障害者向けコラム

就労継続支援A型の時給は10月からいくら?47都道府県の新最低賃金一覧|10月1日に上がるのは15都道府県だけ

就労継続支援A型の時給は、最低賃金を下回れません。事業所と雇用契約を結ぶので、最低賃金がそのまま時給の下限になるからです。その最低賃金が、この秋、47都道府県すべてで上がります。全国平均(加重平均)で1,177円(+56円)。東京は1,280円、大阪は1,231円、北海道は1,131円です。いまの時給が新しい額より低い人は、発効日から自動的に新しい額まで上がります(あとで書く減額の特例を受けている人は、新しい額から許可された減額率の分を引いた額までです)。これからA型を考えている人には、これが「いちばん安い場合の時給」です。

ただし、10月1日に上がるのは15都道府県だけです。22の県は10月の途中から、7つは11月、岩手・熊本・沖縄の3つは12月に入ってからです。同じ令和8年度の改定でも、上がる日は2か月以上ずれます。まだ通っていない人は、日付より表の額を見てください。

雇用契約を結ばないB型の工賃は全国平均で月24,141円、A型の平均月給は91,451円です。同じ就労継続支援でも、月に支払われる額は3倍以上違います。

この記事では、47都道府県の新しい時給・上げ幅・上がる日・A型の平均月給を1つの表にまとめ、自分の給料が月にいくら変わるか、上がらなかったときに何を確認するかを書きます。表の右端から、その県のA型事業所をそのまま探せます。

47都道府県の新しい最低賃金と、上がる日

金額は、厚生労働省が公表している令和8年度の答申額です。かっこ内は改定前の額。「上がる日」は発効予定日で、答申の公示後に異議の申出があると変わることがあります。A型の平均月給は厚生労働省がまとめた令和6年度の実績で、その県のA型事業所が払った賃金の平均です。

都道府県新しい最低賃金(改定前)上げ幅上がる日A型の平均月給(令和6年度)A型事業所を探す
北海道1,131円(1,075円)+56円10月1日92,083円255件を見る
青森県1,090円(1,029円)+61円10月29日83,812円60件を見る
岩手県1,090円(1,031円)+59円12月1日94,595円46件を見る
宮城県1,098円(1,038円)+60円10月1日85,123円67件を見る
秋田県1,090円(1,031円)+59円10月14日73,802円21件を見る
山形県1,092円(1,032円)+60円10月30日90,764円26件を見る
福島県1,094円(1,033円)+61円10月16日83,639円44件を見る
茨城県1,136円(1,074円)+62円10月18日89,114円106件を見る
栃木県1,125円(1,068円)+57円10月1日83,038円102件を見る
群馬県1,120円(1,063円)+57円10月3日82,046円52件を見る
埼玉県1,196円(1,141円)+55円10月1日88,988円132件を見る
千葉県1,195円(1,140円)+55円10月1日85,290円167件を見る
東京都1,280円(1,226円)+54円10月1日111,818円88件を見る
神奈川県1,279円(1,225円)+54円10月1日97,656円111件を見る
新潟県1,108円(1,050円)+58円10月1日83,376円50件を見る
富山県1,119円(1,062円)+57円10月1日84,672円55件を見る
石川県1,113円(1,054円)+59円10月3日83,792円67件を見る
福井県1,112円(1,053円)+59円10月4日100,351円57件を見る
山梨県1,113円(1,052円)+61円11月1日87,077円27件を見る
長野県1,117円(1,061円)+56円10月2日93,924円71件を見る
岐阜県1,121円(1,065円)+56円10月1日92,168円109件を見る
静岡県1,154円(1,097円)+57円10月15日88,793円147件を見る
愛知県1,195円(1,140円)+55円10月1日91,355円272件を見る
三重県1,143円(1,087円)+56円10月1日91,413円63件を見る
滋賀県1,136円(1,080円)+56円10月3日90,721円46件を見る
京都府1,180円(1,122円)+58円11月16日96,939円111件を見る
大阪府1,231円(1,177円)+54円10月1日96,516円458件を見る
兵庫県1,172円(1,116円)+56円10月1日93,541円201件を見る
奈良県1,107円(1,051円)+56円10月4日87,670円57件を見る
和歌山県1,101円(1,045円)+56円10月3日101,751円55件を見る
鳥取県1,090円(1,030円)+60円10月3日90,019円31件を見る
島根県1,092円(1,033円)+59円10月10日107,724円32件を見る
岡山県1,104円(1,047円)+57円10月2日98,888円96件を見る
広島県1,141円(1,085円)+56円10月11日107,968円88件を見る
山口県1,101円(1,043円)+58円10月8日89,410円43件を見る
徳島県1,103円(1,046円)+57円11月1日85,817円30件を見る
香川県1,092円(1,036円)+56円10月1日87,658円34件を見る
愛媛県1,093円(1,033円)+60円11月1日84,187円75件を見る
高知県1,086円(1,023円)+63円10月29日102,740円23件を見る
福岡県1,114円(1,057円)+57円10月4日88,749円338件を見る
佐賀県1,095円(1,030円)+65円11月15日92,910円55件を見る
長崎県1,087円(1,031円)+56円11月2日100,570円57件を見る
熊本県1,092円(1,034円)+58円12月1日88,476円157件を見る
大分県1,096円(1,035円)+61円11月1日98,056円74件を見る
宮崎県1,085円(1,023円)+62円10月24日78,410円63件を見る
鹿児島県1,090円(1,026円)+64円10月25日83,998円81件を見る
沖縄県1,086円(1,023円)+63円12月2日83,114円91件を見る

いちばん高いのは東京の1,280円、いちばん低いのは宮崎の1,085円で、差は195円です。上げ幅は54円から65円で、いちばん大きいのは佐賀の65円。表の「A型の平均月給」は、いちばん低い秋田でも73,802円で、B型の工賃の全国平均(24,141円)の3倍です。

A型の平均月給は、最低賃金の順番とは一致しません。東京の111,818円が最高で、秋田の73,802円が最低。令和8年度の最低賃金が同じ1,090円になる青森・岩手・秋田・鳥取・鹿児島でも、令和6年度の平均月給は73,802円から94,595円まで開いています。時給の下限は県で決まりますが、月にいくらになるかは事業所の労働時間と時給の上乗せで決まるからです。

なぜA型の時給の下限は、最低賃金と一緒に上がるのか

A型では、事業所と利用者が雇用契約を結びます。契約を結んだ時点で法律上の「労働者」なので、最低賃金法がそのまま適用されます。使用者は最低賃金額以上の賃金を払わなければならず、それより低い時給を契約で決めても、その部分は無効になって最低賃金額に置き換わります(最低賃金法 第4条、指定基準 第190条)。

だから、A型の時給は事業所に「上げてもらう」ものではありません。発効日が来れば、契約書や就業規則が書き換わっていなくても、新しい最低賃金が時給の下限になります。

B型は雇用契約を結ばないので、最低賃金は関係ありません。工賃の全国平均は月24,141円で、A型の平均月給91,451円とは仕組みが別です。A型にも、雇用契約を結ばずに受け入れる枠が制度上はあり(指定基準 第190条第2項)、その場合は最低賃金ではなく工賃です。いま通っている人は、雇用契約書(労働契約書)や労働条件通知書を受け取っているかで分かります。これから探す人は、見学のときに「雇用契約を結ぶ前提ですか」と一言聞けば済みます。

時給が最低賃金より低くてよいのは、労働局の許可がある場合だけ

最低賃金法 第7条の「減額の特例」です。事業所が都道府県労働局長の許可を1人ずつ受けた場合に限り、その人だけ最低賃金より低い時給にできます。事業所が自分の判断で下げることはできず、試用期間中の減額も同じく許可が要ります。許可書には減額率が書かれていて、その人の時給の下限は「新しい最低賃金 × (1 − 減額率)」です。最低賃金が上がれば、特例の人の下限も同じ割合で上がります。許可は下限を下げるだけで、いまの時給を事業所が一方的に下げられるわけではありません。許可には期限があり(障害を理由とする許可は初回1年以内)、切れていれば通常の最低賃金に戻ります。許可があっても、許可された仕事以外をしている時間は通常の最低賃金です。

これからA型を探す人は、見学で「減額の特例を使っている人はいますか」と聞いてみてください。WAM NETの事業所情報(「サービス内容」タブ)にも「最低賃金の減額の特例許可の有無」の項目があります。「使っていません」なら、時給は表の額が下限です。「使っています」なら、どんな仕事の人にどう適用しているかを聞いておくと、入ってからの時給の見通しが立ちます。

自分の時給が表の額より低いなら、この許可があるかどうかを事業所に聞いてください。許可が有効で、許可書の減額率の範囲内なら違法ではありません。許可がない、または許可の範囲より低いなら、あとの「上がらなかったら」の手順に進みます。

月にいくら変わるか

時給が最低賃金ちょうどの人なら、計算は「上げ幅 × 月の労働時間」です。全国平均の56円なら、1日4時間・週3日(月48時間)で月2,688円、1日4時間・週5日(月80時間)で月4,480円、1日6時間・週5日(月120時間)で月6,720円。年にすると3万2千円から8万円です。上げ幅が65円の佐賀なら、120時間で7,800円になります。

これからA型に入る人は「新しい時給 × 月の労働時間」で、月給の下限が出ます。北海道(1,131円)なら、月48時間で54,288円、月80時間で90,480円、月120時間で135,720円です。

最低賃金の上げ幅56円は月にいくらか。月80時間で4,480円、120時間で6,720円。上がる日は10月1日が15都道府県、10月中が22、11月が7、12月が3

給料明細で増えているのを確認できるのは、発効日以降に働いた分が支払われる月です。月末締め・翌月払いの事業所なら、10月1日発効の県は11月に受け取る給料から変わります。発効日が月の途中の県は、その月の給料は発効日の前後で時給が分かれます。青森(10月29日)なら、10月分のうち新しい額になるのは29日以降に働いた分だけです。

上がる日が違うと、何が違うか

12月1日発効の岩手・熊本と、12月2日発効の沖縄では、10月・11月に働いた分は改定前の額のままで違法ではありません。東京の人が11月の給料から上がるのに対して、沖縄の人は年明けの給料からです。同じ令和8年度の改定でも、手元のお金が変わる時期には最大2か月の差があります。発効日が確定したあとは、厚生労働省の全国一覧で確認できます。

時給が上がると、事業所の側では何が起きるか

A型事業所には、仕事で稼いだお金(生産活動の収入から経費を引いた額)で利用者の給料をまかなう決まりがあります(指定基準 第192条第2項)。国からの給付を給料に充てることは、原則として禁止です(同条第6項)。時給が56円上がると、利用者20人が全員最低賃金ちょうどで1人あたり月80時間の事業所では、払う給料が年に100万円以上増えます。稼げている事業所は吸収できます。稼げていない事業所は、赤字が広がります。

令和6年度は国の給付のルールが変わった年で、A型事業所から解雇された人は7,292人でした(各月に10人以上の解雇が出た事業所の分だけの数字です)。仕組みと、月に10人以上の解雇が出た事業所の約9割が仕事の収支で赤字だったことは全国版の記事に書いてあります。自分の事業所が続くかどうかは、事業所が毎年公表している「スコア表」(国が定めた成績表で、2枚目に前年度の収支が載っています)の、収支の欄が手がかりになります。公表は義務で、WAM NETの障害福祉サービス等情報検索か、事業所のホームページで見られます。見学のときに見せてもらうこともできます。開設した年度(年度の途中に開設した事業所は翌年度も)は、まだスコア表がありません。

発効日を過ぎても、時給が上がらなかったら

  • 表で自分の県の発効日を確認する。発効日より前に働いた分は、改定前の額のままで問題ありません
  • 発効日以降に働いた分の給料明細で、時給を新しい額と比べる。月給制なら、毎月決まって支払われる賃金(基本給と毎月の手当)を、1か月の平均所定労働時間で割ります。通勤手当・家族手当・精皆勤手当・賞与・残業代は入れません(最低賃金法 第4条第3項)
  • 低ければ、減額の特例の許可を受けているか、受けているなら減額率はいくつかを事業所に聞く
  • 許可がないのに低いまま、または許可の減額率で計算した額より低いなら、事業所を管轄する労働基準監督署に相談する。厚生労働省の最低賃金の特設サイトに窓口の案内があります

最低賃金より低い額で払うことは最低賃金法違反で、50万円以下の罰金の対象です(第40条)。差額は、さかのぼって請求できます。賃金の請求権の時効は3年です(労働基準法 第115条・第143条)。

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まとめ

  • 令和8年度の最低賃金は全国加重平均1,177円(+56円)。東京1,280円、宮崎1,085円
  • A型は雇用契約なので、発効日から新しい最低賃金が時給の下限になる(減額の特例を除く)
  • 10月1日に上がるのは15都道府県。22は10月の途中、7つは11月、3つは12月
  • 時給が最低賃金ちょうどの人は、上げ幅56円なら月80時間で4,480円、120時間で6,720円の増額
  • 上がらなければ、発効日 → 明細 → 特例の許可 → 労働基準監督署の順で確認する

ここまでは、県ごとの下限の話です

表の額は、その県で払われる時給の下限です。同じ県でも、時給を最低賃金ちょうどにしている事業所と、上乗せしている事業所があります。1日4時間の事業所と6時間の事業所では、同じ時給でも月給は1.5倍違います。A型の平均月給が県によって73,802円から111,818円まで開いているのは、最低賃金の差だけでは説明がつきません。

いくらもらえるかは、県ではなく事業所で決まります。ジョブリウムの事業所ページには、その事業所が報告した平均の月額賃金と時給が載っています(報告のある事業所のみ。報告の対象になった年度の平均です)。見るところは1つだけ。時給が、その年度の最低賃金ちょうどか、それより上か。年度は画面に出ないので、見学で「いつの数字ですか」と一言聞けば、上乗せの有無がはっきりします。

新しい最低賃金を知ったうえで、A型事業所を探す

見学に受給者証は要りません。まだどこにも通っていない人でも、今日申し込めます。事業所ページで時給と月額賃金を見て、気になったところには、事業所ページの電話番号か事業所のホームページから見学を申し込んでください(ジョブリウムに登録している事業所には、サイトのメッセージでも送れます)。時給が載っていなければ、見学で「時給はいくらですか」「雇用契約ですか」の2つを聞けば、この記事の表と比べられます。

事業所が多い5つの都道府県はこちらから。ほかの都道府県は上の表の右端から開けます。

A型事業所を都道府県から探す

参考

本記事は2026年9月時点の答申と制度にもとづいています。発効日は答申時点の予定日です。ジョブリウムの掲載件数は2026年9月14日時点です。

お住まいの地域の就労支援事業所を探せます

時給や仕事の内容を見て、気になった事業所に見学を申し込めます。見学に受給者証は要りません。

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