障害者向けコラム

障害年金が不支給だった方へ|再点検で444件が支給に。「A型で働いているからダメだった?」も確認します

「A型で働いているから、障害年金が通らなかったのかな」。不支給の通知を受け取ったあと、そう考えた人もいるかもしれません。

精神の障害では、A型で働いているという理由だけで、障害年金が不支給になるわけではありません。

精神の障害(てんかんを除く)の審査では、働いているかどうかだけを見ません。どんな仕事をしているのか、職場でどんな援助や配慮を受けているのかまで見て判断します。仕事のせいで家での生活が大きく落ちていれば、それも材料になります。

国のガイドラインには、A型・B型で働いている場合は「1級または2級の可能性を検討する」と書かれています。1級・2級は、国民年金から障害年金が出る等級です(初めて病院にかかった日に厚生年金に入っていた人は、3級もあります)。

日本年金機構は、令和6年度以降に精神障害などで不支給になった決定を点検し直しました。14,841件のうち444件が支給に変わっています。

自分もそうかもしれないと思ったら、自分の決定がこの点検に関係していたかを確かめてみてください。

まず、自分が今回の点検に関係しているか確かめる

点検されたのは、精神障害など(慢性疲労症候群や線維筋痛症なども含みます)で不支給になった決定です。時期は令和6年4月から令和7年8月26日までで、審査請求をしていた決定は外れています。

不支給の決定の点検は、令和8年3月末までに終わりました。本人が申し込む仕組みではなく、支給に変わった人には、支給を決めたことを知らせる文書が順に送られています。

令和6年4月以降に、精神障害などで申請して不支給になった人は、通知の日付を一度見ておいてください。

体の障害(目や耳、手足、心臓など)で不支給になった人と、令和7年8月27日以降に不支給になった人は、点検の対象ではありません。

変わらなかった人への知らせは、公表されていません。不支給になった理由は年金事務所で聞けます。そのときの通知書を手元に置いておくと、話が早く進みます。

国の点検は終わり、自分で使える道は2つという図解。左は国が点検した決定(令和8年3月に完了)で、精神障害など・令和6年4月から令和7年8月26日に不支給・審査請求をしていない、の3つに当てはまる決定。14,841件のうち444件(約3.0%)が支給に変わり、支給に変わる人には文書が届く。右はそれ以外や変わらなかった人が使える道で、審査請求は決定を知った日の翌日から3か月以内に年金事務所で出せる、その次の再審査請求は2か月以内、もう一度請求する場合の事後重症による請求は請求した日の翌月分から、不支給の理由は年金事務所で聞ける

A型で働いているだけで、不支給にはなりません

「週3日でも休まず通えている」「毎月給料をもらっている」「1年以上A型で働いている」。こうした事実だけで、「それなら障害年金は要らない」と決まる仕組みではありません。

統合失調症やうつ病などの精神障害では、1年を超えて働き続けていても、それだけでは判断しません。週に何日働けているかや、続けるために受けている援助や配慮を踏まえ、働き方が不安定ならそれを考えに入れる、とガイドラインにあります。

精神障害では、ほかにも次のようなことが審査の材料になります。

  • 体調のせいで、休んだり、早く帰ったり、遅れて行ったりすることが多いか
  • 急な変更に合わせたり、人とやりとりしたりするのが難しくないか
  • 職員からどのくらい手助けを受けているか
  • 仕事のせいで、家での生活が大きく落ちていないか

手助けや配慮がある職場で安定して働けている場合も、それがなかったらどうなるかを考えて判断する、とされています。A型に通えていても、それをそのまま「障害が軽くなった」とは受け取りません。

ただし、A型に通っていれば必ず支給される、という意味でもありません。病状や生活のようす、医師の診断書などを合わせて判断されます。また、体の障害の等級には、このガイドラインは使われません。

不支給の通知が最近届いたなら「3か月」を確認

点検とは別に、決定そのものに納得できないときは、審査請求という手続きがあります。

期限は、決定を知った日の翌日から3か月以内です。6月に通知が届いたなら、9月には期限が来ます。

審査請求書の用紙は年金事務所にあり、決定の通知書の写しを持っていけば、その場で出せます。

審査請求の結果にも納得できないときは、もう一段上の再審査請求ができます。こちらの期限は、結果の決定書が送られた日の翌日から2か月以内です。

数か月様子を見ているうちに、期限が過ぎてしまうことがあります。審査請求をするかまだ決めていなくても、通知の日付だけは先に見ておいてください。

3か月を過ぎていたら、もう何もできない?

審査請求の期限が過ぎていても、障害年金をもう請求できなくなるわけではありません。間に合わなかった正当な理由があれば、審査請求が認められることもあります。

もう一度、はじめから請求する道もあります。

初めて病院にかかってから原則1年6か月たったころは、まだ等級に当てはまらなかった。そのあとで重くなった。そんなときは、今の状態で請求できます。これを事後重症による請求といい、請求した日の翌月分から受け取ります(請求できるのは65歳の誕生日の前々日まで)。日本年金機構も、請求が遅くなると受け取り始めも遅くなると案内しています。

反対に、1年6か月たったころにはもう当てはまるほど重かったなら、その翌月分からさかのぼって受け取れる場合があります(5年分まで)。この基準の日を障害認定日といいます。

前に不支給になった人ほど、自分は審査請求なのか、もう一度請求するのかを、年金事務所で確かめておくと確実です。

A型で働いているなら、「できていること」だけを伝えない

申請では、医師の診断書のほかに、本人や家族が「病歴・就労状況等申立書」を書きます。発病からの経過や、働いているようすを伝える書類です。

ここに「週3日通えています」「休まず行けています」「パソコン作業ができます」と、できていることだけを書くと、実際の生活が伝わらないことがあります。

週3日通えていても、1日の時間を短くしてもらっているかもしれません。仕事中に、こまめに声をかけてもらっているかもしれません。帰ると疲れて寝込み、食事や掃除を家族に頼っていることもあります。

必要なのは、どんな手助けがあって仕事や生活が成り立っているのかを、そのまま書くことです。ガイドラインが見ているのも、その部分です。

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一度不支給になっても、道は残っている

支給に変わったのは、点検した決定の約3%です。多くはありませんが、一度出た不支給が変わることはあります。

一度不支給になっていても、期限内なら審査請求、期限が過ぎていても、もう一度の請求という道は残っています。

とくに「A型で働いているから年金は無理」と思っていたなら、そこは分けて考えてください。働いていることは判断の材料の1つですが、それだけで決まるわけではありません。

不支給になった時期と、通知の日付を見る。最近の不支給なら、審査請求の期限を確かめる。分からなければ年金事務所で聞く。

働くのをためらっていたなら、手助けの中身で事業所を選ぶ

「働くと年金が通らなくなるかもしれない」と思って、A型やB型に通うのをためらっていたなら、ここまでの話がそのまま判断の材料になります。

精神の障害の審査では、働いているかどうかだけでなく、どんな手助けを受けて、どれだけ安定して働けているかも見られます。これは、無理なく働き続けられるかどうかにも関わることです。その手助けは、事業所によって違います。

週に何日から通えるか。1日の時間を短くできるか。調子が悪い日に、職員がどう声をかけてくれるか。見学のときに聞いておけば、自分の体調で続けられる場所かどうかが分かります。見学に受給者証は要りません。

近くのA型・B型の事業所を探す

ジョブリウムでは、全国の就労継続支援A型・B型の事業所を、エリアや最寄り駅で探せます。気になる事業所が見つかったら、見学で手助けの中身と、週に何日から通えるかを聞いてみてください。

A型事業所を探す(4,501件)

雇用契約を結ばずに通うB型は、B型事業所を探す(18,706件)から見られます。

参考

本記事は2026年9月時点の制度と公表資料にもとづいています。点検の件数は日本年金機構が令和8年3月31日現在で公表した速報値、ジョブリウムの掲載件数(A型4,501件・B型18,706件)は2026年9月23日時点の数値です。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

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