障害者向けコラム

就労継続支援A型で週3日、雇用保険に入れる? 2028年10月から条件が「週10時間以上」に変わります

「A型で働いているのに、給料の明細に『雇用保険料』の行がない。辞めたら、失業手当はもらえないの?」

雇用保険とは、仕事を辞めたときなどにお金が出る国の保険です。A型で働いていても、週の労働時間が20時間に届かなければ、この保険には入りません。入っていなければ、辞めても失業手当は出ません。

週3日・1日4時間の契約なら、週12時間です。今は入らないのが決まりで、事業所の手続き漏れではありません。

この条件は、2028年10月から「週10時間以上」に変わります。法律はもう成立していて、週3日・1日4時間の契約も入れるようになります。

いま自分がどちらにいるかは、給料の明細と契約書で確かめられます。

自分は入っている? 給料の明細の1行で分かる

いちばん早いのは、給料の明細を見ることです。雇用保険に入っていると、ふつうは引かれるお金の欄に「雇用保険料」の行があります。事業所は保険料を給料から引いたとき、その額を本人に知らせる決まりです。

入ったことをハローワークが確かめると、「雇用保険被保険者証」(入っていることを示す紙)が出ます。事業所を通して渡されることもあります。

もう1つは契約書です。A型は事業所と雇用契約を結ぶので、労働条件通知書(働く日や時間、給料が書かれた紙)を受け取っているはずです。働く曜日と、始まりと終わりの時刻から、週の時間が計算できます。

国が出している見本(ひな形)には、「雇用保険の適用(有・無)」の欄もあります。書くのは義務ではないので、この欄が無い事業所もあります。

雇用保険に入るかは原則、契約で決めた週の時間で決まる。週5日・1日4時間(20時間)は今も2028年10月からも入る。週4日・1日4時間(16時間)、週3日・1日4時間(12時間)、週5日・1日2時間(10時間)は今は入らず、2028年10月から入る。週2日・1日4時間(8時間)はどちらも入らない

1日の時間は、休憩をのぞいた時間です。どの場合も、31日以上続けて働く見込みがあることが条件です。契約の期間が短くても、更新される見込みがあれば入ります。

週の時間は、原則として契約で決めた時間で見ます。ただ、契約より長く働くのが当たり前になっているときは、実際の時間で判断されることがあります。

週20時間以上なのに、入っていなかったら

週20時間以上働いているのに、明細に雇用保険料が無い。そんなときは、事業所に「雇用保険に入っていますか」と聞いてみてください。入る人の手続きは、事業所がすることになっています。

はっきりしなければ、ハローワークに「入っているかの確認」を頼めます。本人がいつでも頼めると、法律で決まっています。

手続きが漏れていた場合、入っていた期間として数えてもらえるのは、ハローワークが確認した日の2年前までです。給料から雇用保険料を引かれていたことが書類で分かれば、それより前も数えてもらえることがあります。給料の明細は捨てずにとっておいてください。

入っていないと、辞めたとき何が違う?

入っていなければ、辞めても失業手当(正式には基本手当)は出ません。入っていても、辞めれば必ずもらえるものではありません。

もらうには、辞める前の2年間に、入っていた月が12か月以上要ります。病気などで30日以上続けて給料が出なかった期間があれば、その分だけ数える範囲を前に広げられます(最長で4年前まで)。

解雇や事業所の閉鎖で辞めたときは、辞める前の1年間に6か月で足ります。契約の更新を希望したのに更新されなかったときや、体調や障害を理由に辞めたときも、ハローワークが認めれば、1年間に6か月で足ります。

障害者手帳を持っている人などは、受け取れる日数が長くなります。障害があって仕事が見つかりにくい人(就職困難者)として扱われるからです。ほかの人は、入っていた期間が短いと90日ほどです。

  • 入っていた期間が1年未満:150日
  • 1年以上で、45歳未満:300日
  • 1年以上で、45歳から64歳:360日

体調が悪くてすぐに働けないときは、失業手当は出ません。30日以上続けて働けないときは、受け取れる期間(原則、辞めた次の日から1年)を延ばして、働けるようになってから受け取る申請ができます。

2028年10月から、週3日の自分は入れる?

週3日・1日4時間(週12時間)なら入れます。雇用保険に入る条件は、2028年10月1日から「週10時間以上」に変わります。

この変更は、2024年に成立した法律ですでに決まっています。さきほどの図で、週16時間・12時間・10時間の人がこれにあたります。同じ週3日でも、1日3時間なら週9時間なので、まだ入りません。

入ったあとの中身は、今入っている人と同じです。失業手当なども、同じしくみで受けられます。保険料も、今入っている人と同じように給料から引かれます。

保険料は、多くの事業所で給料の0.5%で、月5万円なら250円です。率は毎年度決まるので、そのときの額は変わります。手続きは事業所がします。本人の申し込みは要りません。

注意がいるのは、失業手当の条件になる「入っていた月」の数え方です。2028年10月より前の、週20時間に届かない期間は、入っていなかった期間なので数に入りません。

新しい数え方では、働いた日(有給の休みの日も入ります)が6日以上か、40時間以上ある月を「入っていた月」として数えます。

計算すると、12か月がそろうのは早くて2029年9月末です。解雇や閉鎖、体調などの理由で辞めた場合の6か月なら、早くて2029年3月末です。

それより前に、体調などの理由がなく自分の都合で辞めると、失業手当はまだ出ません。辞めるなら、次の事業所を決めてからのほうが、給料の途切れる期間を作らずにすみます。順番は就労継続支援の辞め方・移り方にまとめています。

入るために、週の時間を増やしたほうがいい?

雇用保険のためだけに、無理をして時間を増やすことはすすめません。体調をくずして休みが続けば、給料も減り、続けること自体が難しくなります。

週20時間に届かない働き方は、A型ではめずらしくありません。WAM NET(国の事業所情報のサイト)で平均の月給と時給が両方わかるA型事業所で、月給を時給で割ると、おおよそ4割の事業所で週20時間に届きませんでした。

体調に余裕が出てきて、もう少し働けそうなら、事業所に相談できます。A型は雇用契約なので、日数や時間を変えるときは契約の変更になります。

週20時間以上になると、勤め先の法人の規模によっては、健康保険と厚生年金(会社で働く人の年金)にも入り、手取りが変わります。これは雇用保険とは別の保険です。くわしくはA型で週20時間、社会保険に入ると手取りはいくら減る?にあります。

今日やるのは、給料の明細を1枚見ること

明細に「雇用保険料」の行があるかを見る。無ければ、契約書で週の時間を計算する。週20時間以上なのに入っていなければ、事業所に聞く。いつも契約より長く働いているなら、ハローワークに確認を頼む。

あわせて読みたい

雇用保険に入るかは、事業所と結ぶ契約で決まる

雇用保険に入るかどうかは、原則として、事業所と結ぶ契約の週の時間で決まります。その時間は、事業所ごとに違います。

週20時間ちょうどの契約を基本にしている事業所もあれば、1日の時間を短くして始められる事業所もあります。体調に合わせて、あとから時間を延ばせるかどうかも、事業所によります。

いつか今の事業所を辞めることを考えているなら、さきほどの順番どおり、次の事業所を先に決めておくことになります。今の事業所で時間を延ばせないときや、週20時間以上なのに入れてもらえないときも同じです。

次の事業所を見るときは、見学や面接で「週何時間の契約になりますか」「雇用保険には入りますか」と聞いてください。契約を結ぶ前に分かります。「体調に合わせて時間を変えられますか」も一緒に聞いておきましょう。聞いてよいことはA型事業所の面接の記事にまとめています。

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参考

本記事は2026年9月時点の制度と公表資料にもとづいています。月給を時給で割った集計は、WAM NET に公表されたA型事業所の平均賃金(雇用型・主に2026年3〜6月更新)の月額と時間額が両方ある1,974件から計算した目安で、週20時間に届かなかったのは860件です。ジョブリウムの掲載件数(A型4,501件)は2026年9月24日時点の数値です。

この記事の執筆者

中井裕哉

代表|就労継続支援A型事業所 ネクサスリンク

札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク代表。飲食店、不動産、店舗開発など、業種の違う仕事を経験してきました。その中で身につけた「仕事は変わっても、経験は持ち運べる」という考えを大切に、一人ひとりの得意を生かして働ける場をつくっています。 現在は、「好きな仕事を楽しくやる」を、テーマに、AIとITの分野を中心に就労A型事業を展開。

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