北海道のA型事業所の給料は、平均で月92,083円です。B型の工賃(月27,361円)の3倍を超え、全国平均の91,451円より上です。
ただし令和6年度(2024年度)、北海道では656人の障害者が解雇されました。47都道府県で3番目に多い数で、全国ではその8割がA型事業所の利用者でした。閉鎖した事業所と続いている事業所は、看板や求人票を見ただけでは区別がつきません。
区別がつく場所が1か所だけあります。事業所が公表している「スコア表」の、前年度の収支の欄です。いま通っている人も、これから選ぶ人も、そこを見れば足ります。この記事では、北海道の数字と、その見方と、閉鎖されたら北海道で何が起きるかを書きます。全国の仕組みは全国版の記事にまとめてあります。
北海道の数字
| 項目 | 北海道 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 障害者の解雇者数(令和5年度) | 148人 | 厚生労働省・ハローワークへの解雇届 |
| 障害者の解雇者数(令和6年度) | 656人(全国3位) | 同上 |
| 障害者の解雇者数(令和7年度) | 160人 | 同上 |
| A型の利用者数 | 4,468人 | 国保連データ・2026年5月 |
| A型の平均賃金(月額) | 92,083円(全国 91,451円) | 厚生労働省・令和6年度 |
| B型の平均工賃(月額) | 27,361円(全国 24,141円) | 同上 |
| 最低賃金 | 1,075円 → 1,131円(+56円) | 令和8年10月1日発効予定 |
656人は、愛知県の1,113人、大阪府の841人に次ぐ数です。北海道の656人のうちA型が何人かは公表されていません。解雇者数は本人の住所ではなく、働いていた事業所を管轄する労働局ごとに数えたものです。
国の給付のルールが変わる前、令和5年度は148人でした。変わった年に4倍を超え、翌・令和7年度は160人に落ち着いています。大きな波は一度過ぎましたが、稼げていない事業所がゼロになったわけではありません。10月に最低賃金が1,131円に上がると、そういう事業所の赤字はまた広がります。
解雇は全国3位なのに、給料はA型もB型も全国平均より上。北海道はこの2つが同時に成り立っています。続いている事業所は稼げていて、稼げていなかった事業所が閉鎖した、と読める数字です。
北海道で起きたことも、仕組みは全国と同じです
北海道だけの理由は公表されていません。分かっているのは、閉鎖の仕組みが全国共通で、北海道の事業所にも同じルールがかかっていることです。
令和6年4月から、仕事で稼いだお金で給料を払えていないA型事業所は、国からもらえるお金が減るようになりました。給付金で給料を払っていた事業所が回らなくなった。これが閉鎖の仕組みです。厚生労働省の資料では、令和6年度に1か月に10人以上を解雇したA型事業所の約9割が、仕事の収支が赤字でした。減点の配点は全国版に書いてあります。
10月から、圧力がもう一段上がる
A型は雇用契約を結ぶので、原則として最低賃金以上を払う義務があります。北海道の最低賃金は令和7年10月4日に1,075円(+65円)になり、令和8年10月1日に1,131円(+56円)になる予定です。2年で121円上がります。
仕事で稼げている事業所は吸収できます。稼げていない事業所には、赤字が広がる方向にしか働きません。

続く事業所かどうかは、スコア表で分かる
A型事業所には、運営状況を点数にして公表する義務があります(指定基準 第196条の3)。事業所のホームページか、WAM NETの障害福祉サービス事業所検索で見られます。
スコア表は2枚組で、2枚目の「生産活動」の欄に、前年度の「生産活動収入から経費を除いた額」「利用者に支払った賃金総額」「収支」が円単位で載っています。前年度の収支がマイナスなら、仕事で稼いだお金で給料を払えていない事業所です。見るのはここだけで足ります。
スコア表が見つからなければ、事業所に「スコア表を見せてください」と言えます。開設から間もない事業所(初年度と、年度の途中に開設した場合は2年度目まで)を除いて公表は義務なので、見せられない理由は本来ありません。見せてもらえなければ、それ自体が判断材料です。
スコア表以外で分かること
- 仕事の中身。企業から受注した仕事があるか、内職のような軽作業だけか
- 仕事がない日。「今日は作業がないので座っていて」という日が増えていないか
- 労働時間の短縮。契約の勤務時間が減った、シフトが削られた
1つ当てはまるだけなら、たまたまかもしれません。前年度の収支がマイナスで、かつ仕事がない日が増えているなら、次を考え始める時期です。
閉鎖されたら、北海道ではどうなるか
A型は原則として雇用契約なので、閉鎖は「解雇」です。会社都合の扱いなので、失業給付は自己都合退職のような給付制限なしで、7日間の待期のあとに対象になります(週20時間以上の契約で、離職前1年間に6か月以上働いていた人)。週20時間未満の契約の人は雇用保険に入っていないので、この給付はありません。その場合は、次の事業所を先に知っておくことがそのまま備えになります。
事業所には、廃止するときに利用者が他の事業所で続けられるよう連絡調整する義務があります(障害者総合支援法 第43条第4項)。「明日から来なくていい」で終わらせてよい制度ではありません。
全国の数字では、令和6年度にA型を解雇された7,292人のうち、別のA型に移れた人は1,573人(2割)。B型などへ移った・移る予定の人が3,834人でいちばん多くなっています。北海道でB型に移ると、収入は平均92,083円の給料から平均27,361円の工賃に変わります。B型を自分で選ぶのと、閉鎖で選ばされるのは別の話です。A型で働き続けたい人が閉鎖で移るのは、避けられる結果です。
札幌と、札幌以外で違うこと
ジョブリウムに載っている北海道のA型255件のうち、札幌市が131件です。旭川市は8件、函館市は4件、帯広市は9件、釧路市は10件。
札幌なら、閉鎖が決まってからでも候補が並びます。ただし数が多いぶん、仕事で稼いで黒字の事業所と、給付金で回している事業所が同じ駅の近くに並んでいることがあります。札幌の読者は、スコア表で選ぶ。
札幌を離れると、通える範囲のA型が数えるほどしかない市があります。閉鎖が決まってから探すと、この差がそのまま選択肢の差になります。札幌以外の読者は、先に候補を知っておく。
閉鎖される前に、できること
いま通っている人
自分の事業所のスコア表を見ること。前年度の収支がプラスなら、1か月に10人以上を解雇した事業所の9割とは違う状態です。マイナスなら、通える範囲に他のA型が何か所あるかを知っておく時期です。
これから選ぶ人
順番を1つ足すだけです。候補を出す → スコア表を見る → 見学に行く。見学を申し込むときに「スコア表を見せてください」と書けば、対面で聞く必要はありません。
北海道のA型の給料は平均で月92,083円です(勤務時間で変わります)。前年度の収支がプラスの事業所を選べば、来年もこの給料をもらっている可能性がいちばん高くなります。
見学は受給者証がなくても行けます。通っている事業所を辞める必要もありません。候補を2〜3か所、名前だけでも知っておくと、閉鎖が決まったときに動ける範囲が変わります。

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- A型事業所は来年もある?解雇7,292人の年に、閉鎖した9割に共通していたこと 全国版です。報酬改定の仕組みと解雇された人のその後を詳しく書いています
- 就労継続支援A型の給料はいくら? 平均91,451円と、9万円台になる理由です
- 就労継続支援B型 事業所の選び方 見学で聞く10の質問です。A型でもそのまま使えます
まとめ
- 北海道のA型平均賃金は月92,083円で全国平均より上。一方、令和6年度の障害者の解雇は656人で全国3位
- 北海道のA型利用者は4,468人。最低賃金は令和8年10月1日に1,131円へ
- 事業所のスコア表は公表が義務。2枚目の「前年度の収支」がマイナスかどうかを見る
- ジョブリウム掲載の北海道A型255件のうち札幌市131件。旭川8件、函館4件、帯広9件、釧路10件
- 札幌の人はスコア表で選ぶ。札幌以外の人は先に候補を知っておく
ここまでは、北海道全体の数字です
656人も92,083円も北海道全体の平均です。分からないのは、自分が通える範囲にA型が何か所あって、そのうち前年度の収支がプラスなのはどこかです。看板や求人票を見ただけでは区別がつきません。スコア表を見るまでは。
北海道のA型事業所を、閉鎖される前に探しておく

ジョブリウムには、北海道のA型事業所が255件載っています。市区町村や最寄り駅で絞り込めます。事業所に「スコア表を見せてください」と聞くときは、ジョブリウムに登録している事業所にはサイトのメッセージで、それ以外は事業所の問い合わせフォームで送れます。どちらも文章で送れるので、電話も対面も要りません。
一覧は登録なしで見られます。メッセージを送るときだけ、無料の登録が要ります。通っている人は辞める必要がなく、これから選ぶ人は受給者証がなくても見学に行けます。
参考
- 令和7年度 障害者の職業紹介状況等(厚生労働省・PDF) 都道府県別の解雇者数(令和6年度・令和7年度)の出典です
- 令和6年度 障害者の職業紹介状況等(厚生労働省・PDF) 都道府県別の解雇者数(令和5年度)の出典です
- 就労継続支援A型の状況について(厚生労働省・社会保障審議会障害者部会 第147回 参考資料9・PDF) 全国の解雇者数・再就職状況の出典です
- 障害福祉サービス、障害児給付費等の利用状況について(厚生労働省・Excel) 都道府県別のA型利用者数の出典です
- 令和6年度工賃(賃金)の実績について(厚生労働省・PDF) 都道府県別のA型平均賃金・B型平均工賃の出典です
- 令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧(厚生労働省・PDF) 北海道の令和7年度の最低賃金の出典です
- 令和8年度 地域別最低賃金 答申状況(厚生労働省・PDF) 北海道の令和8年度の最低賃金の出典です
本記事は2026年9月時点の制度と公表資料にもとづいています。ジョブリウムの掲載件数は2026年9月14日時点です。
