例外もあります)。そのため、サービスを受ける「利用者」であると同時に、お給料をもらって働く「労働者」でもあります。

対象となるのは、一般の会社で働くことが難しい障害のある人で、雇用契約を結んで働くことができる人です。

国の指針(国が出している決まりの説明)では、採用の手続きに「選考」(働く人を選ぶための面接や試験)が含まれると決められています。働く人を新しく選ぶため、会社と同じように面接があります。

いっぽうで、事業所には正当な理由がないのにサービスの利用を断ってはいけない決まりもあります。そのため、会社が自由に落とせる面接とは少し違います。

「こういう人は断る」という決まりの一覧は、法律にありません。面接で合わないと判断されることはあります。募集している日数や時間は事業所ごとに違い、求人票(募集の条件を書いた紙)に書いてあります。だから候補は2〜3か所そろえます。

対象年齢は原則65歳未満です。65歳になる前の5年間、続けて障害のサービスを使い、65歳の前日にもA型を使っていた人は、65歳以上でも使えます。

会社の面接と違うところ|配慮をお願いしてよいと、法律で決まっている

法律では、働く人を募集したり採用したりするときに、障害を理由に不利に扱うことを禁止しています。

面接を受けるときは、障害に合わせて困りごとを減らす工夫(合理的配慮)をお願いしてよいと法律で決まっています。配慮は本人が事業所に伝えることから始まります。事業所と話し合って、何ができるかを決めていきます。

国の指針には、面接や試験でお願いできる配慮の例が挙げられています。たとえば「就労支援機関の職員等の同席」のほか、筆談や文字でのやりとり、試験時間を延ばすことなどをお願いできます。「面接時間について、体調に配慮すること」も含まれます。

ただし、事業所の負担が重すぎる場合は、配慮をお願いできない例外になります。

見学から働き始めるまでの順番|受給者証は面接の前になくてよい

A型事業所の見学から働き始めるまでの順番と、受給者証がいるとき。1 見学(受給者証は要らない・費用もかからない)、2 体験・実習(要らない・ある事業所とない事業所がある)、3 ハローワークの紹介と面接(要らない・配慮をお願いしてよい)、4 内定(要らない・条件は書面でもらえる)、5 市区町村に受給者証を申請(手帳がなくても申請できる・身体障害のある人を除く・4と5は前後することがある)、6 雇用契約を結んで利用開始(受給者証が要る・最初は原則としてお試しの期間=暫定支給決定。市町村が2か月以内の範囲で決める)。会社の面接と同じところは雇用契約を結ぶので選考があること、違うところは障害を理由に不利に扱うことが禁止され、配慮をお願いしてよいと法律で決まっていること

契約に受給者証が要ることと、お試しの期間は国の決まりです。見学や申請の時期は、事業所や市区町村によって違います。

順番 すること 受給者証 ひとこと
1 見学 要らない 費用もかかりません
2 体験・実習 要らない ある事業所と、ない事業所があります
3 ハローワークの紹介と、面接 要らない 配慮をお願いしてよい決まりです
4 内定 要らない 申請と前後することがあります
5 市区町村に受給者証を申請 申請する 手帳がなくても申請できます
6 雇用契約を結んで、利用開始 要る 最初は原則、お試しの期間です

受給者証は、事業所と契約を結んで働き始める日までに手元にあれば大丈夫です。面接の前に持っている必要はありません。申請する時期は市区町村によって違うので、見学した事業所か市区町村の窓口で確かめましょう。

障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書などで受給者証を申請できます(身体障害のある人は手帳が要ります)。詳しくは受給者証の取り方(手帳がなくても申請できる)でも説明しています。

受給者証が出たあとの「お試しの期間」(暫定支給決定)は、市町村が、このサービスで合っているかを確かめる期間です。市町村が2か月以内の範囲で決めます。

「先にハローワークを通して」と言われる理由

事業所に見学へ行くと、「ハローワーク(国が運営する、仕事を探す窓口)で紹介状をもらってから面接に来てください」と言われることがあります。

事業所が国の助成金(特定求職者雇用開発助成金)をもらうには、ハローワークなどの紹介で雇うことが条件になっているためです。ハローワークの紹介を受ける前に採用の選考を始めてしまうと、事業所はこの助成金をもらえなくなります。

この助成金は、A型事業所が利用者を雇うときにも使えます。そのため、事業所は面接の前にハローワークを通すようにお願いすることがあります。

ハローワークを通すことは、働く側にも3つの利点があります。1つ目は、給料や働く時間、入る保険などが求人票という書面に書いてあることです。2つ目は、ウェブサイトで「障害のある方のための求人」を自分で探せることです。3つ目は、障害のある人の専門の窓口で相談できることです。

求人票は契約書そのものではありません。採用が決まったときは、法律で決まっているとおり、労働条件を書いた書面をもらいます。

面接で聞かれること|働ける日数・時間と、配慮してほしいこと

面接で聞かれる内容は、主に仕事をするために必要な事柄です。

まず聞かれるのは、何日働けるかという希望です。A型で働いている人のうち、週5日ぐらいの人が77.8%です。週3日以下の人も4.4%います(令和4年度=2022年度の調査)。募集している日数・時間は事業所ごとに違うので、通える日数をそのまま伝えます。

また、1日に何時間働けるかも聞かれます。同じ調査では、1日の働く時間が4〜6時間のあいだという人が半数(53.4%)を超えていました。自分の体調に合うか確かめましょう。詳しくは週何日・1日何時間からをご覧ください。

次に、仕事をするうえで配慮してほしいことです。合理的配慮は本人が希望を伝えることになっているため、事業所からも困りごとがないか確かめられます。

病気や障害の状況について聞かれることもあります。国の指針では、障害のある人向けの求人の選考について例外を認めています。仕事に向いているかどうかの判断や配慮に必要な範囲であれば、プライバシーに配慮しつつ障害の状況を確かめることは差別に当たりません。

事業所が集めてよい個人情報は、仕事の目的に必要な範囲内と決まっています。聞いてよいとされているのは、仕事に関わる範囲です(配慮が要ること、通院の予定など)。

こちらから聞いてよい4つのこと

面接は、事業所があなたを選ぶだけでなく、あなたが安心して働ける事業所か見極める場でもあります。国の指針でも、応募する人からの質問には事業所が説明することが大切だとされています。面接でこちらから聞いてよいことは次の4つです。

1つ目は、最低賃金より低い時給にする特別な許可(減額特例)を受けているかどうかです。この許可を受けている事業所では、対象になった人の給料が地域の最低賃金より低くなることがあります。許可は働く人ごとに決まるので、事業所の全員が減額になるわけではありません。詳しくはA型の給料と減額特例で解説しています。

2つ目は、生産活動(実際におこなう仕事)のことです。作業の内容や職場の環境が自分に合っているかを聞いてみましょう。

3つ目は、去年その事業所から一般の会社へ就職した人の数です。将来一般の会社で働きたいと考えているなら、就職の実績を確かめておくと安心です。

4つ目は、採用されるときに労働条件を書いた書類をもらえるかどうかです。法律では、働く時間や給料などを書面で渡すことが事業所に義務づけられています。

2027年4月からは、先に就労選択支援を受けるのが原則になる予定

令和9年(2027年)4月からは、新しくA型事業所を使う人は「就労選択支援」を先に受けるのが原則になる予定です。就労選択支援は、短い期間、実際に作業をして、自分に合う働き方を確かめるサービスです。

いまは希望する人が使える段階で、義務ではありません。近くに事業所がない場合などの例外は、まだ検討の段階です。詳しい取り扱いは国から改めて示されます。

落ちても、合わなくても、次の事業所を見に行ける

もし面接で合わないと言われたり、実際に働き始めてから合わないと感じたりしても、別の事業所を探すことができます。

見学には受給者証が要らないので、お金をかけずに別の事業所をすぐに見に行けます。

事業所の様子は、法律で決まっている情報公表の仕組みで調べることができます。これは、事業所が都道府県に報告した運営の状況を、ウェブサイト「WAM NET」で見られる仕組みです。

働き始めてから合わなかったときの辞め方や別の事業所への移り方は、就労継続支援の辞め方・移り方を参考にしてください。

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まとめ

  • A型事業所は雇用契約を結んで働くため、会社と同じように面接があります。
  • 面接のときに体調や障害に合わせた配慮をお願いしてよいと、法律で決まっています。
  • 受給者証は契約までに用意すればよく、面接の前に持っている必要はありません。
  • 先にハローワークを通すのは、事業所が国の助成金を受けるための条件があるからです。
  • 減額特例の有無や仕事内容、就職実績、労働条件の書面など、こちらから聞いてよいことがあります。

申請の時期と体験の有無は、市区町村と事業所で分かれます

受給者証をいつ申請するか、最初のお試しの期間がどれくらいになるかは、お住まいの市区町村によって違います。また、契約の前に職場体験ができるかどうかも事業所ごとに分かれます。

まずは、候補の事業所を見学し、市区町村の窓口で順番を聞くことです。

A型事業所の面接を受ける前に、候補を2〜3か所そろえて見学する

面接の前に受給者証は要りません。候補を2〜3か所そろえて、見学から始められます。

A型事業所を探す(4,501件)

参考

本記事は2026年9月時点の制度と公表資料にもとづいています。記事内の労働日数や労働時間の割合は、厚生労働省の推進事業として行われた調査(株式会社インサイト・令和5年3月・有効回答数747件および746件)の数値です。ジョブリウムの掲載件数(4,501件)は2026年9月20日時点の実測値です。最新の利用条件や手続きの流れは、お近くのハローワークや市区町村の窓口にご確認ください。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

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